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君との世界は  作者: 星河かける
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学校

公園をぬけ、少し歩くと山沿いに聳え立つ一つの建物があった。そう。ここが俺たちが通っていた学校。千本浜中学校である。懐かしい学校のにおい。校舎の姿。話し声の響く教室。いぶきは懐かしみながら自分が通っていたクラス3-Aに足を向けるのだった。その隣にはゆうひがいる。そうか中三の時はゆうひと同じクラスだったなー。そんな遠い日の記憶に感慨を覚えるいぶきだった。

「おはよーう!!」

クラスに着きゆうひがクラスの面々に挨拶をする。そこには懐かしい景色が広がっていた。

「おはようゆうひ。あいぶきもいたんだ(笑)」

「おはよう。成瀬君」

「うるーせーくそ野郎。」

反射的に罵倒してしまった。俺32歳なのに15のガキの挑発になんでのってんだろう。少しはずかしい。そしてこのうざったらしい挨拶をかましてくるのは成瀬かい。長身のイケメンでモテ男である。サッカー部に所属している。なぜか俺に突っかかってくることが多い。たしか17年後の未来では医者をやっていたような・・・・。ま興味はないが。

「二人ともケンカしないのー。ていうかなんであっただけなのにケンカしてるの?」

そうゆうひが問いかける。そういえばなんでケンカしていたのだろうか。昔のことすぎてわからない。とにかく昔は会っただけでケンカしていた気がする。

「相変わらず騒がしいわね。いぶきとかいは。」

そう会話に入ってきたのは姫川ここあ。姫川財閥の令嬢。お嬢様である。茶髪の美しい髪の毛をツインテールにしている。目鼻立ちのきりっとした美しい顔である。身長は160cmくらいで標準的である。17年後の未来では姫川財閥を率いている敏腕社長である。築いた資産は数千億だとか。いーなー。

「ケンカはやめなさいよ。」

そう止めに入るのは東郷のぞみ。ショートカットで身長は150cmくらい。目はパッチリとしていてかわいらしい雰囲気を醸し出している。バスケ部に所属している。胸はなんと中三なのにDカップ。でかい。17年後の未来では沼津の病院でナースをやっている。

この五人が中学のときにつるんでいたグループのメンバーである。

「キーンコーンカーンコーン」

その喧噪を割くように朝礼のチャイムがなる。それと同時にはきはきと担任が教室に入ってくるのだった。

中三のときはたしか・・・。あーそうだ。中三の時の担任の名前は空木ひとみ。俺に道を示してくれた人だ。担任の名前は空木ひとみ。この時たしか27歳。若いなー。セミロングの茶髪に白いブラウスの上から黒のジャケットを羽織っている。いかにも仕事のできる女という感じだ。校内での人気はとても高い。

「おはようございます。えーと今日は・・・・・・・・・・・・です。今日も頑張っていきましょう。」

「起立!礼 ありがとうございましたー。」

と何事もなく委員長の掛け声で平和に朝礼が終わる。今日の一限は体育である。

「ここあーのぞみー更衣室行こー。」

「ええ行きましょう。ゆうひ。」

「いこいこ。」

ゆうひの呼びかけでいつものグループの女子三人が更衣室へ向かう。体育かー。できるかなー。17年ぶりだしなー。と内心で思いつつも体操着に着替えるいぶきだった。



眩しい太陽に照らされ背の順で四列横帯に体操着に着替えた生徒たちが並んでいる。その中央に筋骨隆々の体育教師の杉田一鉄先生が立っている。そのもう少し離れたところにジャージを着た高山ゆうひが立っている。病弱なため本日も見学である。

「キーンコーンカーンコーン」

授業の始まりを告げる鐘がなる。

「起立!礼 おねがいしまーす。」

「はい。お願いします。えー今日は持久走をやってもらおうと思います。」

「えーーー」

「まじかよ」

「ブーブー」

「文句をいわない!自分の限界を超えるんだ!リミットブレェークッ!」

「・・・・・・・・・・」

そんなとどめを刺すときのようなセリフを言い場を凍らせる。さすがだと思う。いぶきは感心した。なぜならば後にも先にもいぶきが今まで生きてきた中でここまで場を凍らせる才に秀でた人に会わなかったからだ。当時は大人はみんなこうなのか?と疑問に思っていた。だが違った。この人は異常だった。でもどこか憎めない人柄の良さがあり、割と人気だった。

「五分後に始めるので各自準備体操をしておくように。以上。解散。」

生徒たちは早々に散っていく。杉田先生はゆうひに話しかけた。

「高山さん、タイム計測お願いできるかな?」

「はい先生。」

「ありがとう!」

タイムウオッチを受け取る。ゆうひが測るのかー頑張んなきゃな。と内心で意気込むいぶきだった。その時ふとある会話が聞こえた。

「いいなー私も見学したいー。」

「ていうか普通にずるくない?」

「それ。ほんとそれ。」

「・・・・・・・・・・・・・・」

体育ができないゆうひへの悪口だった。その会話をしているのは、ギャルもどき内田まいかを筆頭に取り巻き二人を加えた三人組である。中三なのに髪を染めている半グレグループだ。特に内田まいかは問題児で有名だった。茶髪の髪をサイドテールにしている。いぶきは内心で怒りながらこう思うのだった。人間の性質は子供も大人も変わらないのだと。他人を見下し、悪口を言う、まるで自分の強さを誇示するかのように。本当の強さとはそんなものではないのに・・・・・・。大人の社会で散々見てきたくそみたいな光景だった。そんな光景に嫌気がさした。しかし不思議だ。当時の俺だったらただゆうひを慰めるだけだっただろう。しかし今の俺は違う。大人の醜さを知った。だから、こいつらにはこのまま成長してほしくないと思った。そしていぶきの体は自然と半グレ集団を止めに入っていた。

「やめろよ。」

「は?何?」

すごい目つきで睨まれた。怖い。

「悪口やめろよ。ゆうひだってやりたくなくてやってないわけじゃないんだぞ。」

「ふん。あっそ。海野は高山が好きだもんね。だからかばってるんでしょ?」

「ブッ。なんでそういう話になるんだ。」

「あー赤くなった赤くなった。図星だーww」

「いーくんいいよもう。」

そういってゆうひが小さな手で俺をひぱっていく。

「チッ」

そこには内田まいかの舌打ちが響くのだった。



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