二話
二話目です。緊張します(作者が)。
「…ここどこ?」
手榴弾を抱えて飛び込んで死んだはずの俺は、なぜか目を覚ました。体を起こし周りを見渡すと、コンクリートでできているのだろうか、灰色で無機質な壁で囲まれていて、おそらく正方形の部屋で起きた。其して、目の前には綺麗なビジネススーツを着込んでいる、新卒ぐらいの人が椅子に座っていた。
「…眠いしもう一回寝るか」
「ぅおい!」
俺がもう一度寝ようとすると、前の青年は声を荒げた。
(あ、気づいてたのか)
「気づくわい!」
(あ、心よまれてる)
「おう!なぜか知りたいか?」
(どうせ神かなんかなんでしょ)
「なんかって…そうさ。俺は神だ」
(だとおもった)
「そう簡単にわかるもんかねぇ?」
(流れ的にそうでしょ)
「流れって…てか、なんかさっきからナレーションなくねぇか?」
(あー、まぁ説明ばっかだったからねぇ、前話とか)
「メタァだなおい」
自称神はなぜかじとめで俺に目を向けた。
(まぁ、それはさておき、神さんよう、俺は死んだはずだよな?)
「あぁ、オミン、お前は死んだ」
(だよなぁ)
「お前よく落ち着いていられるなぁ。てか喋れ。其の口は飾りか」
「わかったよ」
「おぉ、喋った」
俺が喋って驚きを隠せない自称神。お前が喋れって言ったんだろうと突っ込むことはなかった。
「それで、なんで俺は目が覚めてるんだ?」
「オミンさぁ、もうちょっと丁寧な口調じゃなかったっけ?それに他人にはちゃんと敬意とか払ってなかった?」
「俺の立場にもなってみろ」
「まぁそっか」
自称神は納得した。
「そんで、なんで俺は目を覚めたんだ?」
オミンは真剣な眼差しで自称神の目を見た。
「あぁ、実はな、お前さん、本当なら今頃どっかの高校の先生やってるはずなんだ」
俺は片方の目を見開いた。
「…どういうことだ?」
「言葉の通りさ。本来なら高校の先生として、平和に生きてたはずなんだ。でも、こっちで手違いがあってね、お前を戦火に巻き込んじまった。申し訳ねぇ」
そういうと、自称神は深々と腰を下げた。一方の俺なんだが、別に動揺するわけでもなく、ただ、少しため息を吐いた。
「いきなりそんなことを言われてもなぁ」
「本来なら、こんなことにはならなかったんだ。でも、お前を間違えて違う世界線に移動させたせいでこうなったんだ」
それを聞くと、俺は納得して、手を顎にやった。
「…あのときか」
「あぁ」
俺がまだ大学生だった頃、一度事故に遭ったことがある。時速60キロのトラックに跳ねられ、重体になり、生死を彷徨った。なんとか死を逃れたが、其の時、俺は世界に違和感を感じた。
「あのとき、うちの部下が間違えて君を死者リストに入れちゃってね。そんでミスに気づいた部下が慌てて生者リストに入れる時に、違う世界線に入れたのさ。本当に申し訳ない」
それをいうと、自称神はもう一度深々と腰を下げた。
「頭を上げてくれ、神さん。わざとってわけじゃないんだし、別にあんたがミスしたわけでもないだろう?それに、俺が死んだことには変わりない」
いきなり多少優しい口調になったことに少し驚きながら自称神は顔を上げた。
「そう言ってもらえると助かるけど、どうしたんだい、其の口調?」
「こっちも少なからず落ち着いた物でね」
「そうか、理解してくれてありがとう」
自称神は腰を下げ、礼を言った。そして、顔を上げた自称神は、口を開いた。
「そしたら、これからのことを話そう」
誤字や間違い等ございましたら、教えてくだされば幸いです。