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響かない心の二重奏

3月の清峰高校、桜が散る。麻生翔太(高2)は佐倉美月(高2)の手を握り、教室で笑う。「佐倉、顔赤くね?」美月が「うるさいよ、麻生」と返すが、頬が熱い。学園祭から5カ月、葵の思春期症候群を解決して3カ月、2人は恋人だ。翔太の妹・琴音(中2)は不登校を克服しつつあるが、姉・麻生玲(20歳、大学生)が帰省し、様子がおかしい。声が二重に聞こえ、目が揺れる。琴音が言う。「姞貴、子供の頃から変な時あったよね…」

10年前、玲、10歳。 病院で病弱な少女・雫(小5)と出会う。雫は「私、死ぬってわかってる。でも、自由に生きたい」と笑う。玲が「一緒に遊ぼう」と言うと、雫は「君の心にいるよ」と囁く。雫が亡くなり、玲の夢に現れる。「生きたい」琴音の不登校時、玲の声が二重だった。雫の思春期症候群が玲に宿り、今、具現化。

佐倉家、美月と高橋葵(中3)が訪ねる。葵の金髪ポニーテールが揺れる。「玲さん、なんか…二重に見える?」雫が玲の体から現れ、「私は自由だ!」と叫ぶ。車が迫る幻影。翔太が音楽室で楽譜を見つける。「本音を響かせろ」。思春期症候群が量子干渉で時間を分岐。雫の「死にたくない」が玲と融合し、ループが始まる。

ループ1。 雫が玲の体を乗っ取り、道路へ。美月が「玲さんを!」と車に飛び込み倒れる。翔太の叫び、琴音と葵の涙。時間が巻き戻る。

ループ2。 翔太が雫を止めるが、玲が「家族を守る」と身代わりに事故死。琴音が「姉貴…雫って子、覚えてる」と震え、葵が「私も姉貴失うの怖かった」と言う。翔太の胸が軋む。「姞貴も雫も、失いたくない」

浜辺、波音が響く。玲が言う。「雫の夢を守りたかった。家族も…」雫が叫ぶ。「死にたくない! 自由に生きたい!」雫の心が震える。病室の白い天井、点滴の音、親の泣き声。小5で死を受け入れたが、叫んでいた。「走りたい。笑いたい」玲の笑顔に宿った。翔太は拳を握る。美月が言う。「私も『消えろ』って言われた。翔太がいたから…」葵がギターを弾く。「私も嫉妬した。けど、琴音ちゃん、私でいい」琴音が言う。「姞貴、雫のこと、怖かったんだろ」

音楽室、翔太が叫ぶ。「玲、雫、隠すな! 俺が見てる! 2人とも生きろ!」玲が泣く。「家族も、雫の夢も、諦めたくない」雫が言う。「私、死にたくなかった。玲と一緒にいたい」涙が落ち、病室の記憶が蘇る。玲の心に生き続けた雫の叫び。量子干渉が収束。玲と雫の心が共鳴、人格が分離。二人が並ぶ。

桜舞う門前、玲と雫が笑う。雫が言う。「自由に生きるよ、玲のおかげ」琴音が「姞貴、2人もカッコいい!」美月が頬を染め、葵が笑う。「姞貴、翔太さんとラブラブ!」翔太が笑う。「うるせえな。けど、悪くねえ」玲が呟く。「雫、翔太、ありがとう」

END

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