七話
最近ランニングを始めました。脹脛が死にました。歩けません。七話目です。
「貴方は我々の恩人だ。どうか名前を教えてもらえないか?」
「オミン=リュウと申します。」
俺がそう名乗ると、リユンは驚きた。
「これは、貴族様でいらっしゃいましたか、どうか今までのご無礼をお許しください!」
そういうと、リユンは、今度は深々と腰を下げる。
「い、いや、頭を上げてください、自分は貴族とか、そういう者ではないんです」
俺がそう解釈を入れると、リユンはゆっくり頭をあげる。
「はぁ、しかし、苗字をお持ちなのでは?」
「あぁ、自分の故郷では、全員苗字を持っているのですよ」
すると、リユンは納得したかのように口を開いた。
「なるほど、オミン殿は東国連合のご出身でしたか」
「東国連合?」
俺が疑問を持った顔をしていると、リユンが説明してくれた。
「東国連合は最近、連合になったばかりなのでご存じなくても仕方がありません。東国連合というのは、ジュン国、ハン国、ビツ国、ナン国の四つの国でなりたつ連合国ですよ。其の様子だと、ハン国かビツ国のご出身かと」
よくわからないが、とりあえず追い槌を入れる。
「よくご存じですね」
「実は、何度かハン国とビツ国に行ったことがあるんですよ」
そう言って、話を続けようとすると、馬車からコンコンと、ノックする音が聞こえる。気づいて馬車の方を向くと、馬車の扉が開いた。そこには、クラシックなスーツをよく着込んだ美中年がいた。
「リユン殿の喋り癖が出てますよ」
美中年がそういうと、リユンが何かに気づいたようにすぐさま口を開いた。
「旦那様、申し訳ございません。こちらが我々を危機から救いなさった、オミン=リュウ殿」
リユンが全部言い終わる前に旦那様は笑った。
「ハハハ、全部聞こえておりましたよ、リユン殿」
そう言われたリユンは恥ずかしそうに顔を赤くした。
「オミン殿、この度は助けてくださり、ありがとうございます」
「いいえ、ただの成り行きですので、お構いなく」
「謙遜なさらないでください。小さなお礼と言うのもなんですが、もしよかったら、我が屋敷にいらしたらいかがですか?」
どこに町があるのかもわからないこの状況で、断るわけにはいかないと思った俺は、頷いた。
「お願いします」
「いえいえ、しかし、さすがに其の格好では、娘が起きた時に驚愕するでしょう」
お嬢様!ファンタジーっぽいなぁ!って思ってると、旦那様は人差し指を立てて、口を開いた。
「オールクリーン」
すると、指から掌サイズの水のようなものが浮かび、俺に近づく。そして、俺の汚れた部分を綺麗にしていく。さらに、綺麗になった部分は濡れてない。そうやって俺が汚れひとつなくなると、其の水みたいなものは消えた。
「…スゲェ!」
俺は興奮せずにはいられなかった。生まれて初めて魔法だと思われるものを見たのだ。
「何今の!魔法?!魔法だよね!魔法ってあるんだね!魔法打つ時ってどんな感じなの?!教えて!教えて!」
「え、ちょ、オミン殿落ち着いてください。落ち着いたら話しますから!」
そう言われた俺はすぐに黙って旦那様をキラキラした目で見た。一方の旦那様は、俺の突然の変わりように驚いたのだと思う。何せ口を開けたままなのだ。
誤字脱字、間違い等ございましたら、教えてくだされば幸いです。