十八話
この話の一番最初のパート、実は十八話だったはずなんですよ。でも、なんかいつの間にかなくなっていて、代わりに十九話目だとばかり考えていた話が十八話目になっていたり、それに伴って全話一話ずつ早く記載されていたり…疲れました。十八話目です。
朝起きて、戦闘服に着替えて、朝の鍛錬に向かった。日はまだ登っておらず、外は暗いままで。
着替終えた俺は、扉の横のメイド(この人寝たりしてるのかな?)に朝の鍛錬に向かうとだけ告げ、屋敷を出た。いつも部隊の外周五周を走っていたから、ここでも屋敷の外周五周でいいだろうと思って、走り出した。
さて、走ったはいいものの、俺はある違和感を感じていた。全く持って疲れないのだ。脈すら早くならない。今三周目だが、普通ならもう汗をかいでも十分なはずだ。それに前と比べることができないほど速く走っている。
そういえば、ゴブリンの時もそうだった。あんだけ真剣を振り回したのだ。疲れて当然だ。たとえ竹刀だったとしても、ゼーゼーいうだろう。
結局神に聞いたら、体力とか筋力は、限界まで引き上げていたらしい。自分のミスで死んだんだから、賠償みたいな感じで死にづらい肉体にしたとのこと。プラスして、その身体能力はなにがなんでも決して低下することはないってよ。俺って人間だよね?
運動することに意味がなくなった俺は、すぐにナイフ術等の鍛錬に移った。技術の腕というのは続けないと錆びるものだから、やることに変わりはない。
技術の鍛錬は中庭でやった。ナイフ術や近距離格闘術、ついでにバスタードソードで素振りをしたり、通用するかわ知らないが日本剣道型も打ち太刀仕太刀どっちもやった。
練習を終えると、メイドが駆け寄ってきた。
「オミン様、お館様がお呼びです。食堂までご案内します」
俺は案内されるがまま、昨日と同じ食堂に入った。
「オミン殿、おはようございます」
「コンラード様、おはようございます」
「まずは朝食を取りましょう」
そう言われて俺も席につき、朝食を取ることにした。朝食にはパンとスープ、サラダがだされた。これまたおいしい。特にスープ。
朝食を平らげ、昨日の夕食と同じく、お茶にしていると、コンラートが口を開いた。
「オミン殿、昨日も言いましたが、この度は我が家族と、騎士の方々を助けたこと感謝します」
「いいえ、ただの成り行きですので」
「だとしても、です。だから、我々としては、お礼をしたいのですが、何かありますか?」
お礼か。もう充分なんだけどな。飯も食ったし、寝かさせてもらえたし。何か必要なものもあるかな?武器もあるし、最悪神さんに頼めばいいし。
「いや、お礼と言われましてもね」
「それでは、オミン殿。職業はどうですか?」
職業かぁ。考えてみれば、俺って今無職だもんなぁ。しかも元軍人であることを証明できる方法も、相手青白くしちゃうから嫌なんだよなぁ。
「職業、ですか?」
「えぇ。実は、我がホープマン家は代々軍部の長官をやらせてもらっていましてね、軍部に対してなら、かなり影響力が強いんですよ。ですので、もしオミン殿が希望しましたら、軍部の方に職が就けられるんですが、どうしますか?」
うーん、軍部かぁ。要するに軍人かぁ。別にいいんだけどな、軍人でも。でもなぁ、あんま学んでないからなぁ、戦略のこと。下士になった時に、基礎歩兵戦術ちょっとやったくらいだし。
「しかし、いいんですか?こんな身元不詳の人物を軍人にするなんて。もしかすると敵国の間諜かもしれないですよ?」
「大丈夫です。職業欄の詳細には、其のような記録は有りませんでしたし、何より、あれだけの実力ですから、正直な話、軍部に来て欲しいくらいですからね」
あぁ、そっか。ステータス欄なら嘘もつけないからいいのか。ていうかこれちょっと危険だな。次からは無闇にステータス欄は見せないようにしよう。
「しかし、戦略とかわかりませんよ?基礎歩兵戦術とかかじった程度しか。それでもいいんでしたら、是非とも職に就きたいです。ちょっと我が儘言うかもしれませんが」
「我が儘、ですか?」
「はい。聞きますか?」
すると、コンラートは頷いた。
「えぇ、聞かせてください」
おぉ。どうやら俺も無職から脱出できるかもしれないみたいだ。
誤字脱字、間違い等ございましたら、教えてくだされば幸いです。