表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!  作者: O.T.I
第十四幕 転生歌姫と繋がる運命の輪

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

577/685

第十四幕 25 『神姫の戦装束』


 神界から戻ってきた私達。

 いつもの通り現実世界では殆ど時間は経過していないはずだ。


 今回初めて神界に招かれた三人は、何が起きたのか一瞬では理解できないようで、キョロキョロと周囲を見回している。



「夢だった……わけではないですわよね?」


「夢じゃないよ。この現実世界では一瞬の出来事だったけど」


「まさかこんな体験が出来るとはね。カティアと一緒だと退屈しなくて良いわね」 


「シフィル……あなた本当に楽しそうよね」


 確かに、彼女らしいと思った。


 そして……私の前世の話を聞いても、みんな私に対する態度が変わらないことに安心する。

 もちろん、そうだと信じてはいたのだけど、やはり不安な気持ちもあったから……








「さて、じゃあそろそろ行こうか……」


「あ、ちょっと待ってカティアちゃん」


 リル姉さんへの報告も終わったし、神殿から引き上げようとしたのだが、リナ姉さんから待ったがかかる。

 はて?何だろうか……?



「実はね、昨日話をつけてるんだけど……あ、丁度こっちに来るね」


 リナ姉さんが何か言いかけた時、誰かが私達に近づいてくる気配がした。


 現れたのは神殿関係者らしき人物。

 たっぷりとした髭をたくわえた老齢の男性。

 威厳あふれる佇まいと立派な法衣から察するに、相当高位の人であると思われる。



「あ、大司教さま……?」


「うん?その声は……もしかしてメリエル嬢ちゃんか。変装しておるのだな」


「はい。ええと……もしかしてエメリナ様にご用でしょうか?」


「うむ。……昨日に引き続き、ようこそおいでくださいました、エメリナ様」



 そう言って大司教猊下はリナ姉さんに向き直って挨拶する。

 周りの人に聞こえないように、声を抑えて。


 リナ姉さんも変装しているけど、昨日と同じ容姿なので神殿関係者ならすぐ分かるのだろう。



「こんにちは、昨日頼んでおいた件は……」


「ええ。ご用意させていただいております。ここではなんですから……応接室へ案内いたします。皆様、こちらへどうぞ」



 そして私達は大司教猊下に案内され、礼拝堂から別室へと通されるのだった。

















「さて……エメリナ様からご依頼いただきましたモノはこちらでございます」



 応接室に通された私達。

 大司教猊下が差し出してきたのは……別の神官が持ってきた大きな桐箱。

 何というか、衣類の収納ケースみたいな感じだ。



「リナ姉さん……これは?」


「えへへ〜……あなたのその腕輪とか、カイト君の剣と同じモノよ」


 私やテオの……って!



「まさか……リナ姉さんの神器!?」


「いえす!元々はメリアに渡したモノなんだけど……あの娘に所在を聞いたら、神殿に奉納したって聞いたから。昨日、大司教さんに頼んでおいたんだ」


 なんと……

 じゃあ、リナ姉さんが神殿に用事があると言ってたのは、コレのことだったのか。


「十二神に認められた神子であるカティア様が使われるのであれば……我々も代々護り受け継いできた甲斐があると言うものですな」


「え……?私に?だって……それはウィラーの宝物なのでは?私よりも、メリエルちゃんが使うべきでは……」


 何か既に私が使う事になってるけど、リナ姉さんの神器で、ウィラー初代女王であるメリアさんが使っていたものなら……神殿に所蔵されていたとは言え、ウィラー王家縁の品だろう。



「まぁ、誰が使うかはあなた達で決めてもらって良いけどさ。そうね……このメンバーなら、カティアちゃんかルシェーラちゃん、シフィルちゃんかしらね。まぁ、ともかく開けて見てみなさいな」



 そう促されて、箱の蓋に手をかける。


 私かルシェーラ、シフィルが使い手として相応しいもの……

 何だろう?


 そして蓋を開けると……



「これは……ドレス?……いや、鎧?」


 綺麗に畳まれていたそれを取り出してみると……これは、アレだ。

 いわゆるドレスアーマーと言うヤツだ。


 気品あふれる白いドレスと、光の加減で虹色に煌めく金属製の軽鎧を組み合わせたもの。

 輝くばかりの神々しさに、思わず息を呑む。



「どお?これは『神姫の戦装束』と言うの。物理・魔法防御の高さは言うまでもなく、自動治癒や身体能力向上の術式が組み込まれてるわ。もちろん、自動修復、防汚防臭、自動サイズ調整も完備よ!」


 ひえ〜……正に神器と呼ぶのに相応しいものだよ。



「こ、これ……誰が使おうか……?」


「カティアさんしかいないでしょう。ねぇ、シフィルさん?」


「だねぇ……。ちょっと国宝級の服なんて……王女様を差し置いて着れないわよ」


「め、メリエルちゃんは?」


「私は後衛職だから……」



 ほ、本当に私がもらっていいのかな……



「はい、決まりね!じゃあ早速着替えようか!」


「ええ!?ここで着替えてくの!?」


「だって、見てみたいもん。ねえ、皆?」


「「「は〜い!」」」


 ノリが良いな!?



「というわけで、大司教さんとカイト君は外で待っててね〜」


 と、リナ姉さんは男性二人を部屋から追い出す。


 そして私は半ば無理やり皆に着替えさせられるのだった……

















「おお……!素晴らしいよ、カティアちゃん!想像以上だったわ!」


「本当に……伝説の姫騎士と言った感じですわね」


「そ、そお?……派手すぎない?」


 比較的シンプルなデザインだし、ゴテゴテした飾りも無いのだけど……

 神器というだけあって物凄いオーラが出てる気がする。


「すごくカッコイイよ!カティア!」


「気品と凛々しさと可愛らしさが同居する絶妙なデザイン……魔導具としての性能も超一級……素晴らしいわ……」


「……シフィル帰ってきなさい。でも、本当に素敵よ、カティア」



 皆手放しに褒めてくれる。

 そして……



「ど、どうかな……テオ?」


「あ、ああ……凄く、良いな。見惚れてしまった」


 ……えへ。



「うんうん、カイト君もご満悦だし、良かったわね!」



 そう、リナ姉さんが締めくくる。





 思いがけず強力な武具を手に入れたけど……

 いよいよ最終決戦が近いのだと、浮かれた気持ちを切り替える。





 さあ、イスパルに帰ろう。


 そして、次に目指すのはアスティカント。

 そして……『黒き神の神殿』へ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ