六話
六話目です。いいんじゃないかなと思います、分量が。
歩き始めておよそ二十分、少し歩くことに飽きてきたと思っていると、俺の耳に、金属音が聞こえてきた。
「これはもしや!」
そう独り言を言いながら音の方向に向かうと、そこには道らしきものと、小学五年生くらいの身長の緑の何かの群と、其れに対抗している騎士のような者たち、そして其の者たちに守られている馬車があった。
(キタァー!あれってゴブリン?ゴブリンだよね!それに騎士!あと馬車!絶対あれじゃん!助けるパターンじゃん!騎士も五人しかいないし、ボロボロだし、ていうかゴブリン多くね?ぱっと見えるだけで三十はあるよ?)
そんなことを考えながら俺は剣を抜いた。
俺に剣の心得がないわけではない。元の世界では剣道を十二年間続けており、高校の時には関東大会出場の経験もある。どれだけ通用するかは兎も角、やってないよりは断然マシだろう。
一匹のゴブリンが一番手前の騎士に斬りかかろうとする。しかし騎士は反応が遅れたあのままだと普通に切られる。
其のゴブリンをオミンが斬り殺す。というか、目に見えるゴブリンに斬りかかる。斬られそうになった騎士が唖然とオミンを見る。俺が其れに気づくと、言語が通じるかもわからないが、其の騎士を見て口を開いた。
「助太刀に参った!」
あれ?言語通じるかな?と思っていると、其の騎士が一瞬間抜け面になるが、すぐに力強く頷いた。
「さぁ、かかってきな!」
俺は次々とゴブリンを斬る。横薙、縦薙、袈裟斬り、十字斬り、あらゆる斬り方で切って行くうちに、俺はゴブリンを殲滅した。俺が斬り殺したゴブリンの数は二十六匹。全体数は三十四匹。かなりの数を、一人で殺した。
そこで俺は不思議になる。なにせ、あれだけ斬ったのに、息ひとつ荒げず、脈だって早くならない。ついでにどこの筋肉も疲れを感じていないのだ。何かがおかしいと思ったのだが、今はまず、騎士たちの様子を伺うことにした。
剣を鞘に納め、騎士たちの方に向かった。が、騎士たちは、震えながら一歩下がった。
「…あのぉ、大丈夫ですか?」
俺が声をかけると、今度は騎士たちが怯えた声で言ってきた。
「ひっ!ち、近づくな!この化物!」
そういうと一人の騎士が剣を俺に向ける。
「えぇ…」
さて、俺は困ってしまう。なんかしらのせいで俺は騎士たちを脅かした。しかし、冷静に考えればそういうものだ。いきなり現れた男が敵を殲滅に近いことをし、返り血であらゆるところが赤くなったままこっちの方に向かってくるのだ。普通は怯える。
どうしようか、と考えていると、もう一人の騎士が声を出した。
「こら!アデン!恩人になぜ剣を向ける!無礼だぞ!早く剣を収めないか!」
声を出したのは、先ほど一番手前にいた騎士だ。そういうと、アデンと言われた騎士は一瞬躊躇するも、震えながら剣を収めた。
「こちらの部下が無礼を犯してしまった。どうか許して欲しい。俺は護衛騎士団団長のリユン=ハンデスという者だ。」
リユンと名乗った男は俺に謝ってきた。
「いや、いいですよ。よく考えれば怖がれてもおかしくないし、今の俺の状況」
「そう言ってもらえると助かる。」
誤字脱字、間違い等ございましたら、教えてくだされば幸いです。