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006 なんだろね、この行列は?

一人称だったり三人称だったり定まらない小説。

けど、商業作家でもごちゃ混ぜだったりするのだから、べつにいいよね!


 東京都内 某所



「うーん、今日はナニして遊ぼうかな? うーん……暇だ。暇すぎて寝ちゃいそうだよ。

 今封切りしている映画で見たいのは全部見ちゃったし、久しぶりに引き籠ってゲームでもするかな?」



 まったく、暇だと独り言が多くなって困っちゃうよね。

 ふらふらと行く当てもなく都内を飛んでいたら、公園の周りの歩道に行列ができているのが目に入ってきた。



「うん? なんだろね、この行列は? なにかのイベントなのかな?」



 まあ、分からないことは、この行列に並んでいる人に聞けば判明するのか。

 お行儀よく列に並んでいる人がその並んでいる目的を知らないはずはないしね。


 ということで、近くにいるあのお姉さんに聞いてみよう。



「ねえねえ、お姉さん」


「ん? お姉さんって歳でもない気もするけど、もしかして私のこと?

 ……って誰もいない?」



 うんまあ、お約束っていうヤツなんでしょうね。



「もう少し上だよ」


「え? 妖精さん?」


「そう、今を時めく妖精さんだよ!」


「わー本物の妖精さんだ! 初めて生で目にしたよ!

 妖精さんに逢えるだなんて、今日はラッキーだね!」



 ラッキーとは幸運。つまり、LUCK値のことだ。

 お姉さんはラッキーとか言ってくれたけど、このお姉さんの運ってかなり低い値だぞ。


 それと気になるのはお姉さんに限らず、この行列に並んでいる人達のLUCK値が軒並み低すぎるのは、なんでだ?


 リテア世界で言ったら、スラム街に住む人間か孤児院の子供たちみたいなLUCK値の低さだな。

 まあ、トラブルに巻き込まれるのが面倒だから、あまり自分から積極的には近寄らなかった場所だったけど。


 異世界に行ったら、孤児院の子供たちの世話をしたりする物語が巷には溢れているけど、なんだかなぁって思わなくもない。

 まあ、添え物。つまり、主人公の好感度を上げるために、刺身のツマとして孤児院を登場させているのかも知れないけど。


 でも、なんだか、もにょる。


 おまえら現実世界でも、普段から孤児院と関わりを持って寄付をしたりボランティア活動とかをしていたのかと、小一時間問い詰めたい気分にさせられるよ。

 あと、孤児院を登場させた小説を書いて出版した作者は、印税の一部を当然、孤児院に寄付したんでしょうね?


 ……残念ながら、ほとんどいなさそうな気配を感じますね。

 ああ、だから、もにょるのか。納得した。


 そうか、作者にとって孤児院というのは劇中での舞台装置で、キャラクターというのは動かしやすいNPC扱いということなんだろうなぁ。


 まあ、仮に私が商業作家だったとしても、孤児院に寄付なんかしませんがね!

 自分に余裕があって、孤児院に知り合いでもいれば、また違うのだろうけど。


 思考が脱線してしまった。

 今はお姉さんに、この行列に並んでいる理由を聞くのが先だったよ。



「お姉さん、この並んでいる行列は、なんの行列なの?」


「あー、この行列はお弁当を貰うために並んでいる人達なんだよ。私も含めてね」


「え? 列に並んでたら、タダでお弁当が貰えるの!?」


「そうだよ。お弁当の他にも、お菓子や果物とかも貰えるんだよ」


「よし! 私も並ぼう!」



 タダ、ロハ。なんて甘美な響きなのでしょうか。

 これは是が非でも行列に並んで、私もタダでお弁当をゲットせねば!


 見ず知らずの他人にタダでモノを振る舞うだなんて、世の中には奇特な人がいるもんだね。

 誰がお弁当を配っているのか知らないけど、博愛とか友愛の精神には頭が下がる思いだよ。


 私には博愛とか友愛の精神は微塵もないはずだしね。

 ほら、妖精は気まぐれだから。



「タダで貰えるけど、妖精さんは有名人なんだから生活に困ってないでしょ?」


「生活には困ってないけど、タダ飯なら是が非でも並ばなければ!」



 ジューシー唐揚げ弁当ご飯大盛りとかだったらいいなぁ。

 ワクワクしてテカっちゃうぞ☆



「うーん、妖精さんは並ぶのを遠慮したほうが良い気がするなぁ」


「……なんで?」



 私にはタダ飯を食べる権利を遠慮しろですと? 解せぬ。



「ここに並んでいる人達は生活に困窮しているから、その日に食べるものすら困っている人達なんだよ」


「お姉さんは若いのにホームレスだったの? ホームレスにしては小奇麗な感じがするけど?」



 お姉さんの服装は、ぱっと見た感じ多少は野暮ったい気もするけど普通に見られる格好で、ザ・モブ。

 一般市民って感じがする普通の女性で、とてもホームレスには見えません。


 薄っすらとだけど、お化粧もしているしね。



「私には家もあるからホームレスじゃないわよ。まあ、炊き出しに並んでいる時点で、似たようなモノなのかも知れないけど。あはは……」


「ホームレスじゃないのに、炊き出しに並ぶの?」



 まあ、タダで飯が食えるのであれば、並ぶのかな?

 私もタダの誘惑に負けて並ぼうと思ったしね。



「生活がギリギリだから、少しでも食費を浮かそうと思ったりして、炊き出しに並んでいるんだよ。私はその口だね」


「なるほど……」



 ああ、そういうことね。つまり、この行列は貧困層への炊き出しに並ぶ、貧乏な人達だったというわけだ。



「日本ってG7の主要国で先進国だよね?」


「先進国とはいっても、私の給料は豊かな新興国の平均給料よりも下だけどね」


「もしかして、お姉さんって派遣社員とかいうヤツ?」


「ええ、まあ……」



 なるほど。だからこそ、こんな炊き出しに並んでいるのだろう。

 炊き出しといえば災害時を除いて、昔はホームレスだけの専売特許だったはずなんだけどなぁ。


 ……どうしてこうなったんだろうね?


 手っ取り早く楽して儲けるには、どうしたら良いのだろうか?

 そうだ、賃金を低く抑えてサービス残業もさせて、キリキリと働かそう!


 こんな感じでしょうかね?


 外国人技能実習生とかいう、おためごかしの実質的な奴隷もいることだし。

 現代の奴隷制度ということで、外国人技能実習生はそのうち国際問題になりそうな気がするぞ。



「日本社会の闇を見たような気がするわ」


「闇…? ま、まあ、そうなのかも……」



 社会が豊かになると、キツくて割に合わない仕事は嫌厭されるようになるからなぁ。

 農林水産業に建設業や介護の分野とかは、特に顕著だよね。


 結局のところ、その労働に見合った賃金が支払われてないのが問題の根本なんだろうなぁ。

 キツい仕事であったとしても給料が高かったら、人材は集まりやすいはずだもんね。



「もうこの国はダメかも知れんね」



 日本がというよりも、資本主義の限界ということなのかも知れないけど。

 まあ、妖精である私が心配することでもないか。


 それに、他の欧米先進国でも似たような低賃金で働く、実質奴隷の外国人労働者はいるはずだしね。

 ビジネスモデルの欠陥、破綻を先延ばしにしているだけの自転車操業のような気がしないでもないけど。


 でもまあ、資本主義ってそういうモノだと思うしね。

 持続可能な社会(笑)とか皮肉に思っておけば、いいと思うよ。


 社会は誰かの犠牲の上で成り立っているとは、まったくもって至言だね。



「ダメとまでは思わないけど、良いとも言えないわね。

 それと、日本に限らず他の先進国でも貧困層はいるからね」



 でも、一つだけ分かったことがある。

 この炊き出しに並んでいる人達はみんな、LUCK値が低いから貧困に苦しんでいるということだ。


 もっとも、貧困層に落ちぶれたから、LUCK値が低くなったのかも知れないけど、普通は順番が逆だよなぁ。

 LUCK値が平均程度あるのに貧困層に落ちる確率よりも、元からLUCK値が低いから貧困層になるというのが、順序としては正しいのだから。



「そっか、お姉さんは強いんだね」


「あはは、私自身は自分で自分を強いとは思わないけど、貧乏のおかげで精神的にタフにはなったのかも知れないね」



 色々と優しく教えてくれたこのお姉さんには、妖精である私から幸運をプレゼントしてあげよう!

 妖精とは気まぐれに幸運を授けてくれる縁起物なのだから、たまには私も本職のお仕事をしないとね!


孤児院を登場させた作者さん、ごめんなさい。悪気はなかったんです><

もし私が商業作家になったとしても孤児院に寄付しないと思う…

街頭募金に500円が最高だった記憶があるw


あと、この小説に作者自身の思想信条は含まれてません。たぶん。

あくまでも、社会風刺、アイロニーと笑って受け流してくださいw

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 何を書きたいのか伝わらない小説。
[一言] 孤児院に寄付> その発想は確かになかったw いや、コレを逆手にとって、主人公を真似て孤児院というか、地元の養護施設とか?に印税の何パーセントを寄付しますとかいったら、下手になろうのタイトルに…
[一言] >もし私が商業作家になったとしても孤児院に寄付しないと思う…  そもそもとして、現代の日本に孤児院は無いんですよ(ぼそっ)  孤児院じゃなくて、児童養護施設なので(ぼそそっ)
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