人をふにゃふにゃにするスイッチ【その他_童話】
ジャンル:その他_童話
タイトル:人をふにゃふにゃにするスイッチ
https://ncode.syosetu.com/n2840il/
◇作品紹介◇
――人に向かってこのスイッチを押すと、その人はふにゃふにゃになるんじゃよ。
小学六年生のケンゴは、近所に住んでいる発明家のフジ博士から珍妙な発明品をもらいました。その名も“人をふにゃふにゃにするスイッチ”。消しゴムくらいのサイズの黒い小箱で、そこには押しボタンが三つ付いています。つまり、三回まで人をふにゃふにゃにできるらしいのです。
「精神的にふにゃふにゃになるだけじゃ」
博士の説明を聞いたケンゴは、お父さんとお母さんに一回ずつ使いたいなと思っていました。それもそのはず、二人は年がら年中ケンカばかりしているのですから。
しかし、いきなり両親に使用するのは少し怖いなと思ったケンゴは、まずは学校にいる誰かで一回分だけ試してみようと思いました。
【投稿日】2023/11/22
【URL】https://ncode.syosetu.com/n2840il/
(シリーズの「まさかミケ猫 全ジャンル傑作選集」リンクから全ジャンル踏破企画の全作品を辿れます)
※以下、作品のネタバレを含みます
みなさんこんにちは。近所に住むマッドな博士って存在自体がロマンの塊ですよね。実在しないかなぁと夢にみています、まさかミケ猫です。
今回は「その他_童話」ジャンルの傑作を書いたので紹介していきたいのですが、みなさんは童話を読んだり書いたりしますでしょうか。私はけっこう好きなんですが。
やさしい言葉で物語を作るというのは、普通に小説を書くよりも難易度の高い創作だと思います。子どもでも読めるような柔らかい表現と展開で、読者感情を繊細に揺らしに来るわけですからね。本当に素敵で奥深いジャンルだと思っています。
◆発想のきっかけ◆
本作は第32回「ひだまり童話館」企画に参加し、お題である「ふにゃふにゃな話」に沿って作品を考えました。
実はかなり昔に、童話ジャンルを書きたくて色々とこねくり回してた時期があったんですよね。それで短編を書いたりもしたんですが、読み返すと正直ちょっと微妙で。でも今だったら、もう少しうまく書けるんじゃないかと思って挑戦してみました。
テーマから連想して「人をふにゃふにゃにするスイッチ」というのはわりとすんなり出てきたので、そこを起点にしてお話を広げていきました。なかなか良い話に仕上がったんじゃないかと思ってます。
◆こだわりポイント◆
作品を面白くするストーリーの仕掛けって色々あると思うんですよ。ミステリだったら謎を散りばめて読者をぐんぐん引っ張りますし、SFだったら架空技術で不条理を叩きつけながら転がしたりしますし。それで、今回はどんな仕掛けのお話にしようかなと色々と思案したのですが。
本作は「ルール」という仕掛けをしてみました。
これは昔話とかでよくあるんですが、例えば十二時になると魔法が解けるだとか、三枚のお札を使って鬼から逃げるだとか、玉手箱は決して開いてはいけないだとか、そういった制約条件を軸に主人公が右往左往することで読者を引っ張るタイプのお話ですね。
本作では「スイッチの使用は三回まで」というルールを軸にして、それをどう使うのかケンゴに悩んでもらったわけです。
◆苦労したポイント◆
全部書き直しました。
いや、あのですね……私の言い訳をちょっと聞いてください。えっと、実はケンゴくんがどうしても暴走してしまう子なんですよ。もうなんか、どうしようもなくなっちゃって。
ケンゴくんって小学六年生にしては肝が太いところがあるというか、意外とファンキーな奴じゃないですか。
それで、第一話の末尾でリカコちゃんを相手にスイッチを使いますよね。初期ケンゴくんはあのシーンで、めちゃくちゃエゲつないざまぁをノリノリで展開してくれちゃっていましてね……いいんですよ。面白かったんです。私も書いててスカッと爽快な気分になりましたし、リカコちゃんざまぁって、なってはいたんですけれど。
ただ……こりゃ童話じゃないなぁと。
ひだまり童話館様の企画に参加させていただく以上は、読者に与える感情は「ほんわか」だったり「ほのぼの」だったりを狙わなきゃいけないじゃないですか。そこに「すっきり」とかは全く求められていないんですよ。
だから、リカコちゃんのシホちゃんへのイジメの内容もガツンと削ってヘイトを減らし薄味に、ケンゴくんのリカコちゃんへの煽りも削りに削ってふんわり抑え、そうなるとケンゴくんの性格はもうちょっと大人しく抑えないと作品全体で不整合が起きるから……と、冒頭からガッツリ書き直しました。
ただ、結果として他の童話と並べて見ると、全然ほんわかしてなくてですね。
今になって考えると、童話で起こす事件ってもっと些細なもので良いのかもしれません。小さな子や不思議な動物なんかの視点で、大人からすると小さな問題だけれど、彼らなりに真剣に悩んでしまうようなもの……ですよね。いや、普通に考えたらそうですよね。そうなんですよ。
というわけで、次に童話を書く時はもう少しほのぼのとした作品が書けると思います。私は学びました。
◆「童話」の魅力◆
童話と言ったら子どもの読み物みたいなイメージがあると思います。定義からしてそれはその通りなんですけどね。でも、素敵な童話は大人が読んでもしっかり感動できますから……社会人生活で少し心がささくれ立っている時こそ、ほっこりとした童話が脳に効くんですよね。
主人公は子どもにしましょうか。それとも動物にしますか。玩具や食べ物が動き出しても良いですし、ユルカワな宇宙人が出てきても良いです。彼ら彼女らが日常の中で、どんなことを一生懸命考えて、どんな出来事を経験するのか。その結果、ほんの少しだけ成長したり、全然しなかったり、楽しかったり切なかったりする。
いろんなお話が作れると思いませんか?
良い作品が書けたら、読みに行くのでぜひ教えてください。
★次回予告★
次の作品も書き上がってますので、すぐに紹介します。抽選でジャンルを決めるのはその次からですね。
ジャンルは「恋愛_異世界」です。これはもう悪役令嬢を書きたくて……というか、書き出し祭りで見かけたとある作品の悪女をどうしても自分の手で幸せにしたくて、書き殴っていた試作物を作品化してみました。その元作品についても次回少し語らせていただきますね。さぁ、
――みなさま、キュンキュンする準備はよろしくて?
【NEXT】
ジャンル:恋愛_異世界
タイトル:悪役令嬢、買い取ります