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ぎこちない朝

翌朝。


キッチンから、包丁の軽い音が聞こえていた。


トントン、トントン。


俺は眠い目をこすりながらリビングに出る。


「……ん?」


キッチンに立っていたのは凛だった。


エプロンをつけて、フライパンを見ている。


ジュッ、と焼ける音。


テーブルにはすでに朝食が並び始めていた。


味噌汁、卵焼き、焼き魚。


俺は少し目を瞬かせる。


「朝ご飯作ってるのか?」


凛がちらっとこちらを見る。


「……見れば分かるでしょ」


そっけなく言う。


俺は椅子に座りながら言った。


「へぇ」


それだけ言う。


凛は少しだけ視線を逸らした。


そのとき——


ドタドタドタ。


「おはよーーー!」


元気な声とともに葵がリビングに飛び込んできた。


その後ろから紬と奏も入ってくる。


葵はテーブルを見るなり、目を丸くした。


「え!?」


凛を見る。


「凛が朝ごはん作ってる!?」


凛が眉をひそめる。


「なによ」


するとソファーに座っていた奏が、くすっと笑った。


「へぇー」


腕を組んで、少し楽しそうに凛を見る。


「凛って朝ごはん作るんだ」


凛は少しムッとする。


「悪い?」


奏は首を横に振る。


「ううん?」


少しニヤっとして、


「でもさー」


俺をちらっと見てから言った。


「凛っていつも自分のしか作らないのにねー?」


その言い方が完全にからかっている。


凛の顔が少し赤くなる。


「別に深い意味ないから!」


葵がニヤニヤする。


「ほんとかなー?」


紬はテーブルを見ながら小さく言う。


「……でも美味しそう」


凛は少しだけ咳払いした。


「ほら、冷めるから」


俺は味噌汁を一口飲む。


「……うまい」


凛が一瞬だけこちらを見る。


すぐ視線を逸らした。


葵はその様子を見て、またニヤニヤしている。


「昨日何かあった?」


俺と凛の声が重なる


「「何も」」


声が重なる。


一瞬の沈黙。


奏がくすっと笑った。


「息ぴったりじゃん」


凛がテーブルを軽く叩く。


「もういいから食べて!」

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