十二話
二十九日に、志村けんさんが他界したとの報道を聞きまして、大変悲痛です。昔からいつもテレビの中で笑わせてくれる存在でしたが、こんなに呆気なくこの世から去って逝ってしまい、非常に悲しいものです。
「オース中佐、これが王都か?」
「はっ!左様であります、閣下!」
王都と聞いた俺は、興奮しまくった。あんな高い壁、見たことねぇもん。某巨人漫画の壁くらいあるぜ?すげぇよ。あれが王都なのか、すげぇ。
そんなことを思ってると、徐々に馬車が減速する。やがて止まったと思うと、今度は馬車の外からドアがノックされる。おそらく衛兵なのだろう。
「ようこそ、王都へいらっしゃいました、エリュー様、オース様」
そこまでいうと、どうやら俺の存在に気づいたようだ。
「そちらの方は?」
「はっ!こちらは、我々を魔物の襲撃からお救いなさった、オミン殿であります!」
これまた、大きくハキハキした声で答えてくれたオース。もちろん、衛兵さんは驚いた顔をした。
「オ、オース様?いかがなさいました?」
うん、驚くよ。美中年が軍人口調で喋るんだよ?
「すみません、オース中佐にはちょっと色々ありまして、こんなんになっちゃいました」
そういいながら乾いた笑みを浮かべる俺。
「はぁ、では身分証をお持ちでしたら、提示してもらえませんか?」
あぁ、困った、困ったよ。身分証なんてねぇよ。この世界に来てまだ三時間も経ってないよ?前の世界の軍人手帳もないし、まずあったとしても通用しないと思うし。どうしよう。
と困っていると、いきなりオースが怒鳴り始めた。
「貴様!上官に向かってなんだ、其の言い方は!こちらは26の若さで大将職に就いたお方だぞ!」
あぁ、なんか始まったよ。これってパワハラだよね?ひょっとすると職権乱用だよ?職権?これうちの主任元士がこの場にいたら、絶対懲戒処分だよ。
なんか衛兵さんがすごい強張った顔になったよ?背筋も伸びたし。
「こ、これは失礼しました!オース元大隊長様のお言葉でしたら、そちらの方も信用できるでしょう!どうぞ、入都してください!」
すると、馬車が再び動き始めた。オースって、本当に元大隊長なの?其れにしては力強くない?
「オース中佐、2師団6大隊って、どういう部隊なの?」
「はっ!王都守護隊であります!」
あぁ、そりゃあ力も強いわけだ。首都を守る部隊の長だったんだから。元の世界でもそうだったし。でも大隊?首都守護部隊にしては規模が小さいような気がする。まぁ、世界が違うし、編成も違うんでしょう。
王都に入都すると、そこは活気あふれる街だった。馬車が3台くらい通れそうな石畳の道の両隣には様々な店が構えていて、日常雑貨店から武具店までと、元の世界じゃ、見られないものもあった。
誤字脱字、間違い等ございましたら、教えてくだされば幸いです。
故 志村けんさんのご冥福をお祈りします。