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掌編小説集10 (451話~最新話)

発明品の効果

作者: 蹴沢缶九郎

定年を迎えた初老の男がいた。それまで仕事に向けていた時間を、男は趣味の発明に費やした。結婚をしているわけでもないので、妻や子供はおらず、ずっと独り身。よって誰かに口やかましく、金や時間の使い方の文句を言われる事もない。

男は何かにとりつかれた様に発明に没頭し、数年の歳月を経て、ある発明品を作り上げた。

そんな出来事をどこで聞きつけたのか、テレビ局や新聞社のマスコミ、野次馬までが男のもとを訪れ、人だかりで辺りはごった返している。

そこへ男が姿を現して言った。


「やあやあ皆さん、本日は私の発明完成披露会にようこそお越しくださいました。そしてこれが、私の開発した発明品です」


と、男は様々なボタンやダイヤル、メーターの付いた、ティッシュ箱ほどの大きさの、銀色の装置を取り出して見せた。

それを見た一人の記者が質問した。


「一体それはどのような装置なのでしょう」


しかし男は、はやる記者を制し、満足げに説明した。


「実は、もう既に装置は作動しており、効果は証明されています」


人々は訳がわからない様子で顔を見合わせた。男は構わず続けた。


「私は誰一人にも装置の完成を伝えておりませんでしたが、このように沢山の方々が集まってくださいました。この装置は、言うなれば集客装置。人々を集める装置です。独り身が長く、寂しい思いからこの装置を作った次第で…」

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