5話 選択
俺は、レイナの帰りを椅子に座りながら、待った。
目をつぶると、レイナとの日々を思い出す。
「ただいま、お兄ちゃん」
レイナが、帰ってきた。
「おかえり、レイナ」
紙袋を、テーブルの上に置く、レイナは、いつもより、うれしそうに見えた。
「お兄ちゃんに、プレゼントが、あるんだ」
レイナが、後ろを向いて、袋を、漁っている。
すまないレイナ。
「なんだと思う? お兄ちゃん」
懐にしまっていた、魔封じのナイフを取り出した。
これは、あの魔法使いの女性の足に、刺されてたものだ。
レイナの強大な魔力を封じるためには、これを刺すしかないみたいだ。
「じゃーん!」
レイナは、取り出した、小さな箱を嬉しそうに、こちらに向けた。
その、瞬間、レイナの心臓にナイフを突きさした。
レイナは、嬉しそうな、顔は、青ざめるように、変わった。
「なんで……どういうこと、お兄ちゃん……」
「すまない、レイナ」
「お兄ちゃん、なにか、私、悪いこと、した……?」
弱々しい泣きそうな声で、そう言った。
「プレゼント、これ、あげたかったんだ」
そう言い、小さな箱から、出てきたのは、指輪だった。
「これで、お兄ちゃんと結婚式をあげるんだ」
「レイナ……」
そうだ、思い出した。
昔、レイナが言ってたっけ。
絶対、俺のお嫁さんになるって……
「お兄ちゃんのお嫁さんになること、それが、私の夢だから」
その言葉をした、レイナの首は、斬撃ともに、床に落ちた。
隠れていた、魔法使いの女性が、剣を振りかざしたのだ。
「仲間の仇だ、化け物!」
その剣は、レイナに殺された、仲間のものだった。
首を失ったレイナの体は、崩れ落ちるように、床に、倒れた。
「お兄ちゃん……」
首だけになった、レイナが、そう言うと、魔法使いの女性は、レイナの頭に剣を突き刺した。
すると、レイナは、しゃべることが、なくなった。
「やったよ、みんな」
「レイナ……」
これで、よかったのだろうか。
俺は、妹を殺してしまったのだ。
「最後の仕上げだ」
魔法使いの女性は、家に火を放った。
レイナの遺体は、炎に飲み込まれていった。
「さよなら、レイナ……」




