宣教師
1572年8月某日
稗野の朝は、薄い霧に包まれていた。
新たに耕された御用畑の畝には露が宿り、大根の芽が出て、植え揃えられた薬草達の葉先がかすかに光を帯びている。
桃慧は柚と夜明けとともに馬を出し、山裾の道を岐阜城へ向かった。
東の空は澄み、昼の暑さを感じないほど冷えた空気が胸にしみる。
遠くに岐阜城の天守が白く浮かび上がるころ、城下はいつもの賑わいを取り戻していた。
目覚めの鶏の鳴き声、商人の声、鍛冶の槌音、往来する荷馬。
人混みを抜け丹羽邸に通されると、奥座敷には柔らかな朝の光が差し込んでいた。
綾は床の間に静かに座し、腕に生後半年ほどの男児を抱いている。
頬はまだ丸く、指は細く、小さな爪がわずかに光る。
桃慧は膝をつき、まず母の顔色を見た。
「お身体に何か違和感や痛みなど不調はございますか?」
血色、瞳の潤い、唇の色。産後の衰えはないか、浮腫は出ていないか。
「夜に少し咳をいたしました」と綾が言う。
「それはいけません、熱はございませんか?冷えたのでしょうか」
桃慧は綾の手を取り、脈を診た。規則正しく、落ち着いている。
「うん、ご心配には及びませぬ。夜は冷えますゆえ、肩を冷やさぬよう。母が楽であれば、子も楽にございます」
それから赤子の額に触れ、胸に耳を当てる。
鼓動は軽やかで、乱れはない。
喉に指をあて、背をやさしく撫でる。
やがて赤子はむずがり、澄んだ声で笑った。よく通る、力のある声だ。
「健やかにございます。綾様の咳の心配がある故、念のため後ほど喉を温める薬を煎じをお持ちいたします。強いものではございません」
綾の表情がほころぶ。
「桃慧様がいらしてくださると、安心いたします」
綾が桃慧に赤子を渡す。
「かわいらしいですね」
桃慧は優しく赤子を抱き目を細め、その姿を眺める。
「桃慧様は幼子がお好きなのですか?」
柚がニコニコと桃慧の顔を覗き込む。
「ええ、とっても愛らしくて、この頬を見ていたら吸い込まれてしまいます。」
桃慧はぷにぷにと頬をすり合わせ笑みを溢す。
その様子を見て柚が身悶えている。
「桃慧様は良い母になると思いますよ。好きな殿方はいらっしゃいませんの?」
綾が背を伸ばしながら問いかける。
綾の一言に柚が恐ろしい速度で桃慧を睨むように目線を向ける。
「私にはそのような方まだ居ませんね、医僧の身ゆえ、嫁になどもっての他ですし。」
菩薩のような優しい表情で赤子をあやす。
「当分は上様から任せられた勤めが我が夫ですね」
「あら、そうなの?残念、桃慧様が良ければ当家の側室でも良くてよ?」
「綾様!?」
柚が思わず口を出す。
「冗談よ」
綾がふふふと微笑み桃慧はピンと来ないようで眉間に皺を寄せ首を傾げる。
背後で柚は胸をなでおろし、診察の道具をしまい、薬を取り出し綾に手渡す。
「栄養薬です。飲んでも母乳などに支障はありません。赤子にも大丈夫ですので安心して食事の度に一緒に飲んでください」
柚が薬効を説明して綾は薬を手渡す。
「ありがとうございます。」
穏やかなやりとりの最中、廊下を急ぐ足音が響いた。
襖が開き、丹羽長秀が姿を現す。
常の沈着は保っているが、眼差しに緊張がある。彼はまず妻子に目をやり、続いて桃慧を見る。
「おはようございます桃慧殿、具合は?」
「丹羽様おはようございます。大事ございませぬ。お健やかにございます」
長秀はわずかに息を吐く。
「ほぉ、それは何より。」
それから言った。
「そういえば上様から南蛮の宣教師が来るので見に来ないか、と言伝を受けている。大丈夫か?」
「上様から?南蛮の宣教師ですか?なぜ私に?」
長秀は桃慧の腕に抱かれる息子が笑顔ではしゃいでる姿に思わず笑みを零しながら、桃慧より息子を抱き上げあやす。
「それが何やら南蛮から様々な品が贈られて来たようで桃慧殿の興味をそそる品が有ればとの事」
「南蛮の品ですか?確かに面白そうではありますが……。では伺おうかと思います。」
桃慧は赤子の背をもう一度撫で、脈を確かめてから笑顔を向け「また来ますね」と赤子に挨拶する。
向きを変え「それではまたお邪魔致します。少しでも体調に変化があればすぐにお呼びください」
ふたりに頭を下げると、綾も笑いながら軽く頭を下げる。
長秀の口元がわずかに緩む。
「其方も上様の直臣なのだ、対等故そこまでひれ伏さなくても」
「いえ、私は女子ですので、殿方と対等ではございませぬ」
「それにしてもだ、我が屋敷の中では不要だ、楽にしてくれ」
長秀が頭をかきながら恥ずかしそうに桃慧に微笑む
「そうですよ、ここでは桃慧様は当家家族の一員も同然です。」
「いや、そ、それではえーっと、失礼いたします」
桃慧は少し恥ずかしそうに再度一礼し、丹羽邸を出る。
柚も見送る2人に丁寧に頭を下げ荷物を背負いその場を後にする。
城内に赴くと城内はすでに騒がしい。
広間に通された宣教師らは、黒衣をまとい、胸に十字架を下げていた。通詞を介し、恭しく言葉を述べる。
献上の品々が次々と運び込まれた。
星のごとき尖りを持つ甘い菓子――金平糖。
透き通る硝子の器。
異国の意匠を帯びた西洋の剣。
装飾豊かな鎧。
中央アジアの市で得たという絨毯。
煌びやかな陶器。
信長は剣を手に取り、重みを測る。
「ほう……刃の重心が違う」
鎧を叩き、音を確かめ、絨毯を踏み、織りを見極める。
広間の視線が珍品に集まる中、桃慧の目はただ一人の宣教師に向いていた。
年長の男。
顔色は蒼く、口唇は乾き、言葉の合間にわずかに喉を押さえる。
立ち上がる際、腹を庇う仕草。歯茎の縁が赤い。
長き航海にて野菜の不足、胃の炎症。
見るからに辛そうであるが作り笑いと手振りを行い信長の機嫌を窺いつつ話を進めている。
15分程の面会が終わり宣教師らが辞した後、桃慧は石段を下る彼らを呼び止めた。
「お待ちください」
通詞が振り向く。
宣教師は桃慧を見下ろす。
若い娘。寺の者たちが身にまとう服、信奉する神の敵の服。彼の目には、ただの浮浪人、もしくは話すに値しない者に映った。
「何用です」
声音は、やや硬い。
桃慧は静かに言う。
「腹が痛みますでしょう。吐き気や節々の痛み。歯茎も腫れている」
宣教師は眉をひそめる。
「我らには我が神に仕える医師がいます。ご心配には及びません」
通詞越しの言葉には、わずかな侮りが滲んでいた。
桃慧は表情を変えない。
「直ぐに対処しなければ重症化します」
宣教師は視線を逸らす。
「異国の者に、我らの病が分かるとは思えません」
そのとき、城門外に控えていた柚が一歩進み出た。
「そのお方は、織田家直臣、医務衆筆頭、御医頭の桃慧様にございます」
医務所よりで迎えに来ていた宗次が静かに宣教師を見据える。
宗庵は穏やかな声で付け加える。
「この桃慧様は信長様の命を預かる御方です」
通詞が宣教師に事情を説明すると表情が変わった。
周囲の使者達の視線も、桃慧へ向けられている。その驚愕と敬意は明らかだった。
ただの従者ではない。
宣教師はゆっくりと向き直る。
「……失礼いたしました」
わずかに頭を下げる。
「腹が痛み、食が進まぬのは事実です。長く続いております」
桃慧は短くうなずく。
「医務所へお越しください。どうぞ」
医務所に通し、脈を取り、腹を触診する。軽い発熱。胃の圧痛。歯茎の腫れ。
麦湯に蜂蜜をかき混ぜ、柑橘を搾り、差し出す。 ※麦湯=麦茶の様なもの
「少々味は良くないですが症状を緩和する薬です。ゆっくり飲んでください」
宣教師は従う。喉が潤い、香ばしいような甘酸っぱいような飲み物に表情が曇る。
「おぉ、あーーっ」
久しぶりの甘い飲み物にとりあえず喜んでいるようだ。
それに玄米と豆、梅干を混ぜた握り飯と乾燥梅肉、生姜、陳皮、甘草を調薬、調合し、三日分を包む。
「握り飯はお腹がすいたらお食べください。乾燥梅肉などはお湯に混ぜて食し、水を多く。肉は控えること」
宣教師は静かに言う。
「感謝します、このような優れた治療所があるとは思ってもいませんでした。我が国にもこのような優れた設備はなかなかありません。」
桃慧は答える。
「上様のおかげでここがあります。上様の御友人とあらば手を貸すのは当然のこと。お気になさらず。」
宣教師たちは手厚い治療に喜びながら宿泊先へと帰っていく。
その三日後、宣教師は再び訪れた。
顔色は明らかに良い。歩みも確か。
「驚きました。長い日々苦しんでいた腹痛や気怠さが二日で消えました」
通詞の声は驚きを含む。
宣教師は深く頭を下げた。
「改めて先日の非礼、お詫びいたします。あなたはただ者ではない」
桃慧は微かに笑う。
「ただの医者ですよ」
宣教師は続ける。
「医者であれば良い物をあなたに贈らせてください。我らは酒より強き精を取り出す器を用います。」
桃慧の目が、静かに光る。
「酒より強き精……つまり酒を濃くするという事ですか?」
宣教師はうなずく。
「一度船に戻り、またこちらに来ます、あなたの役に立つはずです。」
そういうと宣教師たちは岐阜に滞在するはずの期間を繰り上げ一度堺の港へ戻っていく。
再び行列が現れたのは1週間ほど経ったころだった。
事前に書状で指定があった者達、「医務衆」としてではなく、稗野から呼び寄せた酒蔵の主たちと農民数名の“付き添い”として、町人の倉へ通された。
表向きは献上品の受け渡しと目録の確認。
だが実際は、宣教師が口にした「水を火で分ける器」の実演を、目の利く者だけに見せるという、信長の許しの下の見世物だった。
土間に敷かれた荒筵の上に、異国の器が据えられている。
銅の釜、腹の丸い壺のように見える。
口には半球の蓋が乗り、その蓋の先から嘴のような管が伸び、横へ弧を描いて下がっていた。
管の途中には細い巻き管が見え、木桶の水に沈められている。受け口の下には硝子の瓶。
蔵内の灯が硝子の肩に揺らぎ、薄青の光を返した。
「アランビク……我らの言葉では、蒸留の器です」
宣教師の一人が、わざとゆっくりとした日本語で告げた。長衣の袖から出た指は白く、だが爪の間は航海の者らしく黒い。
彼の背後には、船医らしい男が控え、器具を扱う手つきだけが職人のそれだった。
桃慧は一歩も前へ出ない。だが眼だけは、器の継ぎ目、銅の厚み、蓋の合わせ、管の傾き、水桶の高さ、すべてを拾っていく。
隣では稗野の酒蔵の主、白髭を撫でる男が無意識に唾を呑み、農民たちは火を怖がる子のように肩をすぼめていた。
「まずは酒、いや、醪でもよい。ここに入れる」
船医が桶から木杓子で汲んだのは、薄い酒のような液だった。
宣教師が持ち込んだ葡萄酒ではなく、堺の商人が用意した濁りの少ない清酒を、試しに使うのだという。銅の釜へ流すと、金属の腹に当たって、冷たい音がした。
「火で温めると、酒の中の“精”が先に蒸気となる。水は遅い。だから分けられる」
宣教師が言う。「精」という言葉をわざと選んだのは、聞き手に馴染ませるためだろう。酒蔵の主が眉を寄せる。
「……湯気と同じか?」
「似ているが、違う。匂いが変わる。ここを見てほしい」
船医が蓋を載せ、合わせ目に灰色の粘りを押しつけていく。粟飯の糊に似たものだ。桃慧が小声で問う。
「それは何を?」
「小麦粉と水。捏ねて封をする。蒸気が漏れると、力が逃げる。危ない」
桃慧は頷く。気密、その概念を、宣教師は素朴な言葉に落として見せた。酒蔵の主も同じところでうなずいている。職人は説明より目の前の“手”で納得する。
火が入れられた。薪がぱちりと爆ぜ、釜の底がじわじわと熱を含み始める。銅は温まりが早い。土間の湿気の中、金属が少しずつ吐息をするように鳴った。船医が水桶へ手を入れ、冷たさを確かめる。桃慧はその動作で、冷却が要だと悟る。
「水を絶やさぬこと。温くなると、蒸気が戻らず、酒が取れません」
酒蔵の主が口を挟んだ。
「なら、氷や雪なら……」
船医が肩をすくめる。
「冬は良い。夏は水を替える。あるいは流し水。桶に穴を開け、上から冷水を足し、溢れさせ続ける」
農民が「もったいねえ」と囁いたが、桃慧の眼はむしろ静かに光った。水の使い方は、薬草畑の灌漑とも同じ“循環”の話になる。
しばらくすると、嘴の管がかすかに震え、先端の受け口に、露が生まれた。
最初の一滴は、躊躇うように丸く膨れ、ぽとりと落ちる。
硝子に当たって、乾いた音がした。次いで滴が続き、やがて細い糸となる。蔵内に、酒とは違う匂いが立った。刺すような、しかし甘い匂い。
鼻の奥がひりつく。
「これが“酒精”だ」※酒精=アルコール/エタノール
宣教師は誇らしげに言ったが、船医は手を上げた。
「……でも最初は捨てる」
日本語が拙いのか、言葉が乱暴になる。彼は受け瓶をいったん外し、小さな器に数口分を落とさせ、布に含ませて火の近くへ持っていく。
焔がふっと青く走った。農民が思わず後ずさる。
「危ねえ!」
「だから捨てる。強すぎる。匂いも悪い。頭の部分だ」
桃慧はその“捨てる”に引っかかった。医師の目は、危険と効用を同時に数える。
「なぜ強すぎるものが先に出るのです?」
宣教師が言い淀む。船医が短く答えた。
「軽いものが先。酒の中にはいろいろ混じる。よい部分は真ん中」
酒蔵の主が、まるで麹の出来を嗅ぎ分けるときのように鼻を動かした。
「酒の“芯”だけを取る、ってことか」
船医は頷き、火を少し落とす。
薪をずらし、空気を絞る。
沸かせばよいのではない、沸かしすぎれば水まで混じって薄まる。
火加減は、蒸し米と同じく職人の腕で決まる。
滴は落ち着き、匂いが変わった。刺すばかりだった香りが、まろく甘くなる。
宣教師が瓶を取り替え、今度は丁寧に受け始める。硝子の底に透明な液が溜まり、灯の光を透かして揺れた。
酒蔵の主が恐る恐る指先に一滴を載せ、嗅いで、舌で触れた。
「……かーっ…...こりゃ焼けるみたいな酒だ、いや酒じゃねえ。まるで薬だ。でもこれはこれで美味い」
その言葉に桃慧は小さく息を吐く。
まさにそこへ、彼女の目的がある。
医務衆は蒸留を“作業”として抱え込まない。
稗野の者たちが持つ発酵の技と、火の扱い、甑と桶の知恵を借り、その上に“薬の使い道”を積む。
それが最も強い。おいしい酒ができるのであればよい一層の協力が得られるだろう。
桃慧は宣教師に向けて、淡々と問いを重ねた。
「この液は、傷の洗いに使えますか?」
宣教師が得意げに頷く前に、船医が先に答えた。
「いやこれは酒を強くした酒、治療には向かないな。少なくとも私は試したことがない。」
船医の言葉を聞き腑に落ちないような表情の桃慧。
そんな桃慧を尻目にあやめが問う。
「さっき言ってましたがこれに薬草をこれに漬ければ……」
「抽出できる」宣教師が割り込む。
「苦い葉、香りの花、根。水よりも強く成分を引き出す」
桃慧とあやめは、頭の中で薬草の棚を並べ替えた。薄荷、当帰、甘草、ヨモギ、ドクダミ。
油気のあるもの、香りの強いもの、水では取れぬ力がここで取れる。
だが同時に、濃すぎる毒にもなり得る。
「……強い薬ができるならば、用量はこちらで新たに試してみる必要がありますね。」
桃慧の声は冷たいほど落ち着いていた。
「新しいお薬の実験好き~、いいお薬ができるといいね」
あやめが桃慧に笑顔で話しかける。
宣教師は一瞬、やはり少しこの医者達はおかしいと感じたようで口を閉じ、農民と酒蔵の主たちのほうへ視線を向けた。
彼らが桃慧を見る目、畏れと信頼が混じった視線それが答えだった。
蒸留は続いた。
船医は時折、受ける液を掌でこすり、匂いを嗅ぎ、火を調整し、水桶の水を汲み替えた。
桶の水がぬるむと、巻き管の外側に凝った露が減り、滴が細くなる。
水を替えるとまた勢いを増す。見ているだけで、仕組みが身に入る。
酒蔵の若い衆が、木桶に小穴を開けて細く水を落とす案を口にし、農民が「川から引ける」と続けた。
すでに稗野の現場へ落とし込む算段が始まっている。
やがて匂いが重くなった。甘さの奥に焦げたような油のような気配が混じる。
船医が顔をしかめる。
「終わりに近い。ここからは別にする。尾の部分だ」
最後の分を別瓶へ受け火を止めた。釜の腹がきしみ、静けさが戻る。
蔵の梁で蝉が一声鳴いた。
宣教師が得意げに、瓶を差し出す。
「これが――“命の水”。アクア・ヴィテ」
桃慧は受け取らない。
受け取るのは酒蔵の主だ。
主は両手で瓶を支え、まるで新酒の初搾りを奉るように深く頭を下げた。
「……この村の酒が、人を助ける酒になるなら、わしらの仕事も捨てたもんじゃねえ」
農民たちが小さく笑い、しかし笑いの中に緊張が残る。火と酒が、いつもより危うい形で結びつくからだ。桃慧はその空気を受け止め、静かに言った。
「作るのは、あなた方の手です。私は、使い道と、守り方を決めるだけ」言い切ったとき、酒蔵の主が初めてまっすぐ桃慧を見た。
医の娘の目は、火を怖がらない。酒を怖がらない。怖がるのは命を粗末にすることだけだ、とでも言いたげだった。
宣教師はその場を“文明の披露”として終えたつもりだろう。
だが桃慧と稗野の者たちにとっては、ここからが始まりだった。
稗野の清い水と、蔵の闇と、麹の息遣いが異国の銅の器と結びつく。
「ふふふ、これは色々試しがいがありますね」
怪しく微笑む桃慧の姿にあやめが少し不気味さを感じたのは言うまでもなかった。




