尽之賤句 つきのしずく 虚吐之端 ことのは

あなたをあいしてやまない （詩）

【あなたをあいしてやまない】

月(つき)照(て)る夜(よる)に貴方(あなた)を想(おも)う

零(こぼ)れる雫(しずく)はとめどなく

哀(あい)して夜待泣慰(やまない)

想(おも)いは憑呪(つの)る

月(つき)無(な)き夜(よる)に貴方(あなた)を捕(と)らえ

狗鎖輪(くさり)に繋(つな)ぎ檻(おり)に入(い)れ

私(わたし)の妄望(モノ)といたしましょう

膿瘰(うら)に禍重(かえ)った依徒恣(いとし)さの

魔積苛(まっか)に灼(や)けた粘痛条(ねつじょう)を

余(あま)さず刻(きざ)み印(しる)しましょう

貴方(あなた)の両目(りょうめ)を抉(えぐ)り抜(ぬ)き

私(わたし)だけしか写(うつ)さぬ様(よう)に

代(か)わりに珠(たま)を嵌(は)めましょう

貴方(あなた)の手脚(てあし)を斬(き)り落(お)とし

私(わたし)と逸(はぐ)れてしまわぬ様(よう)に

代(か)わりに鈴(すず)を着(つ)けましょう

貴方(あなた)の血潮(ちしお)を絞(しぼ)り出(だ)し

私(わたし)の血潮(ちしお)と混(ま)ぜ合(あ)わせ

忌巣深(いずみ)に溶燃(とも)に賤蜜(しずみ)ましょう

悲妬淋(ひとり)の酔(よ)明(あ)けに貴方(あなた)を想(おも)う

欠破(かわ)いた枯虚牢(こころ)に刀自込銘(とじこめ)る

穢(あい)して病(やま)綯(な)い

想(おも)いは迷愚流(めぐる)

　　　　　　　　　　　　　　貴方(あなた)を