悪なる神々
善神たちが力と存在と精神に個性を得たのと同時に悪心たちも同じものを得た。
「ん~やれやれ、さてさて、どうやって善神どもを殺すかね~」
『悪巧』の『アパテイ』が首をコキコキ鳴らしながら、宙を見て、善神を殺し方を考えている。
「あ~! 早く暴れたいぜ! あ~! あ~! 」
『暴虐』の『ヴィア』は落ち着かない様子でそわそわしている。
「腹減った……うがあががががが!! 」
『飢餓』の『リモス』が自分の腕に喰いつく。
「だるめんど」
『怠惰』の『オクニリア』は寝転がってしまった。
「やだあん、変なのしかいな~い! 善神にはいい男がいるかしら~」
『淫乱』の『ラグニア』が体をくねらせ、色気のある声を出す
「善神は死あるのみ」
『死』の『タナトス』がつぶやく
「まあ、リーダーは俺だね」
アパテイがそう言うと
「俺はリーダーの地位に飢えている……従わなければ殺す」
リモスがドスの効いた低い声を漏らす
「君が? 無理無理~! いいかいリーダーってのは……とにかく大変で……ごはんが食べられないんだ! 」
アパテイが陽気にそう言うと
「食べられないの!? じゃあ、やめる……」
リモスは引き下がった。
「そんなことより!! 早く善神を血祭りだぁ!! 」
ヴィアがでかい声を張り上げる。
「そうは言っても僕たち戦争の仕方を知らないんだよね~、どうするつもり? 」
アパテイが疑問をぶつけると
「ああ!! そんなの知るかよ!! 俺に指図してんじゃねえぞ!!! 」
ヴィアがアパテイを怒鳴る
「ちょおっと~、うるさい~」
不機嫌そうな声をラグニアが出すと
「あ~ん! これだから女は嫌なんだ! 」
ヴィアも不機嫌になる
「あんたも、女じゃない」
ラグニアがそう返すと
「屁理屈いってんじゃねえ!!!! 」
ヴィアが大声で怒鳴り散らす
「うるさい、死ね」
タナトスは小さくそう漏らすと
「ちっ! 女はうぜぇ! なぁ、オクニリア」
ヴィアがそう言ってオクニリアに同意を求めると
「うぜぇのはお前だよ……あと、お前も女だし、話しかけるな、返すのがめんどい」
オクニリアが疲れた声でそう言うと
「ああ!! てめぇ! チョーシに乗ってんじゃねえぞ!! 」
ヴィアがまた怒りだす。
「ぐぐぐぐぐぐぐ!! うるさい……うるさい……俺は静寂を求めている……! ヴィアからうるさいを無くす! 無くす! あああああああああああ!!!! 」
リモスが急にお声を出したと思うと、いきなりヴィアの顔面を殴りつける
「てめえ……! 殺す!! 」
ヴィアは顔全体にくっきりと青筋を浮かべ、リモスに殴り返す
「いだああ!! おおおおおおおお!! 許さない!! 」
リモスが怨念に満ちた声、顔、になる。
「上等だ! ぶっ殺してやる!! 」
ヴィアも怒りに任せて言葉を吐き、行動する。
こうして殴り合いが始まった。
「あんなの、ほっときましょ」
ラグニアは、肉と骨が壊れる音がしながらも、平然とそう言う
「ん~」
オクニリアのこの声は肯定の声
「あのまま、死ねばいいのに……」
タナトスはそうつぶやく
「で……作戦はどうする? 」
アパテイそう聞いても
「さあ……? 」
オクニリアは話しかけるなオーラを出したあと黙り
「そんなことより、どこかにいい男いないかしら? 」
ラグニアは会話する気がなく
「死ね」
タナトスも会話する気がない
「…………うん」
善神を殺したあと、こいつらも殺そっかな……
アパテイはそんなことを考えていた。