第0話:このタイミングで召喚します?
早川誠一、17歳。ごく普通の高校生。
――俺は、ただトイレをしていただけだった。
いつもの学校、いつもの個室。ドアを閉めて、座って、ふぅと一息。
つかの間の一人きりの時間ってやつだ。
授業も、人間関係も、なにもかもが面倒くさい。
個室にこもれるこの数分だけが、心穏やかになれる瞬間だった。
……と、思ってたのに。
「……あ」
紙が、なかった。
「……マジかよ。終わった」
まさかこのタイミングで紙が切れてるとは。
そういえば、さっき出ていったやつ、やけに内股で歩いてたな……しかも、変に早足で。
あれ、絶対拭いてねぇだろ。
「……はあ」
仕方なく天井を見上げて、思わずつぶやいた。
「……もう、いっそ異世界にでも行きてえよ……」
その瞬間、パアアッ……天井が、急に光りだした。
「……え?」
光はジワジワと広がって、まるで魔法陣みたいな模様が天井いっぱいに広がっていく。
「ちょ、なんだこれ……え、なに?」
全然状況が理解できないまま、光はどんどん強くなり、ついには天井が開いたように見えた。
天井から伸びる光が俺を包み込む。
「うわああ!?」
瞬間、体が浮かび上がる。
ズボンは下がったまま、足もバタつかせる余裕もなく、そのまま体が光に吸い込まれていった。
「え!?いやせめて拭かせてぇぇぇええ!!」
ここから、俺の異世界生活は始まった。
タイトルを見て「うわ、このすばじゃん」と思ったあなた、正解です。
自分なりの異世界コメディを描いてみたくて始めました。
次回から本編、いよいよ始動です。
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