プロローグ、ですらない
「はぁ、はぁ、ふひっ!」
一人の少年が蝉が鳴くには早い、初夏の訪れを感じる町中を走っていた。
全力疾走と抑えきれない笑いに、10人中13人は不審者だと思うであろう。
幸いにも周りに人がいないのと、少年自体周りからの評価を気にしていないのか町の一風景として流れていく。
「や、やっと買えた!まさかあるとはっ!最後に頼るは町のゲーム屋だなっ」
家路へとタイムアタックを掛ける少年の右手には一本のゲームソフト。
ゲームしたさに、彼は今世間体もかなぐり捨てて疾走しているのである。
まぁそれも仕方の無いことであろう。
この少年、連日連夜雑誌のレビューや掲示板を見ては、あまりにやりたすぎて咽び泣いた程だ。
その姿に家族は辛い事があったのかと思いカウンセラーを探し、
咽び泣く理由を知れば、脳神経内科を探したのも致し方ない。
帰宅所要時間最速タイムを叩き出し、家族への挨拶もそこそこに自室へと入る。
鞄を置き右手に持つ紙袋からお目当ての物を出す。
「WORLD・ちゃんぷるー」
可愛らしいPOPな字体に、これまた可愛らしい絵本に描かれる様な二頭身のキャラが描かれたパッケージ。
一見すると少年が持つにはいささか対象年齢が低すぎるようなゲームである。
「この絵と前情報一切無し、どの層をターゲットにしているかも分かんねぇ・・・どれだけのキッズ達が心に傷をおったか・・・まっ、俺には関係ねぇーけど!」
不穏な言葉とともに、専用の機材にスティック状のソフトを差し込みバイクのヘルメットみたいなヘッドギアを装着する。
「さぁって、俺は一体何になるんだろうな」
返事を返すかのように静かに起動音が鳴り、少年の意識は落ちていく。
初めての小説です。
至らない点や気分を害する事もあるかと思います。
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