チャイム
えーと、誰?
見知らぬ女性がいる。
「あなたに、大事な話があるんです、いがらし……ほんまさん!」
なぜ私の名前を知っている?
「私です、合鍵です!」
はぁ?
「もうこれ以上、あの、願いの無駄遣いをやめて欲しいんです」
話が読めない。
そもそも無理矢理に願いを叶えてるのはこいつら人形だ。
確かに顔は似ているが、合鍵は人形であって、人間ではない。
しかも、うちにいる。
合鍵は持たせっぱなしだけど。
「とりあえずお帰りくださいませ」
私はモニターを切った。
合鍵が来た。
「どーしたんですかぁ?」
はんなりキャラが出来上がっている。
さっきの合鍵を名乗る女性は、少し違う感じがした。
一体何なんだ……
はぁ、気味悪い。
悩むのは理性的でなくなる。だからボーッと考えた。
お、そうか。
アイツらもコイツも人間みたくすれば、ちっとは良いのかな。
「合鍵、お前らを人間にしてくれ」
合鍵はピクッとした。
そしてすぐ、にこりと笑った。
「本気で言ってるんですかぁー」
めっちゃ嬉しそう……
「待て!全員じゃないぞ、えっと、顔を変えたやつだけだ、わかるな、書記長と、補佐と、お前と、英語」
合鍵は少し残念そうな顔をした。
やはり、全員変えるつもりだったな……。
「はい、じゃあお願いします!」
何秒か経ち、合鍵は、スゥーっと大きくなり、全裸で立ちつくしている。漫画あるあるか……
まじまじと見る。
「まるで人間だわ、すごいな」
合鍵の顔を見た。こちらをじっと見ている。
「きゃああああ!」
合鍵のヒザがアゴに命中し、一瞬、上がった足のスキマから人間である証が見えた。
のけぞって倒れ、頭を打ち、私はパタンと倒れた。
どこかで
「ホァァァァァ」
と声がした気がした……。
このやりとりの間、ピンポン、ピンポン、とインターホンの音は鳴り続けていた。