十四話
昨日、なんだかへんな夢を見ました。自分は軍人で、これからなんか得体の知れない化け物たちと戦闘をしに行く途中で。そこで、自分は自分を落ち着かせようとするんですよ。俺は生き残れる、ここで戦わないと、自分の後ろの人たちが危なくなるから、自分が頑張るんだって。そんな中でも、どうしても死への恐怖は拭い払えなくって、死んだらどうしよう、死にたくない、こんなこと考えても、死んだらどうにもならない、と。心臓も不気味にバクバクして、体も震えて、気付いたら、どうやってここから逃げ出せるかって考えてて、どうしようどうしようって考えてると、目が覚めたんですよ。なんかやけに生々しくて、今も思い返すと、心臓がバクバクします。十四話目です。
極刑を免れた俺は、生きていられることへの感激を味わいながらホープマン屋敷に招きいれられた。どうやら、今日はここで寝かせてくれるらしい。助かる。しかし、さすがは侯爵家、こんな広い住処、うちの部隊ぐらいしか見たことない。まぁ、部隊は兵たちの職場兼住処なんだが。ちなみに、下士官以上の幹部は、部隊で住む必要はない。だから、家が部隊の近くにある幹部は、家から出勤するのが殆どだ。
勿論、メイドもいる。だいたい、二十人くらいいるみたい。後で聞いた話だと、其れでもやっと屋敷内の仕事が賄い切れるとかなんとか。
「本日は長旅、お疲れ様でした閣下!」
「あぁ、オース中佐もご苦労であった。」
もう、オースは、配下の軍人として扱うことにした。だって、そっちのほうがかなり楽だし。
「とんでもございません!さぁ、このような部屋程度しか用意できなくて申し訳ございませんが、本日はこちらの部屋でお過ごしください!」
そう言われて案内された部屋は、とにかく広かった。いや、もう広い。独身寮の、軽く十倍以上は広い。こんな広い部屋で一人で寝たことないよ?其れなのに謝れたし。社交辞令かな?うん。
「それでは、私はお先に失礼いたします!また、夕食時にお呼びしますので、其の時まで自由にお過ごしください、閣下!何か必要なものがございましたら、部屋の外にメイドがございますので、お頼みください!」
そう言ってオースが部屋から出て行った。
「メイドかぁ」
気になってドアを開くと、開いて左側に本物のメイドがいた。メイドが俺に気づくと、すぐさま俺に駆け寄った。
「いかがなされましたか」
「い、いえ」
あ、どうしよう。別に用はないんだよな。なんかメイドが首を傾げてきた。
「ただ、メイドというものは初めて見るので、どんな感じなんだろうかと思いまして…」
とりあえず、なんか言わないといけないと思って言ったんだけど、大丈夫か?こりゃあ。
「はぁ…」
もうめっちゃ困ってる感じで返事したよ。困らせちゃったよ、メイドさん。俺は軽く、通用しないお辞儀をして、部屋に戻った。
「…そ、そうだ。ステータス、あるんだよね」
俺は若干の恥ずかしさを紛らわせるために、ステータスを見ることにした。確か、ステータスでいいんだよね?
(ステータス)
名前:オミン=リュウ
職業:無職(元軍人)
レベル:999
体力:150000
魔力:80000
状態:羞恥
能力:物理攻撃耐性、精神干渉耐性、毒物耐性、剣技、…(詳しく見る↓)
装備:バスタードソード
おぉ、ファンタジーっぽい。って、羞恥ってなんだよ、羞恥って。
誤字脱字、間違い等ございましたら、教えてくだされば幸いです。