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キャバレーの噂?

 山田さんの治療が終わり、治療費ギャンブルで四倍の治療費を受け取ってから、署長室へ。山田さんのせいで少し時間かかっちゃいましたけど、大丈夫でしょうか?


「お待たせしました。山田さんはしっかりと治療しましたよ。」


「すごい叫び声が聞こえたが、まさか、山田に治療費ギャンブルなんてしてないよな?」


 そういえば治療費ギャンブル署長さんはやめろって言ってましたか。これって私逮捕されちゃいます?いいえ、まだです!院長先生仕込みの弁舌で何とかなれー!


「治療費ギャンブルですか?私はやってとは言ってませんよ?提案はしましたが。山田さんの私に対する態度が目に余ったので、ちょこっと、ルールを変えたりはしましたけど。それを受けたのは山田さんの意思なので、押し付けたりはしていませんから。」


「つまり山田は治療費ギャンブルをやったという事だな?」


「端的に言えばそうなります。」


「そして、あの叫び声からして負けたのか。いくら搾り取ったんだ?」


「搾り取ったって言い方はやめてください。確かに外れたときの治療費は上げましたけど、当たる確率も上げたんですから。一方的なものじゃないです。」


「山田の治療費はいくらになったんだ?」


「320万です。でも、当たる確率も二分の一だったので外した山田さんの運が無いと思いませんか?私もまさか外すとは思わなかったんですよ!」


「四倍じゃねぇーか!出張治療費が通常80万で320万で四倍。なのに、治療費ギャンブルは通常当たる確率三分の二。そこは、当たる確率も二倍にしてやれよ!」


「こっちも慈善事業じゃないんで。五分五分の勝負にしただけ良心的だと思ってください。」


「これじゃあ院長の方が良心的に見えるじゃん。厄介な奴を救急隊に送りこんじまったなー。まぁいいや。今後の話をしよう。」


 そう言うと署長さんは無線で誰かを呼ぶ。


「今、この後のパトロールでお前の案内役になるやつ呼んだから、その間に、アルバイトの仕事、パトロールのルート、それと、お給料とか決めようか。」


 お給料!ここにきて初めてのお仕事ですね!それが警察のお手伝いって言うのが、なかなか珍しい事だと思いますけど。ここまで、お金を手にしたことはありましたけど、カジノで勝ったり、山田さんから巻き上げたり。でもそれは、給料って言うより、ギャンブルで勝った賞金って感じですね。…私もう院長先生に毒されてるかもしれません。ギャンブルに勝ったおかげで、働いていないのに、そこそこの小金持ちになっている気がします。


「嬉しそうになったと思ったら無表情になって、今のその顔はなんだ?虚無か?今私が言ったことで、そんなに忙しく表情変わる内容あったか?」


「すいません。初めてのお給料と聞いて、嬉しくなったんですけど、よく考えたらギャンブルで勝ったので働かなくてもいいかな?とか思っちゃったりしまして。」


「薄給で働く我々に対する宣戦布告か?」


「そういうわけではないんですけど。はい。」


「まったく。ギャンブルで勝った金と、給料で頂く金は全然違うんだぞ?ギャンブルで勝って得た金は、何の苦労もなく得た金だからか泡の様にすぐに消えるが、給料で頂く金は、自身の苦労の末に手にした金だから、それこそ大事に大事に扱うものになるんだ。」


「それにしては、山田さんはあっさりと手放しましたけど。」


「それは!……必死に働いて貯めた金が半分の確立で出費0になるかもしれないなら、乗っちゃうだろ!」


 やっぱり署長さんもそう思うんですね。タダより怖いものは無いですねー。


「警察のお給料が薄給という事が分かって私のアルバイト代も安いことが分かりましたので、他の事を教えてください。パトロール中の仕事の内容とか。」


「そうだな。お前にやってもらう事は相棒と二人一組になって街のパトロールをやってもらう。お前には警察兼救急隊として、緊急時の治療並びに被疑者確保をお願いしたい。そのため、手錠を渡しておく。アルバイトだから拳銃は渡せないがな。」


 拳銃渡されても困りますし、撃てる自信もありませんよ。それに、たとえ撃てたとしても震えて弾がどこに行くか分かりませんよ?私が被疑者になるかもしれないので、渡さないでくれてグッジョブです!


「まぁボスの所のデカい山は終わったから、あるとしても個人、もしくは、少人数の犯罪だと思うから、今日限りのアルバイトのお前が出くわすとは思えないけどな。」


 署長さん。それを人はフラグと言います。誰か圧し折ってくれないかな。このフラグ。


「パトロールの順路だが、これから来る相棒と一緒に決めてくれ。こちらからどこに行け、みたいなことを言う事は無いから行きたいところを相棒に伝えて、連れて行ってもらえ。」


「分かりました。」


「来ましたよ署長ー!こう見えても忙しいんですけど何ですかー?」


 署長さんとこれからについて話していると、一人署長室に入って来た。この人が署長さんが呼んだ相棒さんでしょうか?どこかで見たような気がするけど。


「やっと来たか。紹介しよう。こいつがお前の相棒となる小鳥遊琴音。サボり癖があるんだが、それのせいで、どの警察よりもこの街の細かいことまで知り尽くしている。街案内役にはうってつけだな。」


 遂に私が先輩ですか!?今まで一番の後輩だったから、先輩たちの雑用とか全部私がやってたんですけど、これで雑用係から解放されますねー!とか言ってるのが聞こえてるんですけど。もしかして私が今日だけってまだ伝えてないんですか?


「ほら、お前も挨拶しろ!」


「った!叩かなくてもいいじゃないですかー!せっかく来てくれた後輩ちゃんが署長のパワハラに恐れをなして辞めちゃいますよー!?」


「こいつは確かに新人だが一日だけの限定だぞ?それに叩くのはお前だけだから安心しろ。」


「聞きました新人ちゃん!?パワハラを否定せずに私だけに限定することで、集団で声をあげることをなくさせる卑怯なやり方ですよ!新人ちゃんは私の味方をしてくれますよね?法廷で争うときは今の証言してください!」


「いいから自己紹介しろ!しないなら馬鹿と呼ばせるぞ?」


「馬鹿もハラスメントになるんですよ!?」


 入室から一気に騒がしくなった署長室。署長室の扉は開かれたままなので、この騒がしさも警察署内に響いてると思うんだけど、誰も止めに来ないってことはいつもの日常ってことなのかな?私しかいないときは、威厳があったんだけど、琴音さんが来たら途端に漫才みたいになって笑いをこらえるのが大変です。


「このパワハラの件はまた後で話しますからね!水に流すわけじゃないんですから!」


「分かった分かった。また後で話そう。だから相棒となるこいつと自己紹介しろ。」


「約束ですからね!…んん。本日のパトロールで相方役を担当いたします。小鳥遊琴音です。一番の新人でして、あなたとは立場が一番近いこともありますので、何か分からないことなどありましたら気軽に聞いてくださいね?」


 今まで見てきた漫才と変わってすごい出来る人感を漂わせる自己紹介ですけど、今更取り繕っても無駄ですよ?それに、漫才聞いて思い出しましたけど、あなたメカニックでお金足りなくて保護者呼ばれてた人でしょう?


「私は不知火アンノです。本日だけではありますが、警察としてパトロールに参加させていただきます。琴音先輩、よろしくお願いします。」


「先輩!良い響きですねー!」


「琴音に伝えておくが、今回パトロールはしてもらうんだが、不知火の街案内を優先してやってくれ。本当は院長の奴がする予定だったらしいんだが、さっきのギャングの抗争の時の事で救急隊で話し合う事があるらしくてな。こちらにお願いが来た。」


「院長先生ですか!確か、朝にカジノに来てましたねー。ギャンブルは何もやらずに帰ったみたいですけど。」


 あの時見た警察車両は琴音さんのでしたか。という事は、もしかしてこの人院長先生のギャン友?


「仕事サボってカジノ行ってたことはさっき叱ったから流すが、このパトール中にはカジノに行くなよ?」


「なーに行ってるんですか署長!私が仕事中にカジノに行くわけないじゃないですか!朝に行ったのもパトロールの為ですよ!新人にまるで私が不良警察みたいな印象持たせようとしてくるのやめてくださいよ!」


 残念ながら今の所、琴音さんより署長さんの方が信じられるので、琴音さんは院長先生のギャン友なんだろうなって思っておきますね。


「パトロールの巡回ルートとかはいつも通りだから、街案内がてらいろいろなところ見せてやってくれ。不知火から提案が来たら考慮するのも忘れずに。もし犯罪を見つけたら琴音に従うように言っておいたから、先輩として威厳を見せてやれ。」


「私が渡されたのは手錠だけで、そちらの方面でお手伝いできることは少ないと思いますが、救急の知識は教わりましたので、怪我をしても安心してください。相方割引にさせていただきますので。」


「この新人ちゃん、私の事前面に押し出しておいて怪我したら金要求するって、マッチポンプなのでは!?」


「私が怪我を負わせるわけではありませんので。」


「大きい犯罪は終わってるからそうそう犯罪を見つけることもないと思うが、よろしくな。」


「そうやってみんな私を無視するんだ!」


「不知火。琴音の事よろしくな。もしカジノに行くことになったら、私に連絡をくれ。迎えに行くから。」


「分かりました。琴音さんの事は私に任せてください!」


「私の方が先輩なんですけど!拳銃だって持ってるんですけど!」


 ここまでのやり取りで分かりましたけど、琴音さんは愛されるいじられキャラですね。


「もういいですー!この腹いせはいつか署長にお返ししますから!行きますよ新人ちゃん!どういうところを見たいのか話しあって、巡回ルートを決めましょう!」


 そう言う琴音さんに手を引かれ、署長室から出る。怒って出てきたはずなのに、手を引っ張られる感じがなく、私に動きを合わせてくれてる感じ。琴音さん優しい人ですね。


「それじゃあここで地図を見ながら行き先を決めましょう!パトロールという名の街の紹介ですからね!どこに行きたいとかありますか?」


「署長さんは警察と病院さえ知ってれば良いとか言ってたんですけど、その他に知っていた方が良い場所とか、よく目印になるような場所とかありますか?今の状態だと、どこそこに集合とか言われても、その場所に行けない状況なので、知っておきたいんですよね。」


「なるほど。目印となる場所ですか。それならやっぱりカジノですね!っという事で早速行きましょう!」


 こちらの返事も聞かずに走り出す琴音さんを慌てて止める。


「待ってください!カジノに行くのは最後にしましょう!私の街案内が優先とはいえ、パトロールはパトロールです!街の見回りを何もしないのに、カジノに籠るのは流石に怒られると思います!なので、見回り程度はした方が良いと思いますよ!その上で、最後にカジノに行きましょう!楽しみは最後にとっておきましょうね!」


「そうですか?私は最初に楽しみたいタイプなんですけど…。署長に怒られるのは嫌なので、新人ちゃんの言う通りに見回りしますか。ささっとやってカジノに行って、署長の借金を返すんだー!」


「カジノ以外で琴音さんのおすすめの場所はありますか?琴音さんが良く行く場所とか。」


「私が良く行くのはカジノだけなんですけど。他の先輩たちが良く行く場所があるのでそこに行きますか。」


 もう地図を見ることもなく、琴音さんの頭の中にある目的地に行くことが決まったみたい。どこに行くか分からないけど、警察が行くようなところなら安全ではあるよね?


「そうと決まったら早速行きますよ!私の車に乗ってください!」


「分かりました。」


 警察署内からでて、琴音さんが運転する警察車両に乗り、走り出す。琴音さんの警察車両は、やはりカジノに停めてあった黄色のラインが入った車両だった。それに、怪我をするような事故は起きなかったけど、安全運転とは程遠く、いつ事故を起こすかヒヤヒヤしたよ。署長さんや院長先生の運転はこんなじゃなかったのに。これは確かにシートベルトが必須になるよね。


「着きましたー!ここが先輩たちや院長先生などの救急隊。他にもギャングが良く遊びに来るって話のキャバレー!実は私も初めてなんですよねー!」


 他の警察がよく来る場所で最初に浮かぶのがキャバレーって…。まぁ警察も人ですから、仕事が終わった後の楽しみに来てるならいいと思いますけど。


「さっきも言いましたが、ここのキャバレーにはギャングも来たりします。が!ここで強盗とかの犯罪をしている現行犯や、他で犯罪をして指名手配を受けたりしていなければ、ギャングと言えど市民なので、逮捕とかは出来ませんので。たとえ、さっきの銀行強盗の犯人が居たとしても、あれはもう終わったことなので過剰に反応などしないように!……今の先輩っぽくありませんでした!?」


「最後の言葉が無ければ尊敬師弟かもしれません、琴音先輩。ですが、犯罪をしていなければ、たとえギャングがいようとただの客というのは理解しました。」


「んんっ…。まぁ、それが分かっていればいいでしょう!パトロールという事もありますし、中も覗いて行きましょう!今まさに犯罪が起きてるかもしれませんので!!いざ!大人の世界へ!キャバレーの美しい世界が琴音を待っている!!!」


 琴音先輩楽しそうだなー。私の街案内のはずだけど、キャバレーでここまで楽しそうに出来る人も珍しいんじゃないの?同性同士でも意外と楽しいって聞いたことあるけど、ここもそうなのかな?


「ちょっと待ってください琴音先輩。私の街案内なのに私を置いて行ってどうするんですか。」


「それなら早く来てくださいよ!キャバレーが逃げちゃいますよ!!」


「キャバレーは逃げませんよ。」


 琴音先輩の後に続いてキャバレーの中に入る。外観を見たときから思ってたけど、かなり大きいお店ですね。ピンクの壁にピンクの電飾がちょっと気になりますけど、ここは本当にキャバレーですよね?


「あら?珍しいお客さんじゃない!もしかして初めて?」


 入口入って右手に見えたバーカウンターの奥から、そう声を掛けられた。そちらに視線を向けると、前にいたはずの琴音先輩の背が見えることなく、赤い髪の女性が見える。いつの間に私の後ろに回ったんだろう?


「初めてです。この街に来てまだ浅くて、こちらの琴音さんに他の警察の方や市民の方がよく来るお店だと紹介されて来てみました。」


「そうなの。確かによく警察やギャングの人たち、パン屋の主人など多くの人たちに来ていただいて繁盛させてもらってるけど。ごめんなさい、まだ開店時間じゃないのよ。」


「そうだったんですか。今日は街の案内が主なので、また時間があるときに遊びに来たいと思います。」


「それじゃあその時を楽しみにしておくわね。あ、まだ自己紹介をしてなかったわね。私は宝来マリア。このキャバレーのママをしているの。みんなからはママって呼ばれてるから、あなたもママって呼んでいいからね!」


「私は不知火アンノです。今度来るときを楽しみにしておきます。」


 私が自己紹介をしても前に出てこない琴音先輩を前に押し出す。


「自己紹介くらい自分でやってくださいよ、琴音先輩。」


 ここに入るまではあんなに元気で、署長さんとなんて漫才もしてたのにすごい静かになっちゃって。初対面の私とだって結構喋ってた思うんですけど、まさか、緊張してたりしてるんですか?


「私は小鳥遊琴音です。私も初めて来ました。」


「琴音ちゃんって言うのね?あなたもまた今度来てちょうだいね!って、後ろに隠れちゃった……。私って怖かったりするかしら?」


 私に聞かないでくださいよ。まだこの街に来て日が浅いって言ったじゃないですか。救急隊の人とか市民の人がよく来るってことですから、カジノでここの噂でも聞いたんじゃないですか?どんな噂かは知らないですけど。

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