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2話 霧の中の世界

 家の外の景色は、霧が、濃くて、真っ白な世界だった。


 「霧が、濃いな」

 「このあたりは、霧が、濃いから、あんまり、家から、離れたら、帰れなくなるよ」

 「近くに人が、住んでたりするのか?」

 「ここは、町から離れた、森の中だし、いないよ」

 「こんなところに、一人で、暮らしているんだな」

 「ネクロマンサーは、人から、恐れられるから、山の中で、生活しているんだ」


 村のみんなも死んでしまって、レイナ、一人で、寂しい思いをさせてしまったな。


 「でも、仲間がいるよ」

 「仲間?」

 「あっ、ちょうど、いいところに、来たね」


 霧の中から、あらわれたのは、スケルトンだった。

 とっさに、レイナの盾になるように、レイナの前に、出た。


 「モンスター!?」

 「ちがうよ、私の作った仲間だよ、これからは、お兄ちゃんの仲間でも、あるよ」


 警戒を解き、スケルトンのほうを見た。

 スケルトンは、なにかをひこづりながら、こちらに向かってきた。

 骨だけの、ボディーなのに、力が、あるんだな。


 「なにを持ってきたんだ?」


 見てみると、それは、オークの死体だった。

 豚の顔に人間に近いからだ。

 俺の知ってる、オークだ。


 「このあたりは、モンスターが、出るから、スケルトン達に見回りさせてるんだ」

 「モンスターだと!? レイナは、襲われたりしてないのか?」

 「ふふ、大丈夫だよ、お兄ちゃん、私、強いし」


 まあ、スケルトン従えてるし、大丈夫なのか。


 「それじゃあ、32号、こいつを、食糧庫に、持って行って」


 スケルトンは、それを聞くと、霧の中に、消えていった。

 んっ? 食料?


 「レイナ、さっきのオーク、食べるのか?」

 「もちろんだよ、お兄ちゃん」


 やっぱりかあああ。


 「モンスターだぞ!?」

 「殺してしまったからには、命を無駄なく、使ってあげたいの」

 「りっぱに……成長したな、レイナ」


 お兄ちゃんは、うれしいぞ。


 「それに、オークの肉は、おいしいよ」

 「ほう、そうなのか」

 「そうだ、今日は、さっきのオークを使って、私が、お兄ちゃんに、料理を作ってあげる」


 ぬっ?

 俺が、食うのか!?


 「お兄ちゃん、嫌?」


 しまった、レイナが、悲しそうな顔をしている。


 「食べるぞ、レイナの作ったもんなら、なんでも食えるさ」


 妹の手料理、食べてやらなくて、なにが、兄だ。


 「お兄ちゃん、だーい好き」


 レイナは、笑顔で、そう言い、俺の胸に抱きついてきた。

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