中神
タクシィは悪神たちの拠点に土足で踏入り
「初めまして……悪神の皆様、タクシィと申します」
軽やかに挨拶をする。
「ハッ! そんな少ない人数で何ができる! リモス! タナトス! ラグニア! オクニリア! 奴らを叩き潰せ! 」
アパテイが威勢よく声を上げると
「ラグニアとオクニリアはいない……」
タナトスがつぶやく。
「え!? なんで!? 」
アパテイは驚きのあまり素っ頓狂な声を出してしまう。
「さぁ……」
タナトスは首を傾げるばかり
「おそらく彼、彼女、が求めるものはここにはなかったのだろう……」
リモスは達観した様な目で答える。
「あんにゃろうども~!! 」
アパテイは怒りで歯をギリギリ鳴らす。
「ふっ……まったくもってダメダメだな! いくぞ! メトレィオヴロン! ゾイ! 」
タクシィがそう言うと
「ゾイがいません……」
申し訳なさそうにメトレィオヴロンが言った。
「はぁ?! え!?」
タクシィがうろたえていると
「ダメダメなのはそっちも同じじゃん、バァ~カ! 」
アパテイは挑発的に舌を出す。
「まぁいい、まずはお前らから葬ってやる! 」
タクシィがそう言うと
「上等だ! ぶっ殺してやる! 」
アパテイはそう返した。
善神と悪神の戦いが本格的に始まった。
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「あ~あ、戦争なんて、だるくてやってらんね~」
オクニリアがあくび混じりにそう言うと
「あたしも戦争は趣味じゃないのよね~」
ラグニアがそう返した
しばらく移動すると、二人の目に善神の二人が見えた。
「あ……悪神! 」
イリニの目にも悪神二人が見え身を縮こませる。
「なんか用か……? 」
ゾイが落ち着いた様子でそう言うと。
「いやいや、別に戦いを挑みに来たわけじゃあないよ! 」
オクニリアが慌てたように手を振りながらそう言う。
「ふむ……なら、こっちに来てくれ」
ゾイが手招きすると
何かの罠か……
オクニリアが警戒していると。
「じゃあ、おじゃましまーす」
ラグニアがあっさりと誘いに乗った。
特に何もなさそうだったので、オクニリアも安心して中に入った。
「本当に何もなかったんだな……」
ゾイは驚いたように目を開きつつ、安堵するような声を出す。
「え!? 何かあったの? 」
オクニリアがそう言うと
「いや……あの娘、いるだろう名前はイリニと言って、彼女の『神話神演』は『中立的平和領域』と言って、指定した領域内では争いが絶対に起きないんだ」
ゾイがそう言うと、イリニは首をコクンと頷く。
「へ~、まあ俺たちは争いごとは嫌いなんでね、そこんとこは安心だな」
オクニリアがそう言うと
「悪神たちは、みんな戦いが大好きなのばかりだと思っていいたんですけど~、今ので見方が変わりました~」
イリニが好意的に返してきた
「しっかし、なんで戦争なんてめんどくさいことをするんかね~」
オクニリアがそう言うと
「どうしてでしょうね~みんな仲良くすればいいのに~」
イリニちょっとが困った顔でそう言うと
「そうだな……俺たちは新しい、善神や悪神という括りを越えた神々になるってのも有りかもな」
ゾイが真剣な顔つきでそう言うと
「名案ですね、それならどっちの被害もなく丸く収まる気がします」
イリニは目を輝かせながらそう言う
「まあ、めんどくさそうだが、正直消えるんはさすがに嫌だし、仮に悪心側が勝っても12の神々でやる予定のことを6人でやるはめになるからな……でも善悪ともに生き延びれば12の神々がまるまる残るから、楽もできそうかもな」
オクニリアも賛成の意を示す
「ああん、そんなこと考えつくなんて、いい男……いいわ付き合ってあ・げ・る」
ラグニアはそう言ってゾイに投げキッスをする。
「よし! 俺たちは新しい神々『中神』だ! 」
善悪の神々が自らの手で、新しい道を切り開いた。