尽之賤句 つきのしずく 虚吐之端 ことのは

ういんたぁ でいじぃ （連作狂歌）

　先に活動報告に投稿したものに、若干手を入れました。

---

【Winter daisy】

　冷たき雨降る寒き夜に雛菊の花咲く。

やわらかな

　つぼみひなぎく

　　　　ひさめのよ

　　　　　かおりかんばし　

　　　　　　　あつきたかぶり

柔らかな　蕾雛菊　氷雨の夜

　　香り芳し　熱き昂り　　

　氷雨の降る夜の事。雛菊の蕾の芳しい香りに、胸が熱く昂ぶる思いがした。

ぬれそぼち

　ほころぶつぼみ

　　　　さきひらく

　　　　　つゆのしたたり

　　　　　　　においあでやか

濡れそぼち　綻ぶ蕾　咲き開く

　　露の滴り　匂い艶やか

　雨に濡れた雛菊の蕾が綻ろんで咲き開く。雨露の滴る雛菊の花。その姿がなんとも艶やかである。　　

めでせめて

　いとしとさいなむ

　　　　　ひなぎくを

　　　　　　　くるいさかせて

　　　　　　　　　　ちらすふゆのよ

愛で責めて　愛しと苛む　雛菊を

　狂い咲かせて　散らす冬の夜

　季節外れに花を咲かせ、そして散らせてしまった。自分では愛でていた積りで、その実は責め苛んでいただけだったのだろうか？埒(らち)もなく思う冬の夜であった。