妹EP【夕映(ゆえ)】
何でもいいので彼氏が欲しい――
私には強面で立場も態度も強い兄がいる。兄の名前、名前で呼んだことが無いので名前は分からない。
というのも、血が繋がっているわけではなく義理の妹という関係。そんな兄は警備員の隊長、つまり上司にあたる位置にいる。兄とは歳が離れすぎていて、ほとんど話をしたことがなかったけど最近、連絡が来るようになった。たぶん、彼氏が欲しいとかを言いまくっていたからだと思う。
「……で、話って何?」
「おう。実はな、俺の職場……警備でお前に紹介したい奴がいるんだ。変わった奴だが、真面目だ。どうだ見合いしてみないか? 別に結婚しろとかじゃない」
「見合いで彼氏を?」
「そうだ。もうすぐ成人になるお前にあいつはオススメだ。多少年上だが、信頼できる男だぞ」
「ふぅん? そう言うなら会ってもいいかな」
「で、お見合いの席とかではなく、俺の職場に新人として体験入社で来てくれないか? そして、あいつとお前とで同じ現場に行ってもらって判断してもらう。もちろん、昼の現場でしかもアイドルの現場だ」
「アイドル? 誰?」
「寧々子という名前らしいぞ」
「誰? 知らない。でも、警備するぐらいの会場と人気ってことだよね?」
「そうだ。そこをお前とあいつで行ってもらう。もちろん、お前は新人だから立ってるだけでいい」
「そういう経験出来ないからそれでいいけど、その人の名前は?」
「中 犬人だ。今26だな」
犬人……どんな男なのだろうか。まずは自己紹介の時に見極めてみよう――




