表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

魅神レオンはVTuber!

作者: enishi

「Good evening!みんな元気してた?魅神(みかみ)レオンで~す!!

 いやあ、暑いですね。こちら京都は京都特有の湿気が多い蒸し暑さに参ってるよ。でもさでもさ、京都の夏は祇園祭に五山の送り火と歴史ある行事があるよー!!」


 画面の中の2Dキャラクターが笑顔いっぱいで話している。


 >チャット欄

「レオンちゃんこん~」

「こんばんわ」

「祇園祭行きたい!」


 次々と書き込まれるチャット欄

 魅神レオンはチャンネル登録者20万人を誇る人気女性VTuber

 ゲーム配信や雑談、歌ってみたなどで高評価を得ている。

 ロック音楽が好きなボーイッシュガール。現在の視聴者数は2万人である。


「ではでは、今日はレトロゲームをやりたいと思います。その名も

 ファイナルドラゴンストーリー!!中古ショップにて見つけたよ。みんなこのゲーム知ってる?」



 >チャット欄

「おおー!!ファイドラ!!」

「懐かしい~」

「わが青春なり」

「ナイスチョイス」


 ファイナルドラゴンストーリーとは90年代に発売されたRPGで勇者率いる4人パーティーで悪いドラゴンを退治しに冒険に向かう王道のストーリー。


「結構知ってる人多いなあ。今日は実機でやっていくからね~。

 しばしお待ちを」


 ゲームがスタートする。

 セーブデータにはナツオという前の持ち主であろうプレイヤーの残したセーブデータがあった。


「あはは、ナツオ君だってさ。前の持ち主だろうね?」



 突然にわかに騒ぎ出すチャット欄のたくさんの視聴者。


 >チャット欄

「え!!!ナツオ!?」

「まさか、あの都市伝説の?」

「ナツオデータ!!!」

「うおおおおおおおお」


 チャット欄の書き込みがすごいことになってきている。



「なになに?どうしたの皆?ナツオデータってどういうこと?」


 ん?メッセージだ!」


 ()()()()()()()



「ボクヲミツケテだって、なんだこれは?」


 画面にはボクヲミツケテという謎の文字が流れた。


 >チャット欄

「ナツオからのメッセージだ!」

「ちょっとホラーw」

「隠しステージかな?」



 ナツオデータとはこのファイナルドラゴンストーリーの開発者である夏夫本人がクリアーしたデータのことである。このゲームはストーリーを完全クリアしたときにだけ、次のプレイヤーへ向けて12文字までのメッセージを残すことができる仕組みがある。

 このボクヲミツケテというメッセージは開発者の夏夫本人からであり、中古ゲームで恐らくは1本しかないであろう何万分の1の確率でナツオデータを引き当てた強運の魅神レオン。ネットオークションであればものすごい高値が付くであろう。



 >チャット欄

「レオンちゃん、さすが持ってるね~!」

「人気配信者だからねー」

「スゲー」


 視聴者の書き込みで事の大きさに気付くレオン。

 この超レアデータの入ったソフトを何気なしに引き当てていた。


「これは完全攻略するしかないね!とりあえずやってみるか」


 ファイナルドラゴンストーリーのゲーム配信は3日目を過ぎていた。特に高い難易度ということもなく、サクサクと進み配信3日目でラスボスのドラゴンを倒してゲームはすんなりとクリアーしてしまった。



 >チャット欄

「あれ、終わり?」

「すんなりだ」

「最初のメッセージはどゆこと?」



 あちらこちらと街をめぐりダンジョンを駆け巡ったが、あのメッセージの意味が分からない。

 頭を傾げるレオン。ラスボスは倒してゲームはクリアした。だけれど最初のメッセージにあるようにナツオというキャラクターは一度も出てきていない。これが完全クリアではないのか?

 画面の中で両方のこめかみをくりくりとするレオン。40年前のレトロゲームであるからインターネットにもこのゲームの情報は少ないようだ。視聴者たちと謎について話す。


「最初のボクヲミツケテというナツオからのメッセージはどういうことなんだろう?それらしきキャラクターやクエストはなかったよねー。みんなどう思う?」



 >チャット欄

「謎が深いメッセージだな」

「もしかして、ガセネタ?」

「う~んw」


 手詰まり感が漂う中、一人の視聴者からのチャットでことは動き出す。


 >チャット欄

「某ゲームでは壺の中や地面にレアアイテムが落ちてることがあるから、探してみたら?」

「ナイスアドバイス」

「それだ!」



「おおお、それはいいかも!時間かかりそうだけどやってみるか~」


 そして配信4日目。


 1つは火山の頂上に、1つは井戸の中に、最後の1つはラスボスのドラゴンの玉座の後ろにそれぞれ「ナ・ツ・オ」

 というピースを見つけたレオン。その3つのピースはジグソーパズルのように凹凸がぴったりとハマった。


「すごーい!!みんなの言う通り3つそろったらナツオになったよー。

 でも、これをどうしたらいいんだろう。これをどこかに持っていけばいいのかな?みんなわかる?」



 >チャット欄

「謎だー」

「謎がむずすぎでしょ?」

「う~ん、わからない」


 そしてレオンは思いついた。序盤に入れなかったオフィス風の建物へ行く。

 この建物はこれまで大きくストーリーに関係がなかった。2人の受付嬢NPCに何度話しかけてもこれまでは「いらっしゃいませ」としか言わなかった。

 そこがレオンにはどうしても引っかかっていたのだ。

 その受付に3つのピースを見せる。


「ナツオ代表がお待ちです」


 という初めにはなかった受付NPCのセリフが流れた。



 >チャット欄

「げげげ、ついにナツオ登場か!」

「物語は動き出した」

「レオンちゃん、冴えてるねー」

「裏シナリオ発動w」



 レオン率いる勇者一行は狭いコンピュータールームへ通される。

 そこにはドット絵ではあるが右手にゲームのコントローラー、左手に栄養ドリンク。下はジーンズで上は黄色いシャツ、シャツからはみ出た下腹。少しぽっちゃり体系のナツオがいた。


 ナツオ

「よくここまでたどり着けたね。君は本当にすごい勇者だ。そんな君と最後の戦いをしてみたいな!」


 そして真のボス、ナツオとのバトルが始まる



 通常攻撃がなんと全体攻撃で攻撃力も高い。

 そして毒、呪い、麻痺、睡眠、石化と様々な状態異常の雨あられ。

 魔法攻撃も効かない、HPは半端なく多い。

 レオンは何度も立ち向うが歯が立たない。



 >チャット欄

「これ無理ゲーでは?」

「難易度おかしいだろ」

「レオンちゃんファイト!!」


 視聴者と作戦を練る。


「何か攻略法はないのかなあ?ネットにもこのゲームの情報がラスボスのドラゴンまでなんだよなあ。」



 >チャット欄

「あ、ナツオは昔ハイキングで野草をかじってお腹を壊したって書いてあるよ?もしかしたらアイテムの薬草が効くかも?

「敵に薬草?」

「マジすか?」

「リアルナツオ情報w」


 第10戦目


 いきなりナツオめがけて薬草を使うレオン。

 なんとナツオは悲鳴を上げた!HPは半分になり、攻撃力、防御力ともに半減した。魔法も効くようになる。左手の栄養ドリンクで回復しようとするが、すぐさまレオンは薬草を投げる。


 >チャット欄

「レオンちゃんサイコー」

「はらはら展開」

「まさに神回だ!」

「薬草が弱点www」


 ナツオは必死に栄養ドリンクで体勢を立て直そうとするが、レオンはそのたびに相手の弱点の薬草を使う。徐々に弱っていく真のラスボス、ナツオ。

 レオン率いる勇者はクリティカルヒットでついにナツオを撃破した!


 >チャット欄

「おおおおおおおおおお」

「やったー!」

「乙乙です」

「感動した!」



 そして完全クリア報酬でラストメッセージを書く。



「ナツオ!みつけたよ!レオン」



 ファイナルドラゴンストーリー発売から40年。日本でもこの裏シナリオをクリアしたのは数人だけであろう。魅神レオンの今回のゲーム配信は大好評となった。このラストは神回と言われた。

今回は魅神レオンというVTuberを登場させて、エンタメ性のある作品となりました。


楽しんで頂けたらリアクション、感想、高評価など切にお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ