金曜日はフライデー、つまり揚げ物の日である【文芸_純文学】
ジャンル:文芸_純文学
タイトル:金曜日はフライデー、つまり揚げ物の日である
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◇作品紹介◇
――金曜日はフライデー、つまり揚げ物の日である。
私がそう宣言すると、当時付き合っていた男が「ダジャレかよ」と鼻で笑ってきた。
あんなのとは早々に別れて正解だったと思うけれど、それから四年、私はすっかり恋愛とは無縁のまま二十七まですくすくと育ってしまった。最近は誕生日になっても両親が「おめでとう」と言ってくれない。いいんだぞ、祝ってくれて。
そんな感じで淡々としたシングルライフを送っていたのだが。
とある金曜日、私がいつものようにトンカツを揚げていると、親友の桜子から電話があった。
『……実は彼にプロポーズされて』
なんと、それはめでたい。
桜子は絵本のお姫様がそのまま飛び出して来たような小顔美人なのだが、恋人である斎藤氏もそれに負けないくらいの色男である。二人とも顔だけでなく性格もめちゃくちゃ良いので、私の口から漏れ出るのはただ祝福の言葉のみである。結ばれるべくして結ばれた、まさに運命の二人だ。
だから……捨ててしまうべきなのだ。絶対に報われない、一方通行の横恋慕など。斎藤氏のような素敵な王子様の隣には、桜子みたいな素敵なお姫様が一番良く似合うのである。
【投稿日】2024/3/16
【URL】https://ncode.syosetu.com/n2197ir/
(シリーズの「まさかミケ猫 全ジャンル傑作選集」リンクから全ジャンル踏破企画の全作品を辿れます)
※以下、作品のネタバレを含みます
みなさんこんにちは、コンビニの焼きおにぎりをカラッと揚げてお吸い物をかけるとマジで絶品なんだよと、布教する者。まさかミケ猫です。
今回はいよいよ「純文学」という難ジャンルにチャレンジしてみました。なかなか面白い作品が書けたんじゃないかな、と自画自賛しておきます。私は自分に激甘なんですよね。
そもそも純文学の定義をネットで調べると、大衆文学の反対。ようはエンタメではなくアートだということみたいです。けっこう頑張りましたよ。
◆発想のきっかけ◆
まずタイトルを適当に決めた時点では、主人公を男にするか女にするかすら何も見えていない状況でした。はい。
ただ、ちょっとビターな恋愛模様を絡めようかと思ってはいたので、淡々と揚げ物をしながら絶対に叶わない恋のことを考えちゃうような主人公にしたいなぁと思ったんですよね。
あとはちょっとしたコンプレックスみたいなものも持たせたかったので、美形かつ性格の良い親友、みたいな桜子ポジションのキャラは置こうと初めから思ってました。
本作は純文学なので、いつもよりプロットの波は抑えめにしようかなと思いまして。その代わり、主人公の内面をいつもより濃い目に書いた感じですね。ここらへんのバランスは作者ごとに違うと思いますが、今回は普段の私とはかなり違う感じになったと思います。
◆こだわりポイント◆
私としては、二話の末尾を書きたくてですね。千恵子が自分自身の言葉でもって本心を見つめ直し、心に折り合いを付けていく。その過程の彼女をどうにか魅力的に書けたらいいなとずっと思っていました。うまく伝わっていると良いのですが。
他ジャンルのように激しいストーリーの中で衝撃とともに描いていくのとは、また違ったやり方をしたかったんですよね。千恵子に関しては特に。なのでそのあたりを上手くやりたいなと思った次第です。
◆苦労したポイント◆
これがねぇ……実は自分でもびっくりするくらい筆が遅くなっちゃいましてね。第一話はサッと書けましたが、第二話第三話は本気で筆の速度がナメクジになりましたよ。実は投稿ギリギリでした。
いや、書いてて楽しかったんですよ? 作り方も新鮮だったし、描写をこねくり回しながら自分が一歩ずつ成長するのが自覚できたので、とても良い挑戦だったと思ってます。
ただ……ただ、執筆がなかなか進まないなーと。
振り返ってみると、普段は起稿時に好き勝手に書き殴る→推敲で整える、って書いていたんですけれど、今回は「ジャンル:純文学」をかなり意識しながら書いてしまったんですよね。妙なプレッシャーが常にあったというか……これは確実に、私のメンタルコントロールの問題だったなぁと思います。さじ加減が難しい。
本当はもっと自由に書いて良かったのかもしれませんね。この点はちょっと見直します。
そういった苦労も含めて、今回はとても良い経験をさせていただいたなぁと思います。地味に、これまでで一番つらかったですけどね! とにかくめちゃくちゃ勉強させていただぎした。
◆「純文学」の魅力◆
美しい比喩表現や、生々しい心理描写。娯楽、エンタメって意味での大衆文学よりも、もう一歩人間の内面に踏み込んで、ネガティブな感情も含めて作品にしていく。そんなジャンルだと思います。いいですよね。
そういう作品を書いてみたい、読んでみたい。そう思った方は、ぜひ純文学にチャレンジしてみると面白いんじゃないかなと思います。
私もそういう作品を読むのは大好きなんですが、じゃあ自由に書けるのかと言われると、ちょっと悩ましいものですよね。この辺りは今回を糧に、これからも成長していきたい部分です。のびしろだなぁ。
★次回予告★
というわけで、今回も次に執筆する作品のジャンルを抽選で選び、フィーリングでタイトルだけ決めて執筆していきたいと思います。
純文学はだいぶ苦しみましたからねぇ、どちらかといえば軽いものが来てほしいところ。推理くんはちょっと休憩しててもらって。あーいいからいいから。座って待っててよ。
というわけで頼みますよ、小説の神様。信じてますからね。ルーレット、スタート!
ドゥルルルルルルルルル……。
テンテケテンテン、テンテケテンテン。
ジャン!
●ジャンル→【ファンタジー_ローファンタジー】
はぁぁぁぁぁ、あー良かったぁ。
助かったぁぁぁぁぁ。
いやもうね、今回も楽しかったんですけど。
ただ、脳の普段使わない部位をフル稼働させていたので、わりと限界を迎えていたんです。現代人の脳に不足しがちなファンタジー成分をまさに今欲していたんですよ、ちょうど。
うん、ローファンならなんとかなると思います!
なにせハイファンと並んで自由度の高い、懐の深いジャンルですからね。ここは赤ちゃんのように甘えさせていただきましょう。バブー。ちなみにまだ内容はなーんにも考えてないんですけどね。はっはっは。
ですが、ここはもうバシッと、ローファンタジージャンルの傑作を書いてやろうと思います!
ローファンと言ったら私の頭にパッと浮かぶのはハリポタなんですけれど、近頃は現代ダンジョンを舞台にした配信モノなんてのが流行りでしょうかね。他にも現代妖怪ファンタジーなんかもここに入ってきますし、異能バトルみたいなのもこのジャンルでしょう。何でも書けちゃうなぁ。どういうのにしようか。
あ、そうだ。タイトルを先に決めるんでした。
うーん……それならば、こんな感じで行きましょうか。
【NEXT】
ジャンル:ファンタジー_ローファンタジー
タイトル:コウモリ戦士は黄昏に覚醒する





