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シスエン~妹怨~  作者: 遥風 かずら
出会いの始まり
3/36

2.転落。


 とうとう成人の日を迎えた。昨日は寧々子にいきなりあんなことやキスもしちまったが、悔いなんて残さない! 何故ならずっと自分を騙して生きてきたわけだからな。誰が好き好んで、可愛すぎるアイドルな彼女を妹にしなければならないんだよ。俺は正真正銘、一人っ子なんだ。たまたま、おつかいに行ったパン屋に当時から可愛かった寧々子がいて、好きで好きで通いすぎてそれをあいつの母親に見られて約束をしただけに過ぎない。


 俺には何の得もない! 妹って周りに言いふらしながら、一緒に歩いたり買いデートに行けば、大義名分だからな。そもそもちっさい子供オレが、その時に出会った女の子の母親といつまでも約束を守ると思ったら大間違いってものだろう。


 ……という、俺なりの解釈で昨日は『妹』じゃなくて、彼女として好きだ! なんて、マジな告白をしちまった。しかし、寧々子の奴の様子がおかしかったな。告白をせめて今日の成人となる日(お互いが同じ誕生日)にして欲しかった。だなんてな。


 たかだか一日のズレだろ。きっと焦りすぎた俺にあいつも内心は焦りすぎて無駄に考えすぎてうつむいたに違いない。そもそも夕方の暗い時間にうつむいてたら、いかにも暗そうに見えるしな。

 で、今日は寧々子に呼び出されて、近所の公園で待っているわけだが、まだあいつは来ていない。


 ※


「犬人君……お待たせ」


 お、やっと来たな。随分とおしとやかに登場したじゃないか。たかが一日で人間変わらないよな?

 個人的に俺はそう思うんだけどな。


「犬人くん、私から渡したい物があるの。今日の記念に、受け取って……受け取れ、ください」


「ん? お前、性格変わったか? もしかして今日から男っぽくしてアイドル追っかけ連中を一掃するのか? だとしたら中々の切れ者だぞ! もちろん、彼女からの贈り物は有り難く受け取るぜ!」


「あ、りが……とう。そ、れを手首に付けて……着けろ」


「お、おぉ? 寧々子が命令形女子になった。これはこれでイイ! 萌えるぜ」


 寧々子の言う通りに、俺は左手首にブレスレットのような物を身に着けた。着けてから気付いたが、俺の今の手首にピッタリと合っていて、外そうと思えば出来るが無理やりに外すと血管がやばそうになるくらいのフィット感があった。


 しかもよくよく見たら、外側にいぬ・ここに生きる。なんて訳の分からない刻印が刻まれていた。こ、これは恥ずかしいぞ。ますます中の人は以下略になるじゃないか。


「な、なあ、何だこの刻印? しかも手首にくっついてるような勢いで、フィットしすぎてるぞ?」


「犬は寧々ネコをいつまでも追いかける運命…。約束を守らなかった君はもう、私の手に負えない……まずは10年間、枷をつけてあげる。あなたはその見姿のまま、10年の時を眠っていて、眠れ……」


「おいおい? 何だそりゃあ。何か変なドラマでも見たのか? 10年眠れって俺はどこも悪くないぞ! むしろ元気良すぎて走りまくりそうだ」


「……それなら私……を、捕まえて、みる? 今から走って逃げるから、もし私を

捕まえられたら許し、てあげ……る」


「おう、いいぜ。駆けっこで俺が負けたことなんてないからな。ましてここの公園は下り坂があるからな。楽勝だぜ!」


 俺は寧々子にハンデをあげて、先に走らせることにした。どう考えても、楽勝過ぎてオチが見えるからな。何の冗談か知らんが、彼女の冗談に付き合ってやるのも彼氏の務めだろう。


 寧々子にやや遅れて、俺も走り出した。下り坂なだけあって、走る速度はグングン上がり、前方に走っていた寧々子の姿を捉えた。ふっ、当たり前すぎて笑っちまうぜ。


「どうだ~俺は早いだろ? 別に下り坂のおかげでもないんだぜ? 元々の脚力が違うからだ! ふははっ……」


「よかったね……でも、前を、見て……」


「ん? 前? 前に何があるって……おぉお?」


 寧々子の言葉と同時に前を見たがすでに遅かった。俺は間抜けなことに、どこかの家の壁にぶつかってしまった。頭の上に星が3つほど3周くらいしている。そして、そこで暗転した――


 ※


 気付いた時、妙な違和感を感じた。明らかに体力が失われている。何よりも、どこかの部屋に寝ていて、見たことのない内装だ。俺の家ではなさそうだ。手首を見ると、絶対に外させない力で腕輪が締まっていた。これが俺の血管を締めすぎていて血圧が上がったのか、再び俺は頭の痛みを感じて目を閉じた。


 目を再び覚ました俺は目の前の光景に驚いた。

 全く知らない女の子達つまり、複数の女の子たち(といっても、別に小さな子限定ではない)が、俺を真上から覗き込んでいた。てか、素直に怖い……


 中には俺を明らかに憐れんでいる、もしくは同情しているような目で見ていたが、他の子たちからは妙な迫力を感じる。その中には懐かしささえも感じる子がいるな。とは言え、名前が思い出せないぞ? 何故だ……? 頭がぐるぐるして名前が記憶から消えて行っている?


「……っ!? な、なんだ異様に寒気を感じる。何だ、誰だ?」 


目力が強すぎる女の子!? すごい睨まれているな。何かしたのか俺。いや、この子だけじゃないな何か体の中いや、心の中がざわついている気がする。

 そして、それに耐えきれない俺は3度目の眠りについてしまった。


次に目を覚ましたら俺はどうなっているのだろうか? そして何よりも、寧々子はどこへ行ったんだ? 謎が謎すぎて、しばらく頭を悩ませたくない。


 ……次こそはきちんと体ごと起こさなければいけないな――

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