第1話:異世界、第一声は「冷たっ」
神聖ティア教会の大広間── 荘厳な柱と魔法陣が輝き、王と側近たち、神官、軍の幹部が居並ぶ中、聖女ラミナ・エル=フロウが静かに祈りを捧げていた。
「我らが世界を救う勇者よ。神の加護を受け、この地に降り立たれよ──」
神殿の空気が張り詰め、魔法陣がパアアッと輝く。光が広がり、空間が歪む。
「来ます……!」
ラミナが神々しくつぶやいた。
そして──
光の中心から、白く、つややかで、なめらかな……何かが現れた。
神々しい光に包まれたそれは、丸みを帯びた柔らかな曲線で、なにか聖なる器のようにも思えた。
だがそれは、ゆっくりと回転しながら角度を変え──その正体を現す。
瞬間、全員の脳内に同じ結論が浮かぶ。
(((……尻じゃね?)))
──そう、それは召喚された勇者の、堂々たる生尻だった。
誰もが目を疑う中、尻はくるりと回転しながら床に着地する。
そこには膝を抱えてうずくまり、ズボンを下ろしたままの少年がぽつんと座っていた。
「ひゃっ!?つめたっ……なにこれ?床!?」
「………………」
「………………」
荘厳な神殿に、水を打ったような沈黙が広がる。
その場にいた誰もが息をすることすらはばかられるような空気に呑まれる。
聖女ラミナは、ほんの一瞬だけセイイチの方を見て、すぐに目を逸らした。
そして、まるで何事もなかったかのように淡々と告げた。
「召喚、成功です……器用な着地ですね」
「なんかちょっと笑った」「続きが気になる」など思っていただけたら、
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