あかいなめくじ (長歌)
創作伝奇。
……とある鎮守の森にまつわる、あやかしのはなし。
【紅い蛞蝓】
濡れ滑る 紅い蛞蝓
湧香御樹に ぬるり這い擦り
裏の寿地 至り俄に
躍り泣鳴 祈祷福満に
朱寿口の 根張り寿悦喜は
迸る 睡南面釈仏屡
紅い蛞蝓
慰撫の施召 紅い蛞蝓 湧香御樹は
精気放発 噴き迸る
霊樹の幹に紅い蛞蝓が這っていた。蛞蝓は霊樹を慰撫しており、幹の裏寿地に至った蛞蝓は泣いているかの様な鳴き声を上げて躍る。その声は福満の祈祷であり、霊樹の朱寿口からは精気に満ちた寿悦喜が迸る様に放出するのだった。御仏の御慈悲、御加護の灼であることよ。紅い蛞蝓は御仏の使い、霊虫であるのだ。
(単語解説)
※1.湧香御樹:心身回復の香気を出すと言われる霊樹。
※2.寿地:霊樹の幹にある、香気の湧き出る場所。
※3.朱寿口:寿地の近くにある、香気の凝り固まった樹液が噴き出す穴。
※4.寿悦喜:霊樹の樹液の事。
※5.睡南面釈仏屡々:「南を向いて瞑想していらっしゃる御釈迦様は何処にでもおわします(衆生を見守っていらっしゃいます)」と言う意味の偈(御仏の功徳をほめたたえる詩)。
⚠単語解説の内容もフィクションです。ご注意下さい⚠




