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かきそめ (連作狂歌陸首)


【書初め】




明けて姫 飯味わいに

書初めの 思い起こされ

立てる太筆



あけてひめ

  いいあじわいに

      かきそめの

        おもいおこされ

           たてるふとふで




 一月二日の事。姫飯を食べていると、ふと昔日の事が思い出された。私は書初めの仕度をするのだった。






▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽






白魚の そっと筆立て

導きに 勇み勢い

奔り損じて



しらうおの 

  そっとふでたて

      みちびきに

        いさみいきおい

           はしりそんじて




 白魚の様な手を添えて筆遣いを教えてくれた先生。私は気恥ずかしさと緊張のあまりに失敗してしまったのだった。






意気消沈 優し慰め

励まされ 立てる意気地の

本書書初め



いきしょうちん

  やさしなぐさめ

      はげまされ

        たてるいくじの

          ほんしょかきそめ



 先生は落ち込む私を優しく慰め励ましてくれた。私は気を取り直して再度挑んだのだった。






褒め上手 慣れぬ初め筆

硬きまま 腰の遣いを

覚え穂先で



ほめじょうず

  なれぬそめふで

      かたきまま

        こしのつかいを

           おぼえほさきで




 先生に褒められて調子に乗った私。慣れないままに、先生に教えられながら筆を遣ったのだった。






治まらぬ 昂り誘う 

花笑みは 匂う紅 

八重に山茶花




おさまらぬ

  たかぶりさそう

      はなえみは

        におうくれない

           やえにさざんか 



 八重咲きの山茶花の様な先生の微笑みに、私は胸の高まりが収まらなかったのだった。






△△△△△△△△△△△△△△△△△△






教えつつ 重ね面影

筆遣い 乗せては乗りて

始め初め事  



おしえつつ

  かさねおもかげ

      ふでつかい

        のせてはのりて

           はじめそめこと




 今では私が教える側に。どこか先生に似た面影の教え子を褒めつつ、私自身も愉快な心持ちで教える。








【姫飯 ひめいい】元来は、こしきで蒸した硬い強飯こわいいに対して、かまいた柔らかい米の事。炊飯が一般的に普及した時期以降は、水を多めにして柔らかく炊いた米を指す様になった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >私は気恥ずかしさと緊張のあまりに失敗してしまったのだった。 今でも緊張します。
[良い点] 書き初め、いいものです。 昔々を思い出します( ´∀`) 書き損じの多き事よ…… いつもながら、美しくまとめ上げられる事に感服いたします。
[一言] >私は気恥ずかしさと緊張のあまりに失敗してしまったのだった。 わかる( ˘ω˘ )
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