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君との世界は  作者: 星河かける
6/16

体育

持久走が始まった。まず先に女子が計測するようだ。距離は男子が1500m、女子は1000mだ。なんで性別の違いだけで500mも変わるんだ。当然のように男子からはブーイングが出る。そんなことを思っていると、女子がスタートラインに並び始めた。体育教師の杉田先生がタイム計測のゆうひに目配せをしゆうひがうなずく。そして旗を下に構える。

「位置についてよーいどん。」

その合図で女子の集団が勢いよく走り出す。先頭は・・・・。いぶきは目を細めて見る。周りの男子からは歓声があがる。

「すげー」

「あんな揺れるおっぱい初めて見た。」

「あの、左右に揺れ動くDカップは・・」

バスケ部に所属している東郷のぞみだった。はえーな。そういえばバスケ部ってやたら体力あったな。持ち前の可愛さと荒ぶるDカップで男子に大人気だ。みんな馬鹿だなー。なつかしいこの雰囲気。そして集団の後ろのほうに目をやると内田まいかが取り巻きの二人と力を抜いて走っていた。あーいたいた。わざとゆっくり走るやつ。

「おーい内田ちゃんと走れー。」

体育教師の杉田先生が注意する。そうすると半グレ女子三人グループが少し距離を取り走るようになった。

ビリを見ていると内田まいかと目があった。

「・・・・・・」

俺は気まずくなりすぐにめをそらす。なんで俺だけ目が合うんだ。それもそのはずである。いぶき以外の男子はみんな東郷のぞみの変幻自在に揺れ動くDカップのおっぱいに夢中だった。だれも半グレ女子三人グループになんて興味はなかった。しかし、なぜかいぶきは気になった。先ほどのゆうひに対する悪口を聞いてしまったのが原因だろうか・・・・・。そんななんとなく気まずい空気を壊すかのように再び男子の歓声が上がった。その歓声は東郷のぞみに向けられているようだった。

「4分10秒」

そこには、タイムをよむ高山ゆうひの近くでゴールに安堵し地面に横たわっている東郷のぞみがいた。その様子は過呼吸ぎみで少し汗ばんでいてどこか妖艶で美しかった。乱れる呼吸と体から排出される汗がより東郷のぞみを魅力的にさせていた。

「うおーエロいえろいぞ」

「ブラ透けてないかなー」

「あの汗。エロイな。」

どこにもいつでもこういうやつらはいるんだなーと思ういぶきだった。そう物思いに更けていると女子が続々とゴールし女子の持久走は終わっていた。結局女子の一位は東郷のぞみ、ビリは内田まいかと取り巻きの三人組だった。その内田まいかは走り終わっても余裕綽々といった感じであった。他の二人はもともと体力がないのかなぜかけだるそうにしていた。次は男子の番である。いぶきは頑張って良いとこみせるぞと意気込むのだった。




男子が一斉のスタートラインにならぶ。体育教師の杉田先生とゆうひが再び目配せし、杉田先生が旗を下に下げる。

「位置について」

立った姿勢で足を前後に開いた。スタンディングスタートの姿勢をとる。

「用意」

全身に力を入れ集中力を高める。

「ドン」

良いスタートダッシュだった。が・・・・。

「グキッ・・・・。痛っ。」

足が止まってしまった。当然みるみるうちに男子の集団が俺の横を走り去っていく。なんだか凄くむなしく感じた。

「海野ー大丈夫かー。」

体育教師の杉田先生が走って近づいてくる。

「はい。足くじいちゃったみたいです・・・。」

中学生の中に三十二歳が混ざって足くじくとか情けない。全国のアラサー運動しようね。

「そうか・・。とりあえず保健室行くか。だれか・・・・。」

そういうと杉田先生はあたりを見渡す。

「内田、海野を保健室に連れっててやってくれ。」

「は?なんでうちが・・。」

「持久走手抜いてたし、お前が一番元気そうだからな。」

他の女子は水を飲んだり、ストレッチをしていたりする。確かに内田まいかが一番元気そうだった。

「元気じゃねーし。」

「これでお前の成績チャラにしてやるから連れてってやってくれ。」

「言ったな。絶対だからな?赤点にしたらまじぶっ殺す。」

「ああ。」

その会話が終わると内田がめんどくさそうに近づいてくる。怖いなー。俺が殺されそう。(笑)

「ほら、保健室行くぞ。」

そういい自分の肩を俺の前にだす。

「え・・・・?」

あれ?案外優しい奴だったのか?当時の俺とはほとんど面識なかったはずなのに。過去は変えられるのか?

「ああ?はやくいくぞ。」

「ああ・・悪いな内田。」

「いや別にお前のためじゃねーし。成績のためだし調子乗んな。」

訂正やっぱ怖かった。少し怯えながらも肩をかしてもらい保健室へと向かうのだった。内田からはベリークラッシュの少し良い匂いがしたのだった。なんで女子って良い匂いするんだろうね。



保健室に着いた。ガラガラガラ。保健室のドアをスライドさせる。

「失礼しまーす」

「し失礼します。」

そこには、二つのシングルベッドに一つの大きなソファそしてデスクの上に置かれたパソコン。そのパソコンとにらっめこしている一人の女性がいた。35歳くらいだろうか。長い髪を一つにまとめ、真っ白な白衣をきていていかにも仕事ができそうな感じである。私失敗しないのでとか言ってそうである。中田愛子の千本浜中学の養護教諭である。

「あら、どうしたの?」

「海野が東郷のおっぱいに興奮して足くじきました。」

「ちょ」

「ほんと男って馬鹿ばっか。」

「そうなのね。でも見てるだけじゃだめよ海野君。ヤらなきゃ。」

「何をやるんですかなにを。」

35歳が32歳をからかうのやめてほしい。

「内田さんを見なさい。いかにもヤりなれてそうでしょ。」

そういわれ内田を横目で仰ぎ見る。

「な・・・・・。」

顔を赤く染めていた。意外とこういう話に免疫ないのかな?

「ととにかくうちは連れてきたから。あとは知らないっ。」

今まで寄りかかっていた肩が急に離されベッドに体が落ちていった。そしてすぐに逃げ去るかのように保健室を去っていった。

「ありが・・・・。」

すぐに立ち去ってしまったせいでありがとうも言えなかった。今度言おう。

「あらあら、とりあえず足を見せてもらうわね。」

当然僕はベッドに座っているわけで。当然足を見るためにかがむわけで。おっぱいが。おっぱいがー。大人の成熟したエロティックなおっぱいの谷間が見えた。中学生には刺激が強すぎるのではと思った。

「っ・・・・・。はい。」

「・・・・・。ただ捻っただけみたいね。これなら冷やしとけば大丈夫。しばらくは安静にね。」

「はい。ありがとうございました。」

ゆっくりと立ち上がり保健室をあとにする。少し罪悪感にかられるいぶきだった。








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