プロローグ 新たなるたび
俺自身が嫌になる人生を送ってきた。
ただ普通に過ごしたかった。みんなと仲良くしたかった。笑いあいたかった。
だけど、そんなふうにはならなかった。
家族にも虐げられ、学校でも同じような扱い方をされ、友達はおろか周りに頼れる人すらいなかった。
俺をいじめてくる奴は憎いと思っていたけれど、復讐などしようとは思わなかった。
人から人へと生み出す悪意ほど醜いものはない。
だから耐えた。高校を卒業したら、誰も俺のことを知らない町まで行ってただ平穏に暮らす。
それが望みだった。
こんな人生を送っていく中にも安らぎの時間は必要になってくる。
それがラノベだ!最近は異世界転生物をよく見ている。
自分も最弱から成り上がりたい。こんな人生から解放されたい。
そんな風に思ったことは何度もある。だが、そんなものは空想、誰もが分かりきっている。
しかし、憧れは憧れだ。そう思うことぐらい個人の勝手なのだから好きにさせてもらいたものだ。と、
そんなバカなことを思いながら、信号が青になるのを待っていた。
青になるのを確認すると憂鬱になりながらも、学校への道のりへと足を進めた。
後ろから叫び声が聞こえてくるが、”俺の姿がこんなにも醜くてごめんなさいね”と
心の中でそう思いながら歩みを進めていた。
ふと顔を上げ、車道側をちらっと見てみると、猛スピードで迫り寄ってくる黒い車が視界に入った。
慌ててよけようとしたが、すでにもう遅かった。
ドンっという大きな音とともに吹き飛ばされる。薄れ行く意識とともに、死ぬことを察知した。
もっと平穏な人生を送りたかった。この町を離れたら、自分の手で平穏な人生を作りたかった。
そんな風に思いながら意識を手放した。
それが、遠藤遼一の第一の人生だった。




