第七話 大好きな名前
本日2話目
『着いたぞ。ここが我が家だ。』
「綺麗な所ですね。」
ほぅっと息を漏らしてお母さんはうっとりしていた。
本当に綺麗な所だ。
いろんな色の花が咲き誇り、暖かい日の光が木々の間から漏れている。
こんなところ生まれて初めて見た。
『さて、シェルディに紹介せねばならぬな。』
「えっ、」
なんで?必要なくない?そのうち私たち多分どっかに行くだろうし。
と言うかシェルディって誰?
お母さんと2人で困惑していると一本角のエディレ様より一回りほど小さい白狼が出てきた。
「ぐるるぅっ」
「わふっ」
突然エディレ様が普通に動物みたいに吠え、一本角の白狼も吠えた。
もしかしてさっきは私たちにわかりやすい様に話してくれてたのかな?
『フェルリア、シエルカ、彼女がシェルディリアだ。』
『これからよろしく頼む。』
「よろしくお願いいたします。シェルディリア様。」
『様はつけなくていいし、ディリアでいい。』
一本角の白狼はシェルディリアと言うらしい。
シェルディリアもエディレ様の様に話し出した。
女の子なんだな…
『では、私は皆に伝えてきます。』
『よろしく頼んだ。』
そう言ってディリエは颯爽と何処かへ行った。
そして、私達はその後すぐにご飯をもらった。
主に果物だった。美味しかった。
そうして、準備してもらった寝床に入った。
まだ他の白狼には会ってないけど、そのうち会えると思っている。
「私たち生きてるのかしら。あんなに怖かったのに、死にかけたのに。今度はちゃんと生きてるわ。病気も治ってるし。」
「あぅ」
まただ。
"今度"と言った。
本当にあなたは桜木 瑠璃なんだね。
瑠璃は大好きなお母さんの名前。
そして、私の大好きな石の名前。
瑠璃はお母さんの名前の石だから好きだ。
これがお母さんの名前の石なのよって見せてくれた瑠璃はすごく綺麗だった。
お母さんとお揃いにしていたネックレスの石でもあった。
だから私がいつか、ちゃんと話せる様になってお母さんに話せる時がきたらちゃんと聞こう。
そしてお母さんにありがとうって言うんだ。
「まぁ、夢だったら寝たら覚めるわ。だから寝て、夢じゃないか確認しましょ!」
「あうっ!」
こんなふうに前向きなお母さんが好きだ。
だから、夢でも、夢じゃなくても。ずっと一緒がいい。
「おやすみ、ルカ。」
「おぁぅ」
私の額にお母さんはキスをする。
そして、私もお母さんも目を瞑る。
大自然の中で眠るのはとても気持ちが良くて、すぐに眠りについたのだった。
前世のお母さんの名前と主人公の苗字が判明しましたよ!!
鳴き声が難しい…
シエルカの前世の名前は桜木瑠夏です。
フェルリアの方は桜木瑠璃です。