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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

最近飼い猫の様子がおかしいのです

作者: たなか

 この子を飼い始めてもう半年近く経ちますが、今までこんな奇行に走ることは一度もありませんでした。本当にどうしてしまったというのでしょう。


 最初は、突然、何かに怯えたようにか細い声で鳴き始め、無我夢中で爪とぎをするようになりました。落ち着いて熟睡しているかと思ったら、物音一つしていないのにビクッと飛び起き、震えていることも増えてきました。


 特に、外に誰かがいるわけでもないのに、窓やドアに向かって唸ったり大声で鳴いたりしているときの表情には、鬼気迫るものを感じます。優しく撫でて宥めたり、ご近所の迷惑にならないよう叱ったりするのですが全然言うことを聞いてくれません。


 食欲も減っているみたいで、心なしか痩せてきたように見えます。心配になって、いつもお世話になっている、かかりつけのお医者様に診せたのですが、検査をしても特にそれらしい病気や異常は見つかりませんでした。


 健康だと診断されたのは良かったのですが、様子がおかしい原因が分からないままなのでとても不安です。もしかして動物特有の第六感のようなものが働いているのでしょうか。何か私には見えていないものが、この子の瞳には映っているのだとしたら……。思わずそんな恐ろしい妄想が頭にこびりついて離れません。


「ううっ……」


 あら、せっかく落ち着いて静かに眠っていたのに、もう薬が切れてしまったみたいです。繰り返し投与しているせいで、耐性ができて少しずつ効き目が悪くなっているのかもしれません。


 やっぱり医師免許を持っていないようなヤブ医者は駄目ですね。残念ながら普通の病院に連れていくことが出来ないので我慢していましたが、そろそろ別の医者を探すべきかしら。


「……頼む……お願いだ……いい加減ここから出してくれ……俺が一体何をしたって言うんだ……」


「マモルったら……また変な声で鳴いて、どうしたのかしら? 猫は『にゃあ』と鳴かなきゃだめでしょう?」


 マモルの首輪から伸びた鎖をギュッと力強く引っ張ります。首が締めつけられて苦しそうにもがく姿は見ていて少し可哀想ですが、この子のためにも飼い主としての責任を持って、最低限のしつけはしなければなりません。


「……うぐぅぅっ……ごほぉっ……けほっ……けほっ………………に……にゃあ」


「そうよ、お利口さんね! ほら、ご褒美のチュールをあげましょうね~」


 久々の食事だからなのか、一生懸命頬張っています。


 やっぱり猫って、とってもかわいくて癒されますね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 逆に考えるんだ。猫になっちゃってもいいさと考えるんだ。 毎日喰っちゃ寝して時々甘える。案外悪いものじゃないのでは? [気になる点] と、思ったけどこれ食事ってもしかして猫用か? ・・・トイ…
[良い点] サイコ病み女こぇぇええ!!! 今までどれほどの"猫"を飼ってきたんでしょう? そしてマモルの今後を考えると……。 背筋がゾクゾクして鳥肌がたちました。 涼しくなるお話ありがとうございます!…
[良い点] 今日は3連投!? 今度は猫ちゃんのかわゆいお話かな〜…と思ってたら、たなか先生の振り幅の広さ……ってなりました。 さりげにモグリの医者とコネもあるあたり、語り手の闇が深い…
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