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カジノで出会う人たちは個性豊かな人たちで

「それじゃあ早速カジノに行きますか。あ、シートベルトは忘れずに。」


 パン屋に行くと決まった時とはまた違った上機嫌ですね。

 パン屋で買ってもらったパンと飲み物を食べながらカジノに向かう。


「車の中で食べるのは良いんですけど、綺麗に食べてくださいね。」


「私、食べるの下手じゃないんで、大丈夫です。」


「それなら現在進行形でぼろぼろこぼしてるパンくずも拾って食べてくださいね。」


 これは失敬。あまりにいい匂いだったので、ちょっとがっつき過ぎました。

 車降りる時外に払っておくので許してください。


「私の専用車ですので綺麗に扱ってくださいね。」


 カジノに到着すると、カジノの入り口前に複数の車が停まっているのが見える。

 パトカーや救急車、タクシーまで止まってるけど、みなさんお仕事どうしました?

 特に警察の人ー!事件発生して忙しいはずでしょー!!副署長さんが出動するほどなんだから、カジノで遊んでないで現場に行きなさーい!


「あれは…。今日も来てるんですか。この前も3人くらいに怒られていたのに懲りないですねー。さすがギャン友です。」


「院長先生?知り合いでもいました?」


「まぁ、そんなところです。そんなことより入りますよ。」


 カジノに入り一枚を扉を通ると、輝くカジノの会場。

 その中央にある大きなルーレットに案内される。


「これは皆さんがログインボーナスと呼ぶものです。毎日一回無料で回せまして、お金だったり、食べ物、飲み物、カジノで使えるコインなどが当たります。一番の当たりはそこに見えます車ですね。あなたは今日来たばかりですから車なんて当然持ってないでしょう?試しに一回どうです?どうせ無料ですし。」


 院長先生は普通にこのでっかいルーレットの説明をしてくれてると思うんだけど、どうして胡散臭く聞こえるのだろう。


「あれは本当に乗れるんですか?子供用じゃなくて?」


 ルーレットの前で回っている車は小さく、子供用の電気自動車にしか見えない。あのおもちゃもおもちゃにしては結構なスピードが出るけど、外に停まってるような車に比べれば当然遅い。


「見た目は確かにおもちゃの車のようですが、しっかりとした乗用車ですよ。小さいのに馬力があり、かなりのスピード出るんですから。というより、小さいからこそ、ほかの車よりスピード感を肌で感じられるという事で、結構人気なんですよ?」


 ここのルーレットでしか手に入りませんし。という院長先生の言葉に、希少性から人気があるのでは?と思ったけど、黙っておくことにした。


「それじゃあ回してみますけど、車は別に要らないので、お金がいいですね。」


 勢いよくルーレットが回る。


「何が出るか楽しみですねー!私まだ車を当てるところを見たことないんで、ぜひ当ててくださいよ。」


 当ててくださいって言われても、もう回しちゃってますし、止まるのは自然にでしょ?これ。あとは見守るしかないんですけど。


「車は普通のがいいんで。今は車よりもお金が欲しいですね。まだ見ぬ署長さんにこれ以上迷惑かけないようにしたいので。」


「夢のないこと言いますね。あの車人気あるって言ったでしょう?ここで手に入るお金より、車を売った方が高くなると思いますよ。」


 当てた車を転売なんてそれこそ夢の無い話じゃないですか。欲しくなくても、当たったらちゃんと乗り回しますよ。


 だんだんとスピードが落ち、ルーレットが止まる。突然のファンファーレ。会場にいる人の注目がルーレットに集まる。


「これは凄いですね!もしかして私のために当ててくれたんですか?」


「そんなことできないですよ。ギャンブル依存症の院長先生なら分かってるでしょう?」


「それもそうなんですけどねー。あまりにもタイミングが良かったもので。」


 ギャンブル依存症は否定しないんですね。

 ルーレットは車の鍵のマークに止まり、一番の当たりの車を手に入れたみたい。あのおもちゃみたいな車で、街中を走っている自分を想像するとちょっと笑っちゃうけど、手に入れた以上走り回ってあげよう。


「今日から私の相棒だよ。ペーパーゴールドの実力を見せてあげる。」


「ペーパーなら駐車場とかでよく練習してから道路に出てくださいね。いきなり道路に出て事故とか起きると大変ですから。」


 言われなくてもそのつもりですよ。何年ぶりの運転になるか。お金もないのに事故とか起こしたら、どうなるか。保険屋もいないのに。


「それじゃあ私はパン屋の男を探してきます。店長さんに一言言ってくるって約束しましたので。せっかくカジノに来たので、あなたは待ってる間ギャンブルでもやって脳に刺激を与えてみるのもいいかもしれませんね。」


 初めてのカジノ記念という事でこのお金はあなたにあげます。と言いながら10万ほど手渡される。この金額をぽんっと渡せる院長先生っていったいどれだけ稼いでいるんですか…。


「不思議そうな顔をしてますねー。これでも私、この街の医療のトップですよ?」


 そういうと院長先生はどこかに歩いて行ってしまった。


「ギャンブルをしてみろっていきなりこんなに渡されて。わーい、なんて呑気に遊べないんですけど。この街の事が分からないって言ったって、この金額が大金だってことはさすがにわかるんだけど。」


 大金片手に困っていると後ろから声を掛けられる。


「院長先生のお友達さん。そんなところで突っ立ってどうしました?現金をチップに変えるのはあちらですよ?」


 後ろを振り返り声を掛けてきた人物を確認すると、スーツをカチッと着こなした綺麗な大人の女性って感じの人が立っていた。


「あなたは?」


「申し遅れました。私個人タクシーをしております。皆様にハッピーをお届けするハッピー交通の高井見ネルと申します。気軽にネルとお呼びください。先ほどあなたと一緒にいた院長先生とはギャン友でして、お困りのようでしたのでお声がけしました。」


 こんな人もカジノにいるんだ。って思ったら院長先生とギャン友なんだ。10万をぽんと渡してくる人とギャン友。この人も更生の余地は無い側ですか…。かっこいい人なのに。


「ネルさんですか。実は院長先生がパン屋のバイトさんを探してくるとどっか行っちゃいまして。待ってる間これで遊んできなと10万も渡されちゃったんですよ。ぽんと渡された大金をどうすればいいのか悩んでまして。」


「10万ですか。院長先生は羽振りがいいですねー。ぽんと渡されたなら使っちゃいましょうよ。あの人はギャン友を増やそうとしているだけですから。全額すったって渡してきたあの人が悪いと思いましょう。どうしても負い目があるなら、倍額にでも増やして10万返せばいいんですよ。ここはカジノですから、増やす手は多いですよ。」


 さすがギャン友。使う事前提に無くしてもいいと言ってくるとは。しかも、増やして返せばいいとか言いますけど、カジノ側が勝つようになってるって聞いたことあるんですけど!


「カジノ側が絶対勝つ?それは個人個人ではなく、カジノ全体で勝つってことなので、あなたが勝った分他の人が負けてるだけですよ。他の人の事なんて気にしない気にしない。」


 そう言いチップ交換のカウンター前に連れていかれ、全額交換。そのままブラックジャックの席に連れていかれた。


「スロットやルーレットもありますが私のおすすめはこれですね。結果が分かりやすく、勝てればどんどん増やせますからね!何より、あなたと戦うわけじゃないので、私も隣でご一緒しますよ。まずは座りましょうか。」


 席着きとりあえず少額から賭けてみる。

 一枚目はダイヤの9。ディーラーの一枚目はスペードのQ。ネルさんの一枚目がハートの3。私の二枚目がダイヤの10。これがポーカーなら強かったのに。

 私の手が19だから、勝負するしかないんだけど、負けそうな予感しかしない。


「うーん。悩むところですが、一枚貰いましょうかね。………これは強い手になりました!私はこれで勝負しますが、あなたはどうですか?勝てそうですか?」


「強い手だとは思うですけど、勝てそうだとは思えないんですよね。一枚貰うとバーストしそうなので、勝負するしかないんですけど。」


 手札が公開され、私の手がダイヤの9と10で合計19。ネルさんがハートの3とスペードの8、追加されたのがクローバーの9で合計20。ディーラーがスペードのQとダイヤの6。


「私の手は20!これは勝ちましたよ!」


「私も19でいい手だとは思うんですけど、なぜか勝てそうにないと思ったんですよねー。」


 ディーラーがカードを引く。今の合計が16だから5以下じゃなければバーストで、2以下なら私の勝ち。


「何でそこで5を引くんだよ!おかしいでしょ!!」


 ネルさんが隣で咆える。ディーラーの3枚目はスペードの5。見事に21になり、ディーラーの一人勝ち。やっぱり勝てないと思ったんだよね。掛け金低くて良かった。


「次ですよネルさん。最終的に勝てばいいと言ったんですからそんなにカッカしないでください。私も負けてしまいましたし、次勝ちましょう!」


 ポーカー2回戦。

 私の一枚目がハートの2。ネルさんの一枚目がハートの8。ディーラーの一枚目がダイヤのA。私の二枚目がクローバーの3。合計5と随分小さい手になりましたね。


「さっきのは偶然のはずです。二回連続で21になることなんてありえません!私はこのまま勝負しますよ!」


 ネルさんはスタンドですか。絵札を合わせて10の数字が残り14枚。ディーラーの一枚目がAの時点で降りれるのなら降りたい!だけど、ディーラーの手札が21じゃないことを祈って、引くしかない!


「とりあえずヒットで。」


 来たカードはクローバーのK。これで合計15。まだまだ勝てる見込みは低い。


「さらにヒット。」


「あなた結構引きますねー。バーストしても知りませんよ?」


 来たカードはダイヤの2。またしても小さい。合計17はまた微妙なところだなー。今4以下のカードは11枚。その中でも4は一枚も出ていない。チャンスにかけるか…。


「ヒット。………勝負で。」


 手札が公開される。ネルさんの手札はハートの8とダイヤのJで合計が18。最初に来たら確かにスタンドの手ですね。ディーラーの手札がダイヤのAとハートのKでブラックジャック。最初から勝てるわけなかったってことですよ。ちなみに私の手札は、ハートの2にクローバーの3、クローバーのKとダイヤの2。最後に来たのがスペードの7で合計24。バーストしてました。ネルさんの一人勝ちにならなくてよかったです!


「また負けてしまいましたねネルさん!」


「何で負けたのに嬉しそうなんですか?あなたは。」


「そんなことないですけど?ただ、一人負けじゃなくて良かったなってホッとしてるだけですよ。私たちギャン友ですもんね!勝つ時も負ける時も一緒ですよ!」


 そのあと何回か勝負をして、私は2倍くらいに出来たけど、ネルさんは負け越したみたいだった。


「先ほどの「勝つ時も負ける時も一緒」という言葉はどうしたんですか!私負け越してるんですけど!」


「私の運が良かったんですかね?たまたま勝った時に大きく賭けてて、負ける時は少額でしたから。勝負勘が働いたみたいで。ラッキーでした。」


 本当にラッキーだった。これが一勝負ごとに新しいトランプを使われていたら、こんなに上手くはいかなかったはず。私は昔から記憶力が良くて、何が出て何が出てないか把握できたから、勝負時が分かったんだから。


「ビギナーズラックってことなんですかねー。私もその運にあやかりたかったですよ。…今日は諦めて帰りますかー。」


 ネルさんが帰り支度を始めると、ちょうどよく院長先生が戻って来た。


「これはこれは高井見さんじゃないですか。うちの患者の御守をしていただいたみたいでありがとうございますー。ブラックジャックをしてたんですか?勝ちました?」


「院長先生。御守という事のほどはしてませんが、連れてきたのに放っておくのはいけませんね。困ってたようなので一緒にギャンブルに興じたまでですよ。残念ながら今日は勝てませんでしたが、彼女は才能ありますよ。」


 気安く喋ってるところを見てると、ギャン友ってかなり親しい間柄なの?


「先ほどのログインボーナスの大当たり見ました?実はあれも彼女なので、才能は誰よりも高いと思いますよ。初めてのギャンブルで大当たりですから。」


「あれですか。見ましたよー。車の当選なんて初めて見ましたよ。あれって当たるものなんですねって周りと話したんですよ。」


 二人で世間話を五分ほどしたところで、ネルさんが帰っていった。


「高井見さんから聞きましたけど、あなたブラックジャックで大勝ちしたそうじゃないですか。それも、勝つ時だけ大きく賭けて、まるで勝ち負けが分かってるようだって言ってましたけど。本当に分かるんですか?」


「未来予知できるかって聞いてます?そんなこと出来たら、お金に困ることなんてないでしょうね。」


 院長先生にブラックジャックで勝った仕組みを説明する。


「なるほど。使ったカードの記憶と何が出るかの予想で、掛け金を変えていたわけですか。あなた、さては頭いいですね?」


 これでも大学生で、現役卒業予定だったんです。これぐらいはできますよ。


「それより、院長先生の用事は終わったんですか?パン屋の男性を探してくると言ってましたが。」


「あー、それなら先ほど見つけまして、ちゃんと仕事をしろと言ってきましたよ。全くあんなに綺麗な店長さんのもとで働けるというのに何が不満だというのか…。」


 パン屋の男性もギャンブル好きで、院長先生とギャン友になれそうな性格してますけど、駄目なんですね。気になる女性と同じ職場の人なんですから、仲良くなって好みのものでも聞けばいいのに。


「あー院長先生ここに居ましたか。病院に行ったのにいないものだから探しましたよー。」


「流歌記者さんじゃないですか。今は何も売れるような情報なんてないですよ。」


 院長先生が病院にいないときはカジノに来るって、これが記事になりそうなものですけど、どうなんですかね記者さん?

 記者さんはハッピーさんと違った出来る女という感じがしますね。

 ていうか、院長先生の知り合い女性が多いですね。


「私がいつも情報を貰おうとしてると思ってるんですか?たまには素直にギャンブルを楽しむこともあるんですけどねー。」


「さっき私を探してるって言ってたじゃないですか。私に何か聞きたいことがあるんでしょう?」


「ちゃんと聞かれていましたか…。なら単刀直入に聞きましょう。彼女の事を聞かせてほしんです。副署長が保護して、先生が治療と称してあちこち連れ歩いているという彼女の事を!」


「私ですか?」


 私の事を知りたいなんて。私なんて、突然この街にいて、副署長さんに病院に連れて行ってもらって、脳に刺激を与えるという名目で院長先生に連れまわされてる一般人ですよ?


「彼女は私の患者ですよ。それ以上の事は個人情報ですから彼女自身から聞いてください。」


「院長先生が女性を連れ歩くなんて初めての事ですから、熱愛発覚!という見出しでぜひ記事を書かせて貰いたいんですけどね。許可くれます?」


「私の事を名前を出さず、顔にモザイクを掛けてくれるなら面白そうなので許可しますよ。」


 その記事が出たときの店長さんの反応とかで脈ありかどうか、知ることが出来ますよ院長先生?


「私は許可出せませんよ!彼女は患者だと言っているでしょう!そんな記事が出されたら………モニャモニャモニャ………とにかくダメです!許可出せません!」


「良い記事になると思うんですけどねー。先生の怒りは買いたくないので、今回は諦めますかー。」


 記者さんは引き下がると、そのままブラックジャックの所に行ってしまった。


「全くあの人は…。いつまでもここに居ると、他の人にも出会いそうですから病院に帰りますよ。」


 面白そうな記事になると思ったのに。それに、その記事で私の事が出たら、私がどうやってここに来たのか情報とか集まりそうなのに。私の帰る方法誰か知りませんか?

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