表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短編小説集  作者: Raa★
1/4

「悪天候」

男主人公、幼馴染、現代、バッドエンド、交通事故、全年齢


(あおい)

男。学生。主人公。幼馴染の椛とは2人が産まれる前から家族ぐるみの付き合い。


(もみじ)

女。学生。葵の幼馴染。

ふと、窓の外に目をやると、雨が激しく降っていた。雨足は少し前に比べて強くなった様だ。

なんて、ニュースキャスターの様な台詞を紡いでいると、スマホに電話が掛かってきた。幼馴染の(もみじ)だ。椛の親と僕の親は、僕らが産まれる前から仲が良かったらしい。当然そのまま子の僕らも仲良くなり、生まれた時からずっと一緒で、まるで兄妹みたいだった。

「ちょっと!聞いてんの!?」

「あぁ、ごめん。もちろん聞いてるよ。やっぱり目玉焼きにはソースだよね。」

「そんな話してないわ!しあさっての夏祭りに着る浴衣。見せに今から行くからね!」

ツーツーツー···。どうやら椛が家に来る様だ。わざわざこんな大雨の時に見せに来なくても···。多分、こんな日でも俺と会いたいんだろうなんて考えてると殺されそうなのでやめることにした。そういえば、自転車で来るなんて言ってたな。この雨の中狂ってるんじゃないのか?行くべきは夏祭りなんかじゃなく精神科かもしれない。なんて椛が聞いたらじっくりことこと煮込まれそうな事を考えていると、椛が来た―――――なんて言いたいのだが、なかなか来ない。あいつなら自転車をスリップさせて3回転トーループでも決めそうだ、なんてトントンサクサク切り刻まれそうなことを考えていると、また電話が掛かってきた。

「まだ来ねえのかよ椛w」

(あおい)くん?椛のお母さんだけど」

その声からは動揺の香りがした。

「あ、お母さんだったんですね。ごめんなさい。どうしました?」

「あのね···椛が、椛が···」

その声には涙という不純物が混じった。

「どうしましたか?」

「椛が、()ねられたの···」

椛が事故に遭った···。その言葉を聞いて、僕は意識が遠のく様だった。そして、搬送先の病院などの情報を聞くと、すぐさま兄に車を飛ばしてもらい、病院まで行った。

事故の経緯も聞く事が出来た。この雨で自転車で転んでしまい、運悪くそこに車が通った、との事だ。そして、今は集中治療室、と。


·········1時間か、2時間か。はたまたそれ以上か。そんなふうに感じられたが、たかが30分だった。集中治療室のランプが消え、扉が開き、担架に乗せられた椛が出てきた。看護師の様子からは、緊迫も、安堵も感じられなかった。結論から言おう。椛は懸命の手術も虚しく、この世を去った。

大雨は、椛の命も濡らしてしまった。そして、僕の心にも陰を落とした様だ。心の中は土砂降りだ。


ふと、窓の外に目をやると、雨が上がり、空は晴れ渡っていた。心の中とは相反(あいはん)し、皮肉にも雲一つ無い快晴だった。

最後まで読んでくださってありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ