調査を行う
書きたくなって書いてみました。
TRPGが趣味の一個人です。
不定期更新の予定?
私のシナリオの作り方はキャラクターとプレイヤーの性格を元に、このキャラならこう動くと考えるものです。
ですのでキャラとの乖離が大きくなるとエタり易いと自覚がありますので期待しないでお読みください。
以下、好きな作者さんを上げておきます
高千穂先生・笹本先生・安芸先生・リュート先生
一方某所
ガンッ、机を乱暴に叩きながら、男は目の前の部下に言った。
「見つからないだと。一体、どういうことだ」
「それがゴーザの手引きで、パイレーツの一部を差し向けたのですが、異常な連続超空間跳躍を行われて、行方を見失ったそうです。周辺のステーション、コロニーには見張りを置いていますが、現れる様子がありません。国境ステーションも同じです」
「大体、ステーションの中で確保するはずだっただろう。なんで、そんなことになったんだ!?」
「目標の一人が急用でも出来たのか、突然、もう一人を雇って王国に向かうことになったそうです」
「だからといって確保に失敗する奴がいるか! せっかくあれが手に入ったんだぞ・・・大至急、行方を捜せ! 人員は使えるだけ使っていい!」
「はいっ!」
「まさか、何か気付かれたんじゃないだろうな」
「いえ、対象は見習いと一般人です。気付くはずがありません」
「さっさと動け!」
駆け出していく部下を見送って男は呟いた。
「貴重なあれの材料が手に入ったんだぞ。これであれを褒美として貰えるはずだったのに・・・」
港の管理施設の電脳ルームにたどり着くと、リーフレットが自分の携帯電脳を接続して、仮想キーボードを操作している。
いや、リーフレットの様子がおかしい。キーボードを叩いているだけだ。
顔色も紙のように真っ白だ。
リーフレットの肩を抱いて制止した。
「リーフレットどうした? 何かあったのか?」
落ち着くのを待っているとリーフレットが話し始めた。
「{電脳投影}で、この電脳を掌握して、レンフォードさんに認証IDを送ったのですが。その後に、この電脳に繋がった上位の電脳が二つ存在するのに気がつきました。接続を辿って片方に侵入しようとしたのですが、私の思念体が消滅しかけました・・・」
「消滅するとどうなるんだ?」
「経験が無いのでわかりませんが、私の精神は死亡するかもしれません。ウィルスプログラムは{電光}で吹き飛ばせば今までは、問題がなかったので・・・」
電脳関係だと無敵だと思っていた{電脳投影}にそんな致命的な欠点があったとは!
震えているリーフレットを、抱きしめて落ち着かせるように背中を軽くポンポンと叩いた。スライム? も理解しているのか、ポヨンポヨンとぶつかっている。
「甘いものを食べると落ち着くぞ、どうだ?」
少し落ち着いたのを確認して、手を離しバルキリーの収納からエナジー・バーを取り出して差し出した。
リーフレットが、珍しくわかるほどにキョトンとした。
「どこから出したのですか?」
「バルキリーは装甲に、いくつか収納スペースがあるんだよ」
種も仕掛けもあるからな。
「だからってお菓子を入れなくても」クスリと笑っている。
「遭難でもしたら保存食は必要だろう。なんなら水筒もあるぞ」
水筒も取り出して渡す。
多少は気が紛れたようだ。思い出させるのもまずいとは思ったが、事情を聞く必要があった。
「話せるようなら詳しく教えてくれ」
「はい、閉鎖ネットワーク経由で上位の電脳に侵入しようとしたところ、精神波を吸い取られて思念体が解けかけました。ギリギリで解除して戻ることができましたが、あのままなら消滅していたと思います」
「わかった。ここの調査は俺だけで出来るからリーフレットは休んで・・・」と言いかけたらリーフレットの表情が変わった。まるで捨てられたかのような表情だ。縋りつくように抱きしめ返してくる。
「リーフレットは、まず落ち着くまで休んでくれ。落ち着いたら安全に注意して調査を手伝って欲しい」
そう言うと、リーフレットの表情が落ち着いた。
「そうですね。あれは、何かしら場に働く力だと思います。ですので、目の前にある電脳でしたら問題ありません。念のため先に、精神波で偽の信号を送ればそれが消滅するか否かで、安全確認が出来ると思います」
まくし立てるように喋るリーフレットに違和感を感じた。
自分の裸を見られたときも、欠損した欠陥品と言っていた、誰かに常々、言われていたように感じた。
もしかして、自分の有用性を常に示さないと自分が保てないのだろうか?
俺だって自分の得意分野で不要だと言われるのには抵抗を感じる。リーフレットは、それが行き過ぎているのかもしれない。
「どこか休めるところはあったか? 仮眠をとった方が良いだろう」
「わかりました。この建物に仮眠室がありますのでそちらで休みましょう」
しっかりこの建物の内部は把握しているようだ。
仮眠室までリーフレットを支えて行き、備え付けのベットに横にならせる。やはり無理をしていたのかすぐに眠りについた。
寝顔を見ているのも気まずいので、仮眠室から出て電脳ルームに戻った。
リーフレットに与えられた権限で、この隠し港について調べたが、俺にわかったのはこの港は奥にある別の施設に付随しているらしいということ。この港からは奥の施設に出入りするためのゲートが二つあること。物資搬出入用の大きなものと、人の出入りのためのものの二つだ。
この港から直接ステーション上層部などに行く方法はない。奥の施設から移動出来るのだろうか?
つまり、奥の施設専用の港になっている。これだけの施設を作るにはステーションを管理する側でなければ難しいだろう。
これ以上は奥の施設を調べなければ無理だと感じた。
「しかし、サイキックの行方不明を調べていて、精神波を吸収する力か・・・」
つい、独り言が口から漏れる。
ポヨンポヨン
ん? スライム? がわざわざ視界に入って跳ねる。
「なんだ? サイキックの行方不明についてなにか知っているのか?」ってそんなわけがない・・・よな?
ポヨンポヨン
「なにか知っているのか?」
ポヨンポヨン
「サイキックの行方を知っているのか?」
ポヨン
知らない? でも、なにかは知っている?
「行方不明になったサイキックを知っている?」
ポヨンポヨン
俺はその後、何度もスライム? に質問をぶつけて聞き出した。
どうやら、こいつは誰かサイキックと一緒にいて、そいつが奥の施設に連れ込まれる時にはぐれたらしい。
他のサイキックについては何も知らないそうだ。
俺達が、この港について調べていたので、連れ去った側ではないと考えて接触してきたようだ。
そのサイキックを助け出して欲しいらしい。
いつの話か? などは時間感覚が違うのか要領を得ないが、タイミング的にあの輸送船に乗っていたと思われる。
ようだとか、らしいとか予想ばかりだが・・・
「お前いくら何でも頭が良すぎないか?」
ポヨンポヨン
・・・「はい」ね。誰だよ、意思疎通は無理とか言った奴。俺だよ!
「あのレンフォードさん、なにをしているのですか?」
リーフレットが起きてきた。
「いや、こいつに事情を聞いていて・・・」
なんだろう、呆れているように感じる。何となく、リーフレットの感情が読めるようになった気がするな。
今はまったく嬉しくないが・・・
俺は必死でスライム? とのやりとりを説明する。
「まさかこんな手がかりが見つかるとは思いませんでしたね」
「まあこれに話を聞こうとはしないわな」
ポヨン
抗議するようにぶつかってくる。
「それでどうしますか?」
「どうするも何も、奥の施設を調べるしかないだろう。{電脳投影}なしでその上位の電脳をどうにか出来ないか?」
「無理です。感覚からしてあれは都市運営用のスーパー電脳クラスですね。同程度の電脳のサポートありで一週間で何とか出来るかというレベルです」
それに{電脳投影}仕掛けたってことは、{電脳投影}ありなら何とか出来るってことか?
「そうだ、もう一つあるって言っていたよな」
「そちらですか・・・少しお待ちください」
リーフレットは{電脳投影}を使わずに調べ始めた。
「デコイを送り込みましたが消滅しました。同じ力場のようなものが働いています。それでなのですが・・・この電脳は感触からして、オースティン中継ステーションを統括している都市運営用のスーパー電脳ですね」
「・・・つまり、奥の施設やこの隠し港がステーション管理側のものだと証明されたわけだ」
「そうなります」
完全に議員がサイキックの行方不明に関与しているのかよ。
議員に星系駐留軍、ハンターギルド支部と一部ハンター・・・俺達だけでどうしろと!
この港から積めるだけ、水とフードカートリッジ積んだとしてもワイバーンの積載能力では無寄港での脱出は無理だな。国境ステーションもあやしいし。
まあ、やることは変わらないな。奥の施設に潜入するしかない。
「奥の施設のセキュリティだけでもなんとかならないか?」
「すいません。ハッキングでは無理ですね。奥の施設へのゲートから、その監視装置まであちらの管轄です。先ほど発行した認証IDも、権限を付与するタイプですので、本来は施設側の身分証明書に付け加える形だと思います」
どこまでも向こうが上位なのか。
「ただ・・・この港の警備体制を考えると、何処かに大穴がありそうな気がしませんか?」
・・・今までを思い返すとありえるな。
「よしっ! 話していてもどうにもならない。実物を確認しよう」
「はい、わかりました」
俺達はゲートを物陰から確認してみた。
「物資搬出入口は無理だな。開けるだけでも安全装置の解除が必要だからすぐにバレる」
「出入り用も難しいですね。普通なら一つ監視装置を設置したら、その監視装置を守るように、他の装置を設置して相互に連動させるのですが、あれはそれぞれの効果範囲が重なるのも考慮せずに、ただただ、物量で監視しているだけです」
元セキュリティ会社勤務だと思うところがあるようだな。無駄は嫌っていそうだし。
しかし、壁面からゲートに至るまで真っ黒なんだが、何故だ?
「あの壁面素材なんだろうな? 質感は壁面パネルに吹き付けてクッション性を持たせる樹脂素材によく似ているが」
「樹脂素材を黒く塗装したのでしょうか?」
「わざわざ全部をか? 何かしらの理由がないと考えにくいな。それに、塗装だと質感は変わるから違うな」
「そうですよね」
「あれが精神波を吸収する力場を放っているとか?」
・・・ありえる
「ありえますね」
「だとすると、PSPセンサーの範囲外で直接触ってみるか」
監視装置の有効範囲やPSPセンサーと監視カメラの視角を考えると・・・
「向こうの端の方から死角だな。ありがたいんだが、セキュリティとしてどうなんだ?」
「レンフォードさん、ここの警備責任者に期待を持つのは止めましょう」
ついに、ここの警備責任者を無駄だと切り捨てたな。気持ちはわかるが。
死角に入り込み、壁面パネルに触って、精神波を浸透させようとしてみた。すると精神波が遮られる。
「リーフレット、精神波が遮られたが、力場とやらと同じか?」
「いえ、似てはいますが違いますね。力場の方は喰われるような感じでしたが、これは遮断でしょうか」
{千里眼}の視点を少しずつ近付けていくと、触れるか触れないかという辺りで遮られる。
「なるほどね。おそらく樹脂に混ぜ込まれている黒いものが、近くの精神波を遮る性質を持っているんだろう」
黒いのは粉末か?
「でしたら、この樹脂素材毎、まとめて削ぎ落とせそうですね」
バルキリーの腰の後ろから、サバイバルナイフを取り出して削ってみる。削れはするが時間がかかりそうだ。
「確かに削れるな。壁面パネルだとすると、脱落検知や破壊検知センサーは流石にあるよな?」
「あると思いますね・・・熱を加えすぎないように、溶断用のレーザートーチで螺旋状に樹脂を焼き落とせばいけると思います」
「作業ボット(作業ロボット)ってあったかな?」
「整備ドックにありますね」
「港の見取り図を転送してくれ。整備ドックに行って作業ボットを使おう。ただし、気付かれた時に、備えていつでも逃げられる準備はしておいてくれ」
「わかりました」
閉鎖式の整備ドックに向かい、内部を確認にする。
小型戦闘艦が二隻固定されている。
一隻は組み立て途中で止まっているらしく、後部のメインスラスター部分が存在していない。
「小型戦闘艦のナイト型が原型だろうな。なぜ、組み上げずに放置してるんだ?」
「さあ? 入港記録ではもう二隻、別の船がハンガーに停泊中のようです。ナイト型というのは良い船なのですか?」
「悪くはないな。ただ俺が購入するか? と聞かれたらしないな。銀河帝国製だが周辺国ならライセンス生産で建造している船だ。つまり、需要はあるんだがな」
「悪くはないのにですか、なにか問題でも?」
「単独運用には向いていないから、俺は選考外ってだけだぞ。全体的に良くまとまった船なんだが、唯一の欠点としてメインスラスターが弱い、だから加速に時間がかかる。カタパルト射出で初速を稼ぐっていう母船ありきの運用が主流だな」
姿勢制御スラスターは優秀だから回避性能もあるのに、何で機関部のスペースを十分とらなかったのやら。
作業ボットのメンテナンスドックを発見したので、操作用のアプリを、俺の携帯電脳にインストールして起動する。
共和国製の作業ボットで、特徴がないのが特徴って機種だ。俺としては何処かしら尖った性能の方が好きなんだが。
一台をゲートの監視に使用。二台を樹脂の除去に当てて、ミスリルバッテリーの残量が20%を下回ったら、残り二台に交代として補給に戻ると設定。
ミスリルにはBFエナジーを蓄積出来る特性がある。それを利用したのがミスリルバッテリーだ。
作業ボットには小型BF反応炉搭載型とミスリルバッテリー搭載型があるが、通常はバッテリー搭載型だな。小径のウィスプ結晶では高くつくからだ。
「よし、設定完了。後は作業場所に連れて行って、作業範囲と待機場所の指定だな」
「レンフォードさん、本当にいろいろ出来ますね」
探索者チームで嫌というほど下積みを経験してきたからな。経験だけは豊富なチームだったな。
「器用貧乏なんだよ」
死角に作業ボットを配置して作業を開始させる。
完了まで5時間ってところか。
「俺はここでしばらく様子を見ているから、リーフレットは管理施設で待機しておいてくれ。なにがあるかわからないから、仮眠もとっておいて欲しい」
{電脳投影}の件があったから理由をつけて休ませないとな。
「わかりました。ですが、レンフォードさん食事もとっていませんよね。仮眠室に自動調理機がありましたのでなにか食べてください」
こっそりエナジー・バーを、食べていたから大丈夫だとは言えないか。
「了解。後で食べる」
管理施設に向かうリーフレットを見送った。
しばらく見張っていたが誰かしら現れる様子はない。
杜撰だな、よくこれまで露見しなかったものだ。
呆れながら俺も仮眠室に向かった。
仮眠室につく、とリーフレットが待っていた。
「一緒に食事をとろうと思いまして」
呼べばすぐ来たのに。
食後はそれぞれ備え付けのベッドで横になる。様子を窺うが、うなされる様子はない。
スライム? がリーフレットに近づいていく。まさか、あいつもリーフレットを心配しているのか?
まあ、任せてみよう。
俺は今のところ、眠る必要はないが、身体は休めておこうと目を瞑った。
ピピピピ
アラームが聞こえて目を開ける。リーフレットの携帯電脳からのようだ。完了予定に合わせて、セットしてあったのだろう。
「おはようございます」
いや、朝じゃないけどな。ステーションの時間と関係なく行動をしているからどうでも良いか。
「ああ、おはよう」
俺は携帯電脳で、作業ボットの状況を確認した。特に、問題は無いな・・・無いことが驚きでもあるんだが。
ここの警備は本当に・・・
俺達は軽く食事をとってから問題の場所に向かった。
壁面パネル一枚分の樹脂の除去は終わっていた。
「リーフレット、精神波が通るようになっていたら、監視装置を調べてもらいたい」
「わかりました」リーフレットが壁面に手を当てている。
リーフレットは溜め息をついて「予想通り、脱落検知センサーと破壊検知センサーしかありません」機嫌が低下した気がする。
「一時的に無効化してくれ。その間に、センサーの固定を外してずらしておこう」
リーフレットが、無効化してくれたのを確認して{金属操作}で固定を外して{念動}で位置をずらす。もう一度、固定し直せばセンサーは無効化出来た。
そのまま、壁面パネルの固定も解除して、作業ボットに外させる。
奥にもう一枚、逆向きの壁面パネルがあり、その間は、配線の通る空間になっている。
精神波を浸透させて{透視}しようとすると遮断された。内壁も同じ壁面パネルのようだ。
もう一枚も同じ手順で外していく。
・・・裏側からだと何の意味もないよな? この壁面パネル
そこには十分に人が通れる穴が空いていた。
これでようやく奥の施設に潜入出来る。
出来れば誤字脱字報告お願いします。m(_ _)m
ちなみに句読点の使い方が下手な自覚あり




