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神神戦記  作者: 鋏と電灯
6/9

中神

 タクシィは悪神たちの拠点に土足で踏入り


「初めまして……悪神の皆様、タクシィと申します」


 軽やかに挨拶をする。


「ハッ! そんな少ない人数で何ができる! リモス! タナトス! ラグニア! オクニリア! 奴らを叩き潰せ! 」


 アパテイが威勢よく声を上げると


「ラグニアとオクニリアはいない……」


 タナトスがつぶやく。


「え!? なんで!? 」


 アパテイは驚きのあまり素っ頓狂な声を出してしまう。


「さぁ……」


 タナトスは首を傾げるばかり


「おそらく彼、彼女、が求めるものはここにはなかったのだろう……」


 リモスは達観した様な目で答える。


「あんにゃろうども~!! 」


 アパテイは怒りで歯をギリギリ鳴らす。


「ふっ……まったくもってダメダメだな! いくぞ! メトレィオヴロン! ゾイ! 」


 タクシィがそう言うと


「ゾイがいません……」


 申し訳なさそうにメトレィオヴロンが言った。


「はぁ?! え!?」


 タクシィがうろたえていると


「ダメダメなのはそっちも同じじゃん、バァ~カ! 」


 アパテイは挑発的に舌を出す。


「まぁいい、まずはお前らから葬ってやる! 」


 タクシィがそう言うと


「上等だ! ぶっ殺してやる! 」


 アパテイはそう返した。


 善神と悪神の戦いが本格的に始まった。


......................................................


「あ~あ、戦争なんて、だるくてやってらんね~」


 オクニリアがあくび混じりにそう言うと


「あたしも戦争は趣味じゃないのよね~」

 

 ラグニアがそう返した


 しばらく移動すると、二人の目に善神の二人が見えた。


「あ……悪神! 」


 イリニの目にも悪神二人が見え身を縮こませる。


「なんか用か……? 」


 ゾイが落ち着いた様子でそう言うと。


「いやいや、別に戦いを挑みに来たわけじゃあないよ! 」


 オクニリアが慌てたように手を振りながらそう言う。


「ふむ……なら、こっちに来てくれ」


 ゾイが手招きすると


 何かの罠か……


 オクニリアが警戒していると。


「じゃあ、おじゃましまーす」


 ラグニアがあっさりと誘いに乗った。

 

 特に何もなさそうだったので、オクニリアも安心して中に入った。


「本当に何もなかったんだな……」


 ゾイは驚いたように目を開きつつ、安堵するような声を出す。


「え!? 何かあったの? 」


 オクニリアがそう言うと


「いや……あの娘、いるだろう名前はイリニと言って、彼女の『神話神演ミソス・スキニ』は『中立的平和領域スィニスィスメノ・スィオピ・スィマヒア』と言って、指定した領域内では争いが絶対に起きないんだ」


 ゾイがそう言うと、イリニは首をコクンとうなずく。


「へ~、まあ俺たちは争いごとは嫌いなんでね、そこんとこは安心だな」


 オクニリアがそう言うと


「悪神たちは、みんな戦いが大好きなのばかりだと思っていいたんですけど~、今ので見方が変わりました~」


 イリニが好意的に返してきた


「しっかし、なんで戦争なんてめんどくさいことをするんかね~」


 オクニリアがそう言うと


「どうしてでしょうね~みんな仲良くすればいいのに~」


 イリニちょっとが困った顔でそう言うと


「そうだな……俺たちは新しい、善神や悪神というくくりを越えた神々になるってのも有りかもな」


 ゾイが真剣な顔つきでそう言うと


「名案ですね、それならどっちの被害もなく丸く収まる気がします」


 イリニは目を輝かせながらそう言う


「まあ、めんどくさそうだが、正直消えるんはさすがに嫌だし、仮に悪心側が勝っても12の神々でやる予定のことを6人でやるはめになるからな……でも善悪ともに生き延びれば12の神々がまるまる残るから、楽もできそうかもな」


 オクニリアも賛成の意を示す


「ああん、そんなこと考えつくなんて、いい男……いいわ付き合ってあ・げ・る」


 ラグニアはそう言ってゾイに投げキッスをする。


「よし! 俺たちは新しい神々『中神ちゅうしん』だ! 」


 善悪の神々が自らの手で、新しい道を切り開いた。

 

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