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入学④

「ダメなものはダメって……、そんなんじゃ、納得できません。

 自分だってここで剣術を身につけたくて見学に来ているんです。

 訳を教えてください」


 まだ名前も名乗っていない先輩から『ダメなものはダメだ』と言われ、理由を訊く立川。

 名前すら名乗っていないのにいきなり人を門前払いしようとするなんて失礼な先輩だ、と立川は思った。

 そもそも、『サークルに入れない』なんてサークルにとっても、サークルに入るのを希望する者にとっても重要なことになるのに、一人で決めてしまうなんておかしすぎる。


(それとも何か? サークルの総意として俺を入れないと決定しているのだろうか?

 俺はまだサークルに対して悪いことなんてしていないのに、なんでそうサークルに入れないなんていきなり言い出したのだろう?)


 まだ名前を名乗っていない先輩からの回答を待ちながら、いろいろと考えを巡らせる立川。

 立川が真剣に視線を向けているせいか、まだ名前を名乗っていない先輩はどこか居心地が悪そうにしている。


(そうすると、おそらくサークル全員の総意として決まっているわけではなく、この名前を名乗っていない先輩が勝手に言っているのだろうと推測できる。

 もし、サークル全員の総意として決定しているのであれば、もっとどうどうとしているだろうし、『サークルとして入れることはできないと決まっている』と一言堂々と言えばいいだけだ)


 立川はそう考え、もう一度、まだ名前を名乗っていない先輩に、


「なぜサークルに入ることがダメなのだか教えてください」


 と、問いただすように、強気で言う。

 立川とまだ名前を名乗っていない先輩とのやりとりを見ていた新入生からも、立場は逆転してしまっていることは明らかだった。

 まだ名前を名乗っていない先輩は明らかに様子はおかしくなっており、どこか後ろめたさがあるような落ち着きのない表情をしている。

 一方、立川はまだ名前を名乗っていない先輩の自身のない様子を感じ取り強気に対応している。

 そして、まだ名前を名乗っていない先輩は、どうするか今思いついたかのように、


「り、理由なんか新入生なんかに言えるか!

 下級生は先輩の言うことに、『はい、』って言って何も考えずに従っていればいいんだよ」


 もう論理的に話すことをやめ、理由なんか関係なく従えと言うまだ名前を名乗っていない先輩。

 明らかになにか隠しているのがばればれである。


(つ~か、なんか嘘つくときは、何回かつっこまれたことを想定して回答を考えておけよな。

 そもそも、サークルに入りたいって来ている人間に対して『サークルに入るのはダメだ』って言えば、『どうして?』と理由を訊かれるに決まってるじゃないか?

 それにもかかわらず、なんも準備していないダメな先輩。

 おそらくこのまま話をしていたとしたってなんも有意義な会話にはならないだろう。

 だったら、この先輩を無視して違う先輩と話をしたほうがいい)


 立川はそう考え、まだ名前を名乗っていない先輩を無視して、違う先輩を探しにサークルの拠点としているだろう建物のほうに向かった。


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