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ポジティブ・オブ・ザ・デッド【SF_パニック】

ジャンル:SF_パニック

タイトル:ポジティブ・オブ・ザ・デッド

https://ncode.syosetu.com/n1522ir/


◇作品紹介◇


 その日、日本中のあらゆる映像メディアを通じて、内閣総理大臣による緊急記者会見の様子がライブ配信されていた。

 いつも眉間に皺を寄せている重田首相は、持ち前の低い声で事態の深刻さを語る。


『そのウィルスに感染すると思考が楽観的に――つまりポジティブになってしまう、と。そんな危険なウィルスが今、世界的に蔓延しているのであります』


 ポジティブ・ウィルス。

 一週間ほど前、米国に突如として現れたその新種のウィルスは、人間の考え方を強制的に前向きなものへと書き換えてしまうらしい。しかし当初はそれを誰も深刻に捉えていなかった。


『ポジティブなのは良いこと、ですか? それは事態を軽く見過ぎだ。そんな悠長なことを言っていられる段階はとうに過ぎているのです。この一週間だけでも、交通事故の増加。工場災害の多発。行方不明者の続出。一部地域では停電の復旧目処も立たず、このまま感染が進めば社会は…………たぶん大丈夫』


 重田首相の頬が、急に緩む。

 その首をよく見れば、何かに噛みつかれたような痕がついていた。


『根拠はありませんが、たぶん大丈夫であります』


 いつも悲観的な展望を語ってばかりいた首相の、あまりにも突然の変化により……皮肉にも、日本人はポジティブ・ウィルスに対して強烈な危機感を抱くようになった。


【投稿日】2024/3/9

【URL】https://ncode.syosetu.com/n1522ir/

(シリーズの「まさかミケ猫 全ジャンル傑作選集」リンクから全ジャンル踏破企画の全作品を辿れます)

※以下、作品のネタバレを含みます


 みなさんこんにちは、ゾンビとかのグロい系全般が昔は全く見られなかったのですが、今では巨人との戦いのため心臓を捧げたり、推しライダーがア■ゾンアルファだったりします。まさかミケ猫です。


 今回はジャンル「SF_パニック」ということで、せっかくなのでゾンビパニックものを書いてみました。このジャンル、一度は書いてみたかったんですよね。


◆発想のきっかけ◆


 パニックといってもいろいろありますが、せっかくなら一度はゾンビものを書いてみたいじゃないですか。

 なので、タイトルは「〇〇・オブ・ザ・デッド」がいいなぁ→〇〇はゾンビとギャップがあるものの方が面白そうだなぁ→よし「ポジティブ」にしよう。くらいのノリでタイトルを出しました。


 で、実はゾンビものの映画とかを見ていると、どうしても考えてしまうことがあるんですよね。


――こいつら、ろくにエネルギー補給もしないでどうやって動いてるんだろう。


 まぁ、そういうお約束はあまり深く掘り下げずに無邪気に楽しむのが良い視聴者だとは思うんですが。

 ただ、いざ自分で「ゾンビものを書こう」と考えると、そこを納得できない作品はなかなか書けないなぁなんて思っていたわけです。前々から。


 なので本作のゾンビは「人間として普通に生きているけれどウィルスによって思考が捻じ曲げられている」ということにしてみました。だから普通に死ぬし、腹も減るし、喋ると。実際に文章として書いてみたら思った以上にホラーチックになっちゃったんですが、わりと納得のいく設定にはなったかなぁと思います。


◆こだわりポイント◆


 今回はパニック系作品らしく、読者の価値観をぐわんぐわん揺らすような作品を書きたいなと思いまして。それで「ポジティブ」というものに対して疑問を投げかけるような作品にしてみました。


 ほら、基本的にポジティブっていい言葉じゃないですか。何の気なしに普通にプラスの意味で使われるというか。だからそれをいかに悪く受け取ってもらおうかなぁと考えて、作品の設定や冒頭の語り口~結末まで、いろいろと試行錯誤した感じですね。

 特に最初のシーンは何パターンか作って唸ってました。最後まで残った案が「ポジティブ彼女にうんざりして手酷く振る」「ポジティブ発言ばかりの先輩が破滅する」「裁判でポジティブ発言を繰り返す重犯罪者」とかだったんですが、全体を見た時に2番目の先輩案が良いかなぁと思いまして。


 世間的に良いもの/悪いものとされている価値観が、パニックの発生によってひっくり返る。そういった物語を作れるのがこのジャンルの面白いところじゃないかなぁと思っています。もちろん、他ジャンルの作品でもパニック要素を意識して入れていくのは面白いですよね。


◆苦労したポイント◆


 やー、今回は私には珍しくプロットをかなり逸脱しました。というか、プロットの作り方を間違えちゃいましてね。これは単純に私のしくじりです。やっちゃったなぁと。


 人によっても違うと思いますが、そもそもジャンルや作品によって必要なプロットの粒度って違うじゃないですか。例えば感情を繊細に取り扱ったり、情報を細かく取り扱ったりする作品は相応に掘り下げた設計が必要になるわけで。

 そんな中で、SF系統のジャンルって「情報を叩きつけて転がしていく」ってやり方で面白さを出すものだと思うので、どちらかというと要所要所の通過点だけ決めて、書く時にその範囲内でどこまでぶっ飛んだ遊びをできるかが大事だと思うんですよね。


 それを今回は、ちょっと細かくいろいろ決めすぎてしまって、いまいち筆の乗りが悪いんだよなぁと思いまして。それで、後になって当初予定を逸脱してかなり遊びました。とても楽しかったです。


◆「パニック」の魅力◆


 SFジャンルの中でもパニックは、規模のめちゃくちゃ大きな混乱を巻き起こして人々の慌てる様を楽しみ、読者の中にある固定観念をグラグラ揺らして楽しもうという非常に愉快な作品群だと思います。

 一般的に正しいと思われている価値観って何が思い浮かびますか? その価値観が根底から覆されるような大事件ってどんなものですか? そういったものを突き詰めていくと、このジャンルの作品が書けるわけですね。私はもう大好きなジャンルなので、むしろ別ジャンルの作品でもパニック要素を入れたりしがちなんですが。


 今回はゾンビを書きましたが、今後もいろいろな種類のパニックを書きたいと思いますし、読みたいと思います。皆様もぜひぜひ書いてみてください。めちゃくちゃ楽しいですよ。


★次回予告★


 というわけで、今回も次に執筆する作品のジャンルを抽選で選び、フィーリングでタイトルだけ決めて執筆していきたいと思います。


 なんやかんや言ってもSFを書くのは楽しかったので、次は悩ましいジャンルが来ても頑張れると思います。推理くんや純文学くんとかでもオッケーです。あ、でもそろそろファンタジーを書きたいんですよねぇ……どうだろう。


 残っているジャンルは「ファンタジー_ローファンタジー」、「SF_VRゲーム」、「文芸_純文学」、「文芸_推理」の四つになっています。ほほう。


 というわけで頼みますよ、小説の神様。いい感じのを選んでくださいね。ルーレット、スタート!


 ドゥルルルルルルルルル……。

 テンテケテンテン、テンテケテンテン。

 ジャン!


●ジャンル→【文芸_純文学】


 おおおおおぉぉぉぉぉ、そう来たかぁ。


 ここまで来たら何が何でも全ジャンルを書ききってやるつもりでいますからね。皆様どうか、優しいお気持ちを持って励ましの言葉をください。純文学かぁ……ぜひ優しい評価をお願いしますね。私なりに全力を尽くしますので。


 あ、タイトルでしたっけ。

 うーん……どうしよう。よし、これで……これでいきます。



【NEXT】

ジャンル:文芸_純文学

タイトル:金曜日はフライデー、つまり揚げ物の日である

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