表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/6

どうやら、この世界の常識は俺の非常識らしい。

少し暇な時間ができたので帰ってきたのら


「どーもー、功労社広報部代表のコノカっす」


「その夫の武蔵ですー」


 二人の男女は横に並んで挨拶をしてきた。


「あ、どうも…なんか漫才みたいですね」


 俺がそう言うと、二人は満更でもない笑顔でこう返してきた。


「「いやぁやっぱ分かっちゃう?」」


「…まぁ、はい。」


 どうやら前世では漫才師をやっていたらしい。地方のテレビにしか出てなかったようで、俺はその二人組の事は知らなかったが。




「この二人は功労社の中でも上位の実力者なので、師団本部には難なく着けると思いますよ」


「わかりました、ありがとうございました…あと、助けてくれたのもありがとうです」


 功労社には色々お世話になったし、これからも仲良くしていきたいな。

 俺はそんな事を思いつつ、師団へ向かう準備を完了させた。


「コノカ、武蔵。護衛頼みましたよ」


 二人はそれにグッドマークで返した。

 この信頼関係がここがホワイト企業だということを物語っていた。


「んじゃいきますか!」


 コノカはそう言うと元気よく外に飛び出しいった。


「護衛っていうか遠足みたいな雰囲気やなぁ…んじゃ、俺らも行きましょ」


 武蔵は苦笑いで付いていく。…多分普段からこんな感じなんだな、二人は。


 …俺の奥さんも確かこんな感じだったな。まぁ、40になる直前にいなくなってしまったけど。


「…はい、行きましょう」


 長らく忘れていた自分の嫁の思い出に浸るのはまた今度だ。今はとりあえず目的地である師団に着くことだけを考えよう。




 …




「コノカ…まだ後頭部がズキズキするんすけど…」


 本気のツッコミを受けてから30分後くらい。武蔵は頭を労りながらコノカに話しかけている。


「正直疲れてたから力の制御あんまりしてなかったからね…まぁ我慢して」


「まじかぁ…」


 半泣きに近い表情で俺の方を見てくる。なんだよ…なにを求めてるんだよ…


「あれ、さっき言っていた宿はもうそろそろですかね?」


 近くの宿に泊まると聞いて頑張ってきたのだが、そらそろ休みたいところだ。

 野宿は危険すぎて出来ないので安心安全の宿を探しているのだ。


「うん、ここら辺にあるはず。…ん、あそこだ」


 空はすっかりオレンジ色に染まり、カラスの一匹や二匹鳴いていたら完璧な感じだ。

 そして、少し暗いおかげで遠くに明るい建物があるのが分かった。


「もう一踏ん張りよ、頑張ってね」


 コノカがそう言って振り向いた瞬間。


 俺は地面に四人目の影が見えた。



 その影の持ち主は刀を持ち、人間では出せないようなスピードで俺の方へ突進してくる。

 手には刀。避けなければ切られる。


 避けなきゃ。

 避けなきゃ避けなきゃ避けなきゃ避けなきゃ避けなきゃ避けなきゃ避けなきゃ




 …あ、駄目だ避けられない。

 頭では認識しているのに身体が追い付かない。…いや、相手が速すぎるんだ。




 カッコ悪いな、俺。なんの太刀打ちも出来ねぇや。






「おいおい、なんでそんな悟った顔してんだ?俺らがいることを忘れたのか?」



 視界には迫り来る相手の刀…と、それを横から素手で掴んでいる武蔵の姿があった。


 斬りかかってきた男は声を荒らげる。


「ちっ…邪魔が入ったか…ってよく見たらこの二人、功労社のクソ漫才師じゃねぇか!」


 俺はようやく何が起こっているのか理解することができた。いや、刀を素手でつかんで血すら流してない武蔵は理解できないが。


 男は刀を引き抜き、逃げようと腰を低くする。

 その時、俺でも分かる強烈な殺意が周辺を覆った。


「『クソ漫才師』…?ほぅ…言ってくれるじゃない、お礼にお前と近くにいる愉快な仲間たちの内臓で鍋でも作ってやろうか」


 俺の目には何が起こったのか視認することが出来なかった。

 気付いたときには、コノカが逃げようとしていた男の首をナイフで引きちぎっていた。

 喉からは大量の血が吹き出し、たくさんの管の集合体や喉仏と思われる軟骨のようなものが夕日に照らされている。


 男は口をパクパクと動かし何かを喋ろうとする。

 …が、喉が切られているせいで首の断面が口の動きに合わせて伸縮を繰り返すだけだ。


 中々ショッキングな光景を見せられて少し吐きそうなのだが、なんとか持ちこたえるとこができた。


 しかし…


「仲間って…まだいるんですか」


「この手の山賊は集団行動だからね。最初に一人がけしかけるんだよ…まぁ、スキル使って確認するまでもないよ」


 コノカがそう言って完全に斬り取った男の頭部をぶん投げた時、周りから十数人の男たちがそれぞれ武器を構えながら飛び出してきた。


「…ふむ、逃げないとは中々肝が据わってる連中だな」


 武蔵はそんなことを言いながら俺の前で武器を構える。



 どうやらこの二人は俺の命の恩人になりそうだ。



「そんじゃお前にとっては初陣だな。まず第一の目標は死なないこと、次が…全員無傷で宿に辿り着くことだ!」


 コノカの言葉を皮切りに、ついに戦闘が始まった。

 その時ようやく、俺はこの世界の常識を理解した。




 殺らなきゃ殺られる、前の世界よりもハードモードな世界だということに。


最近めっちゃ勉強してるんですよ…


すんません嘘です。めっちゃゲームしてます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ