妹EP【アリサ】
「セップク致す!! ワシがケンを迷子にしてしまったのじゃ……」
遠いニホンからホームステイでやってきた男の子、犬人は愉しき奴じゃった。
「オレ、犬人! エート、ヨロシク! 14歳!」
「ケン? よろしく頼むゾ。ワシはアリサじゃ。ホウ、同じトシじゃな」
「アリサは武士? 日本語おかしいよ……」
「そうではない。ワシはニホンの劇が好きなのじゃ。そこでニホンゴを学んだのでな。許せ」
「へ、へぇ……それはすごいね。そ、それでも会話が通じるなら何でもいいや」
「ケンは軽い男なんじゃな。ワシが鍛えてやろうゾ! ここに居る間、オヌシを立派な武士にしてニホンに送ってやろうぞ」
「さっきから気になったんだけど、ケンってオレのこと? オレ、ケントなんだけど……」
「細かい童子じゃの。呼びやすくてよいじゃろう。でも、ワシのことはアリサと呼ぶがよいぞ」
「アリサ……よろしく、アリサ!」
「ウム」
ケンは我が祖国、ロシアにホームステイとやらで参った童子。ニホンのガッコウでは、希望すればそのようなことが出来るらしいな。ワシもニホンに行って、刀を振り回してみたいものじゃ。
ケンの強さはニホンではいかほどなのじゃろうか? フフ……それは無粋というヤツか。
ケンが我がホームに来てから5日ほど経った。我が母、父の計らいでケンと買い物に行くと言い出した。
ならば、ワシも同伴せねばな。どうやら、ケンは全ての事柄に興味を持っておる童子。至る所に立ち寄りたいようじゃ。母、父にはゆっくりしてもらいたく思ったワシは、ケンと2人で歩いた。じゃが、これが悪かった。
「ケン!! どこじゃー! どこにおる!?」
いかん、この人混みでは容易く見つけられぬぞ。このままでは母や父に面目が立たぬ……
「ケンーー! 近くにいたら返事をせい! 頼む!!」
人混みをかき分けながら、ストリートを隈なく探した。結果…案外、近場におったようじゃ……
「ケン! 心配かけおって……今までどこを歩いておった? 探したではないか……」
「へ? そ、そうだったんだ。途中まで一緒にいたはずのアリサがどんどん進んじゃって、やばいなーと思ったからその場で動かずにいたけど、まずかった?」
「な、なんと! では……悪いのは全てワシではないか……クッ……」
「心配かけてごめん」
「いや、子細無い。だが、このままではワシの気が済まぬ」
「いや~……日本と違って日本人が少ないから歩けないなぁなんて思ったよ。ごめんね」
「ケン……ワシはセップク致す!! カ、刀はどこじゃー! 今すぐニホンに行ってセップクしたい!」
「だ、駄目だって! それ、死ぬから。もし日本に来てもそれ、駄目だからマジで」
ぬう。だが、もしニホンに行くことがあったら、此度の罰をケンに与えてもらわねばならぬな……




