妹EP【寧々子(ねねこ)】①
私のお母さんは占いか何かをしていて、家にはよく人が来ていた。その度に、外へ出ないといけなくなるのが嫌だった。お父さんは居ない。私がこの家に引き取られてから、今のお母さんと暮らしている。
本当のお母さんは知らない……私は寧々子。本当の名前は知らない。
「寧々子……こっちへ来なさい。美味しいパンが焼き上がったわよ」
お母さんは時々、私にパンを焼いてくれる。でも、これはお店で売っているパンとは違う気がする……
「……どうしていつも同じ味なの?」
「それはね、あなたの姿を保つためのパンなの。その味じゃなきゃダメなのよ……いい子だから食べなさい」
お母さんに作ってもらったパンはいつも同じ味。私はいつもそれだけを食べている。家の中で何もしないで立っていたとある日、不思議な人間の男の子を見つけた。
何度も同じ道を行ったり来たりしていた。確かにここの道は小さな男の子には辛い所なのかもしれない。何だか声をかけたくなって、お母さんに見つからない様に、声をかけた。
「ねえ、何度も何度も家の前で何をしているの?」
「う、うん……ぼく、おつかいで来たんだけど、パン屋のばしょがよくわからなくて」
「パン屋?」
私の今の格好はエプロン姿。いつもいつも同じパンを食べていても、着ている洋服が汚れてしまうし粉が付くのは嗅覚が鈍くなりそうで嫌だった。男の子は家を眺めて何かに気付いたらしく、私に助けを求めているみたい?
「ちょっと待ってて。ママに頼んでみるね。このメモに欲しいパン? を書いて」
「えと、これとこれを……」
「分かった。じゃあ、お願いしてみるね」
私が家の中へ戻るとお母さんはすでにいくつかのパンを用意していたみたいだった。男の子が来ていたことは彼女にはお見通しだった。その証拠に、家の屋根にはパン屋……と書かれていた看板があった。
私にお金をくれた男の子。これがお金なんだ。何だかキラキラしていてキレイ! 私は思わず、男の子に笑顔を向けていた。男の子は私に話しかけて来た。
「キミはここの家の子?」
「うん。パパ? とママ? のお手伝いをしているの」
「これから毎日きてもいい?」
「どうして?」
「キミがかわいいから」
私がかわいいから? 何だろうこの気持ち……あの男の子の言葉を聞いて何だか嬉しくなった。
でも、毎日来たらあの男の子に何かが起きそうな気がする……そんなことを思いながらも、私はこの家の中で、男の子が来てくれるのを楽しみに待つようになった――




