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アク強×俺レゾ クロスオーバー!!

作者: 雲ノ上

 幾多の世界が交差する事もあるかもしれない……。

 世界を管理する神々は、自分の創りし地上の繁栄を願い善処するものである。

 しかしながら、全ての神が繁栄を願う訳ではない。中には悪戯心から世界を破滅に追いやってしまう神様が少なからず存在している。

 今、この星は過去の繁栄が嘘のような荒地になっていた。

 地上に存在した生き物は、双子神に唆された人々が起こした戦争によって死滅し、新たな生命が生まれることは無かった。

 この世界の創造神マリアンは、事の発端である双子神に星の最後を看取るように厳命し、他の神々と共に違う世界に旅立った。創造神が居なくなった星は静かに寿命を終えようとしていた。

 星が終わるまでの時間を、何をする事もない双子神は暇を持て余していた。

 会話をするにも他の神が居るわけではない……会話をするのは双子神の片割れしか居ないのである。


「弟よ……、暇だな……」


「兄よ……、暇だな……」


 数千年の月日の中で話題が底を尽き、口を開けば暇だとしか言う事が無い……。

 最初の頃は、自然が衰退する風景を話題にする事も出来たが、今では荒野しか無く話題にさえならない。


「弟よ……、俺は寝る事にする!」


 する事が無い双子神の兄神は何時ものように寝て過ごす事にしたようだ。

 兄神が横になる姿を見ていた弟神は、ふと頭に面白いアイディアが浮かび笑顔になる。


「兄よ! 今日は寝るのでは無く、俺の提案に乗らないか?」


 横になった兄神は顔を弟神に向けると、とりあえず話してみろと表情で訴えかける。


「なに、簡単な事だ! 暇潰しの為に他の世界から一人ずつ連れてきて、この荒野で戦わせよう!

 良いアイディアだと思うが、どうだろうか?」


 弟神の提案を聞いた兄神は、横になっていた姿勢を勢い良く起こし笑顔になる。


「弟よ! そのアイディアは素晴らしいな! 何より楽しそうだ!

 おぉ、そうだ! 折角戦わせるなら、どちらの連れてきた者の方が強いか競おうではないか?」


 今度は、兄神の提案に弟神も納得したのだろう、笑顔で頷いている。


「兄には負けられない!」


「こちらこそ弟には負けられない!」


 二人の顔には悪巧みをした笑顔が張り付いていた。

 この星を離れる事は出来ないが、仮にも二人は神である。他の世界に干渉して人間一人くらい連れてくる事など動作無いのである。

 二人とも互いに背を向け、違う世界を覗き候補者を選定していく。

 兄神は地球と言う星を覗き、弟神はエルドランドと言う星を覗き込んだ。







 今日も寒い日で、帰路を足早に家に帰ってきました。

 最近はミラハーが楽しいので、少しでも長い事遊べるようにと食事も風呂も早々に済ませてあります。

 それでは、今日も楽しいゲームの世界に出発です!


 “変わった武器を使うんだな……いいな! お前に決めさせてもらおう!”



 ログイーーン! さーて私のオアシスであるソファーちゃんの状況はどうなっているでしょうかね……。

 え? あっれ~? ここは何処ですか?

 何時もならホームに出るはずなのに、荒野で佇んでいます!

 しかも、遠くを見渡しても荒野が広だっている風景しかありません。草さえ生えていない荒地です!

 空を見上げると眩しいほどの太陽が輝いてます。空気は乾燥していますし、普段のミラハーの世界とは少し違うようにも感じます……。

 しかし、どうすれば良いのですかね? うーむ、新しいイベントなのかな?

 考えても分かりません! ふと、視線を下に向けると……。

 え? この荒れ果てた大地に男が横になっています!

 まるでベットで安眠を貪るような感じで横になっています。こんなに暑い大地に横になるとは凄いプレイヤーだな……。

 おっと、横になっている人が目を覚ましたようです。太陽が眩しいのか、目を細めていますね。

 徐に顔を左右に振って辺りを確認しているよな動作をしています。

 あ、横になっているプレイヤーと目が合いました! 心なしか動揺しているようにも見えますが、私だって目の前に知らないプレイヤーが居たので内心動揺しているんですよ!!

 しかも、お前誰だよって表情をしてます。いや、私の方こそ貴方は誰ですか? って状況ですよ!

 おっと、黒髪で私と年齢もさほど変わらなさそうなプレイヤーが、ゆっくりと私を警戒しながら立ち上がります。

 立ち上がったことで相手の全身を観察する事が出来ますね……。

 黒いツナギに両手に白銀のガントレットを装着しています。接近職なのでしょうね。

 さて、目の前のプレイヤーに声を掛けたほうが良いのですかね?


「タクよ。目の前に居るのは魔王だ! 

 このイベントは各個人に個別で用意されたイベントなのだ。

 一人で魔王を討伐するイベントで、クリアすると豪華な報酬を取得する事が出来る!

 それに今回のイベントは死に戻りのペナが無い。存分に戦いたまえ」


 突然後ろから耳元で声を掛けられる。

 いきなりの出来事だったので慌てて後ろを振り返ると金髪の中年男性が笑顔で立っていた。


「えっと、貴方は誰でしょうか?」


 突然声を掛けてくるような金髪の知り合いなど居ません!

 私が警戒をしていると、金髪の男は笑顔で答えてくれます。


「上手く説明は出来ないが、このイベントでの神様だと言えば分かりやすいかな。

 私の事は気にせずに、目の前の敵を滅ぼして良いよ」


 ふむ、イベントでの神様ですか……。

 シナリオに近い感じのイベントですかね? まぁ、悩んでいても仕方ないので報酬の為に頑張りますかね!

 再度、黒髪の男と対峙します。

 む! 魔王も戦闘をする準備が出来ているようですね!


「「魔王よ」」


「「え?」」


 今向こうが私の事を魔王と呼んだ気がします! 気のせいですよね?

 私を惑わせる作戦ですかね? そんな手には引っかからん!

 腰にあるガニノメを装備し攻撃態勢を整えます!


「私の報酬の為に死んでください!!」


 ダッシュをして約五メートルの距離を一気に詰めて攻撃に移ります。


「意味分からん事言ってんじゃねー! っっ!!」


 相手の戦い方を知らないので様子を伺うためにインファイトを仕掛けてみます。

 ジャストインパクトを使いながら、左右のフックをボディに連打で打ち込み、すぐさま距離を離し様子を見てみます。

 お! 私の攻撃でもちゃんとダメージがあるようですね。これならスキルを使用して戦えば勝てるかもしれないな……。


「星の瞬きって、最近見たことあるか?」


 とりあえず、ダブル・インパクトから試してみましょう!


「俺は憧れを持って、いつでも星を見上げてるぜ!」


 右手の人差し指で天を指しながら答えてきます。いや、真面目に答えられると私が照れます……。

 今回の魔王もリアルな感じですね……、私が進めるシナリオの魔王もNPCだと言われないと分からないですからね!

 まぁ、それは置いておいて、魔王よ一発目行きまっせ!


「星に願えよ? ダブルゥゥ・インパァクトォ!!」


 ハイジャンプをしつつ鉄球をパージし、魔王の上空から頭を狙い鉄球を打ち下ろします!

 む、流石魔王ですね!! 左に回避をしようとしたのか頭にヒットすることなく右肩に攻撃があたります……。

 攻撃が思いのほか効いたのか、右肩がひしゃげた状態になってますね……。

 攻撃したの私ですが、痛そうです!

 私の方を睨みつける魔王! 正直顔が怖いです!

 あ、あっれ~? 私を睨みつける魔王のひしゃげた右肩が徐々に元の状態に戻っていきます!!

 まるで、ビデオの逆再生を見ているようです……。

 この魔王、もしかして再生することが出来るのか!! もしかして、シナリオの魔王と同じで一回攻撃を喰らうと学習するタイプかも知れません!!

 そうなると私が後々ジリ貧になってしまいますよ!


「シュードスキル開放! 『いっきとうせん』!!」


 右肩が完全に回復した魔王は、気合が入った台詞を叫ぶと蒼白い焔火を体に纏います……。

 蒼白い焔火は微かに発光していて、見るからに強くなった事が分かります! カッコイイです!!

 あ、いかんいかん! 見惚れてる場合じゃない!

 戦闘中だから集中しないと……。

 気持ちを引き締め、強化された魔王を観察します。

 すると、目の前の魔王の体が一瞬揺らめいたと感じた瞬間!!


 やべっ! なんで目の前に居るんですか!!!


 昔ボクシングをしていたから辛うじて見えたけど、これは回避しないと攻撃をまともに受けてしまう!!

 緊急回避を発動し後ろに下がりますが、相手の動きが速くパンチを腹に喰らってしまいます……。

 くそっ! 回避してたのに攻撃を喰らってしまった!

 今の一撃で体力ゲージの五分の一が持っていかれます!

 運良く反応出来てなかったら、終わってただろうな……。

 魔王よ! いきなり強く成り過ぎだよ!

 こうなったら攻撃は最大の防御って言いますよね!

 次のスキルを喰らわしてやる!


「ふたご座流星群の星に願えよ? ジェミニィ・シューティングゥスタァー!!」


 手数の多い、このスキルなら勝てるでしょ!

 もう一度、魔王の上空へ跳び今度はラッシュを仕掛けます。

 左右の鉄球が私の腕の動きに合わせ、何度も魔王に迫ります。これでどうだ?

 え? えぇ? す、凄い! 手数の多い私の攻撃をいなしています! ど、どうなってるんですか!

 お! さすがに捌ききれなくなってきたのですか? もう少しで攻撃を当てれそうですが……。

 後方に回避して私のスキルの範囲外に出てしまいます……。

 くそっ! もう少しだったのに!

 約二十秒のスキル発動時間が過ぎ、地面に降り立ちますが動悸が激しくて直ぐに動く事が出来ません!

 今魔王が攻撃に転じたら確実にやられてしまう……。

 攻撃範囲から逃れた魔王の方は、此方の様子を伺っているようですね。

 

「イッキィトウォセンッ! 最終ゥ強化ッ!!」


 まさか! 今以上に強くなるのか!

 こうなったら最後のスキルを使うしかない!

 勝てるか分からないけど、体が動く内は何もしないよりは良いでしょう!


「流星群は母天体から発生するんだ。

 流星群の輝きは全て母天体の輝きなんだぜ! 知ってたか?

 ふたご座流星群の母天体の輝きを受けてみろ!! 母天体ファエトン輝きスターレイ!!!」


 これが本当に最後だ! 三度みたび魔王の上空に跳び全身全霊のスキルをお見舞いしてやります!

 今までのスキルは初級スキルだが、これは中級スキルだ! 私が取得している一番強いスキルだ。

 跳びあがる動作も全てスキルに入っている。少し位、体が重かろうと一連の流れで攻撃を繰り出します!

 二球一対の鉄球が空気を切り裂く轟音を伴って魔王に向かっていきます!

 魔王は私の攻撃に対して両手を交差させガードの姿勢をしています……。

 回避をせずに喰らってくれるのは有り難い!

 これで少なからずダメージを与えれるでしょう……。


 ドガァァァーーーン!!

 

 ハハハッ! もうね……、魔王強すぎるでしょ!!

 私の攻撃が当たった瞬間に上へと弾いています!

 スキルが終わり地面に降り立つ瞬間、このままだと危険だと直感が訴えかけてきます!

 もしかして、攻撃がくるかもしれない!

 地面に降り立つと同時に後方へ向かって回避を発動しますが……。

 気がつくと目の前に魔王が居ます。先ほど以上の速さに驚く事しか出来ませんでした!!

 

 空と地面が二回ほど視界を通り過ぎてきます……。

 あれ……、どうなったんだ……。

 地面に叩きつけられ、転がっている時に気付きます。

 私は殴られたんだと……。

 しかし、何て威力だ! 殴られた地点から十メートル以上は吹き飛ばされている……。

 後方回避をしても五メートル位しか下がらないのに……。

 転がる力が弱くなったので、すぐさま戦えるように立ち上がり構えを取ります。

 やば過ぎる! 視界に映る私の体力ゲージはレッドゾーンに突入していて、あと一撃でも喰らえば簡単に死ぬほどしか残っていません!

 ミサちゃ~ん、助けて~! 死にそうだよ!!

 はっ! ヒーラーのミサちゃんは今居ないんだった!!

 しかし、この魔王は本当に個人で討伐出来る難易度なのですか?

 どう考えても攻略出来そうに無いですよ……。

 攻略の方法が違うのか? そうだとしたら今は死に戻ったときの為に少しでも情報を収集する方が懸命な気がしますね……。

 魔王がまだ奥の手を残している可能性も有りますし、最後まで魔王の観察をしましょう!

 今回負けても次で勝てばいいもんね!

 

「さっさと決着つけようぜ?」


 魔王が挑発してきます。

 今回は観察に徹すると決めたから負けても気にしない!


「今回は負けだが次で勝つさ!」


 流石に攻略方法が分からない相手には、初心者から抜けたすぐの私では勝てないです。

 じっくりと作戦を考えて攻略してやる!

 その時に悔しい思いをしてもらいましょう!

 ん? 私を見ていた魔王の表情がさらに険しくなります……。

 どうしたんですかね?

 おっと、魔王が拳を握り締め、此方に進もうとした瞬間!!




「二人とも矛を収めてください」


 上空から女性の声が辺りに響きわたる……。

 声を聞いた瞬間から体の自由が利きません!

 対峙する両者の間に、白髪が美しい巨乳の女性が降り立ちます。

 水色ワンピースのような服を着た、白色のロングの髪が特徴的で神秘的とさえ思える女性です。

 胸にスイカでも入れているのでは無いかと錯覚するほどの巨乳です!

 見ては駄目だと思いますが、視線が釘付け状態です!


「ゴルド! シルバ! 出てきなさい!」


 女性の一言で私の後ろから先ほどの金髪の男が現れます。

 魔王の方も後ろから銀髪をした男が姿を現します。


「「どうされましたか? 創造神マリアン様」」


 金髪と銀髪の男が同じタイミングで女性に答えている。


「どうされましたか? ですって……

 私が言わなくても二人なら分かっているでしょう?

 何処から連れてきたのですか?」


 マリアンと呼ばれた女性の声色には怒気が含まれている事が分かる。


「「捨てられていたので拾ってきました!」」


 二人はまるで、捨てられた子犬が可哀想で拾ってきたような発言をしています。


「貴方達は仮にも神様です。この星は死に行く運命……。

 人は生きていけません! すぐに元の世界に還しなさい!

 それと、何処から連れてきたかも教えなさい!」


 マリアンに説教される二人は子供のようです!


「地球です……」


「エルドランドです……」


 ゴルドとシルバの声が微かに聞こえます。


「地球のオーディン様と、エルドランドのエルド様に謝罪に行きます!

 無論、貴方達も一緒に来て謝りなさい!」


 金髪と銀髪の男の半泣きの顔など誰も見たくないですが、視界に入ってきます……。

 

「私の眷属が迷惑をお掛けしました……。

 二人には、この星での出来事を忘れて頂きます。

 記憶はなくなりますが、私から二人に加護が有らん事を願います」


 マリアンの一言で段々と意識が遠のいていきます……。

 彼女が最後に見せた笑顔はとても優しそうな表情をしていました……。





 あれ? いつの間にか私はベットで寝ていたようです……。

 時計を確認すると、風呂から上がって然程時間が経っていないようです。

 最近疲れているのかな? 知らないうちに寝てしまうとは……。

 それにしても、先ほどまで黒髪の魔王と戦う夢を見てた気がします……。

 夢なので覚えてませんが、相手がとても強く負けそうになってたと何となく覚えています。

 もしかして、ゲームのし過ぎでしょうか……。

 ミラハーは楽しいので、ついつい時間を忘れて遊んでしまうんですよね!

 まだ、時間があるのでミラハーに出発しますかね!

 物語上の細かい設定を知りたい場合は私の作品の方を確認して見て下さい! 遊司籠様の「異世界人にとって俺のレゾンデートルは?(仮)」の方も読まれると分かりやすくなります! ぜひ一読をして見て下さい。

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