妹EP【雫(しずく)】
わたしたちには心を持つ術が無い。最初から、そう作られた物だから――
変わらぬ風景、変わらぬ光景、変わらぬ場所。無機質な機械の手が、時々わたしたちを掴んで来る。その度に体は傷付けられていく。飽きられては捨てられ、使われなければ捨てられて、放置される。
こういうものとして生まれて来たから仕方がない。そう思っていた――
「おぉ! 双子シリーズキタ!! いやぁ、可愛いなぁ……特に和服の子はいいなぁ」
和服……わたしのことだろうか? わたしの隣には忍の格好をした木葉がいる。
こんな優しそうな人なら、わたしを大事にしてくれるのだろうか。
そして――
「ううう……またフラれちゃったよ……雫~~」
この男の子は、普段もわたしを抱きしめてくれるけど、悲しいことがあった時は涙を流しながらわたしに抱きついて、わたしの体を濡らすほど涙を流している。喜びがあった時は、真っ先にわたしを抱き上げ、全身に感情をぶつけてくれる。顔の中心に彼の顔が近付いて来る度に、妙な高揚感があった。
心のないわたしを変えてくれた男の子。わたしにも好きという感情が芽生えた瞬間だった。
男の子は妹という言葉に執着しているみたいだった。それならわたしにも執着して欲しい……
男の子がわたしに見向きもしなくなり、放置されてどれほどの時が流れたのだろう。
風にさらされ、表面も汚れ、誰も誰にも見られなくなった。
「彼の元へ行きなさい――」
どこからともなく聞こえて来た声に従って、わたしは彼の元へ向かった――




