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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

不憫系ヒロインに惹かれてしまう前に別れの言葉を

作者: コカマキリ

短編書くの好きです 不憫系ヒロインもけっこう好きです 楽しんでいただけたら嬉しいです。

「このアバズレがあああああああああ!」

「ジャスティス様以外の人に股を開くなんてサイテーーーーーーー!!!。」


「死ねこの淫乱女!!!」

「こ・ろ・せ!!!!! こ・ろ・せ!!!!!こ・ろ・せ!!!!!こ・ろ・せーーーーーーーーー!」


「死ねこのゴミクズ!!!」

「なんて浅ましいのかしら! ああ汚らわしい売女ね!」


国中の人という人が彼女を蔑み石を投げ彼女が不幸のどん底に落ちるのを願っているに違いない。


大衆への見せしめとしてボロボロの衣類ともいえるかも怪しい布切れを着せ、鞭で酷く痛めつけたあと檻の中にいれ外を引きずりまわしていた。


周りの人々は怒声を浴びせながら日頃の鬱憤をただ彼女にぶつけている。そんな彼女を守ろうかばおうとするものなどいない。


そのかつて美しかったであろう今は見る影もない髪にべっとりと血がついており、たくさんの石や冷水に打たれながらも頭を庇うようにしてうずくまっていた。檻の底から人々を一度見たきり身じろぎすらしい。


そんな無抵抗な彼女をみんなしていたぶっていた。今もひとりひとりと彼女に泥水や唾を吐きかけている。


おれはまだ当時異世界転移したばかりだったから、1傍観者しかできなかった。本当はこれは正当な罰なのか? 誰かが彼女を貶めたのではないかって思っているひとがいたのかもしれない。


だが・・・。誰ひとりさえ彼女に手を差し伸べなかった。おれもその一員なので非難する資格なんてない。かわいそうにな。ただそう同情するしかなかった。


その後彼女は身売りをさせられ、娼館送りとなったそうだ。いつしか人々は彼女の存在すら噂されなくなり、誰もが忘れてしまったかに思えた。


それでも彼女はいた。この世界の底辺に這いつくばって生きていた。希望なんてあるはずもなく明日に夢見ることもなく。


この物語は彼女が断罪された5年後から始まる。


*****


異世界転移してみて気づいたことがある。それはある日野営をしていたときに賞金首になっていた特に危険なお尋ねもののオーガに襲われ、おれの頭を脳みそから食われてしまったときだ。


ボリボリ・・・。ゴリゴリッ。骨をひと肉を嚙み砕く咀嚼音が静かに響きわたる。おれはその時一度死んだはずだった。


オーガが先に食いついたのが頭だったから、その時幸運にも口から滑り落ちた毛髪からおれは再生し、オーガの後ろから自分の身体が食われているのを眺めながら復讐をすることにした。


ヤツはおれを殺した気になっていた。自分でもなんで生き返ったのかわからなくて焦ってはいたが、おれを無惨に殺したオークが許せなかった。


藪に落ちている鋭い木の枝をしっかりと握りしめて気づかれないように近づいていく。おれを捕食するだめ地面に這いつくばって食っているので隙だらけである。


冷静に金的をし、もん絶しているオーガの耳の穴におれはためらう事なく木の枝を刺した。あまりの激痛に泡をふいて倒れたので追撃をかけ、上まで大きく振りかぶった石でオーガの両目を潰してから念のために頸動脈に歯をあてかみ切ってやった。


日が昇る頃にはオーガはあっけなく地面に横たわっていた。


おれは着の身着のまま異世界転移していたわけでなに生活基盤なんてものはなかったが、そのオーガをギルドに持っていき換金すると思わぬ良い金になった。


それからおれは自分の異世界転移したときのギフトの能力を生かして冒険者で身をたてていた。


不死身というのは実際にその本人が強ければ強いのだが、一般人のそれなら大して強くない。だがおれはたただの不死身ではなかった。


細胞分裂を促す能力。例えば大きなドラゴンでさえも寝込みを襲えば一気に老化させ老死させることが出来たし、岩や地面などを風化させたり崩壊させることもできた。(時間先送りの能力もあるのかもしれない)


だが一気に力を使うと身体のエネルギーがきれて動けなくなるので、そうやみくもにぽんぽんと使えないのだけはこの能力の欠点であり、また限界でもあった。


だがそんな難ありの力を生かしておれは生計をなんとか立てるどころか、少し余裕があるまであった。家庭もないおれにとっては過ぎた金なので近所の美人シスターが働いている教会の孤児院に毎月少しだけだが寄付をしている。


強きを挫き弱きを助ける。おれの前世好きだった言葉である。


たしか・・・。中島あっちゃんの名言だったはすだ。ほんとに弟子になりたい。


まあおれができることなんてそんなにないけれど。日々の生活から余った小銭だけ。そんなことのするきっかけになったのはあの例の彼女が虐げられているとき助けられなかった時の罪悪感からしているのかもしれない。


ただ・・・。自分のことばかりで生活もやっとだったとき。おれはあの事件がきっかけで人助けがしたいと思った。彼女はもう死んでしまったかもしれないが。おれの中ではけっして良い意味ではないけれど記憶の中に生きていた。


けっして忘れていたわけじゃない。だけど・・・。今日はっきり思い出すつもりはなかった。


まるでなにかのタイミングが重なったかのように彼女はおれの前に姿を現した。


「おいっ。この穀潰しが!!! もう稼げないならどっかで野垂れ死んじまえ!」

「・・・。」


「おい。なんだよ。あんちゃん!? 文句あんのかよ? こっちジロジロ見てんじゃねえよ。気色悪いなてめえはよ!あん? お前黒髪だな。あの噂のやろうだな。まさかこいつの臓器がほしいってのか?」


さっそく絡まれてしまう。うるせえ。この三下。と言いたいところだが。


「ああ。その通りだ。魔獣狩りの餌くらいにはなるだろうよ。そう邪険にしなさんな。」


「なんだおれも大概なクズだけどよ。お前さん聞いてた通りのサイコパス野郎だぜ。」


「なんとでも言ってくれ。じゃあコイツは貰っていくぞ?」

「ああ。好きにしろ。お前も良かったな最後だけでも役に立てて。ハハッ。お勤めご苦労様でした。」


「・・・。」


正義に味方ならこんなクズ許しておかないのだろう。この子もかわいそうになあ。どうせ助けてもらうなら白馬の王子さまが良かっただろうになあ。


おれはそれ以上その男にかまうことなく宿へもう虫の息になっている彼女をかついでいった。


もちろん療養させるためである。魔獣狩りのおとり用の餌になんていうのは真っ赤な嘘だった。



******



「やあ。起きましたか。良かったらこれを食べて下さい。」


私はいつの間にか見知らぬ男に部屋に連れ込まれ介抱されていたらしい。


起き上がってその人の顔を見た。優しそうな人の良さそうなそんな雰囲気を感じた。


「私の命を救って頂きありがとうございます。私のできることでしたらなんなりとお申し付け下さいませ。とはいいましても今の私にはこの身を捧げることしかできませんが。あなた様の望むままに。」


うんそうだよね。見知らぬ女性を男が自分の部屋に連れ込んだんだ。やっぱ下心があるとか思っちゃうよね。無理もない。


「昔からあなたはきっと他人を思いやる優しい心をお持ちだったんですね。そして今も。その気高き心はおれにとって眩しいですよ。」


「・・・。なにをおっしゃっているのでしょうか。」


「あなたはあの時逃げなかった。裁かれると分かっていても。自分が不利になると分かっていたのに最後まで戦った。」


「・・・。」


「それにおれはあなたが不貞行為をしたとは思えないのですよ。なぜあのお方がそんなことをだなんて言っている人もいました。誰も陛下や権力者が怖くて立ち上がれなかったのです。」


「そうだったのですね。でももう終わったことですし・・・。」


彼女は諦めた口調でにこやかに笑った。袖をたくし上げ長年痛めつけられてきた傷をおれに見せようとした。


「あ、あれ!? なんで・・・。」


「身体がかなり衰弱してこのまま指先が壊死しそうだったので、身体を再構築させて頂きました。あとその美肌は本来のあなたのものですよ。おれはその手助けをしただけで。」


「あなた好みの身体つきでしたか?」


ストレートに聞いてきたなあ。だが君の想像通りのことは起きてないよ。


「実は見てないのです。手をつなぐだけで十分でしたので。」


彼女は身体つきも美しかった。それはもう傾国の王妃のように。まあなにごともなければ、彼女は王妃になったはずだったのだ。元々おれのような平民とお話ししているような女性ではない。まあ手足などの露出している部分だけでの評価ではあるが。


「私はこれからどうするべきでしょうか。」


彼女のまん丸の澄んだ瞳がおれを試すように真剣に見ていた。もぐもぐとおれが手に渡したパンとスープを味わいながらもかけっしてのその真摯な態度が崩れる気はしなかった。


「・・・。」


こういう時に恩着せがましくいうのは野暮なのかもしれない。思いついたままに言うのは誤解されるはずだし。悩んだ末におれはある提案をすることにした。


「おれが今後サポートできるのはこの国から脱出するのを希望するのでしたら王室の血筋というのが分からないように、顔を多少いじるくらいですかね。旅の路銀くらいならおれが立て替えておきますし。ああそうそう。良い商人の友人がいるんですよ。彼になら安心できるかな。夫婦で行商人やっているので男女のわだかまりなどもないですし。」


「私にこれからどうしたいか選ばせて下さるのですね? でも・・・。私にはお返しできるものがありません。」


「今はですよね。おれはあなたの未来に投資してみたくなっただけ。ただの好奇心ですよ。」


「・・・。もう。」


彼女の顔が少し赤くなった気がした。照れているのだろうか。可愛い。


「そうそう。実はこの後お出かけする所があるんです。良かったら一緒に行きませんか?」


「お出かけですか。」


「はい。身支度にお時間かかるでしょうから、おれはちょっと飲み物でも買ってこようかな。そこのクローゼットに女物の洋服だとか一式そろっているのでお好きに使って下さい。元カノの忘れ物で悪いですが。アイツもうこういった服装着ないそうなので。」


「なにからなにまでありがとうございます。」


「シャワーは左側の蛇口が温水です。ではごゆっくり。」


彼はそう言って私はひとり部屋におき外出した。見ず知らずの女の私をなぜここまで信じられるのだろう。もしかしてお人好しすぎるのでは!?


さっきから私のことを無意識なのだろうが優しく扱ってくるし。私にとってありがたい話ばかりをするし。こんなこと今まで誰もしてくれなかった。


優しいひとは今までもいた。素敵なひとだったが娼館で強制労働させられていた私を憐れみ、身請けまで約束してくれたひとだ。


残念ながら彼には妻子がいたので丁重にお断りさせて頂いたのだけれだ。それでもこんな私でも誰かに再び必要とされていると思えるのが本当に嬉しくて。


たった一回そのような甘いひと時があったおかげで私は今日まで生きて来られた。


そして昨日、とうとうこの世界で一番お人好しな彼に拾われたのだ。


洋服は少しクローゼットの籠った匂いがしていた。ある程度は手入れされていたので多少気になる程度であるが。元カノと別れてもしかするとしばらくたっているのかもしれない。


濡れ髪をお日様の香りのがするタオルで念入りにふき、髪をくしで整える。


彼は私のことをどう思っているのだろうか。先ほど私に注がれていた穏やかな笑顔が脳をよぎった。


「ただいま戻りました。遅くなってすみません。おや。どうかなさいましたか。」


思わずビクンと肩が飛び跳ねた。


「い、いえ。なんでもございませんわ。」


「そうですか。これ良かったらどうぞ。果実水です。冷えているので美味しいですよ。」


「私の分まで。ありがとうございます。」


彼はとなりの席にすわり落ち着いた様子である。少し沈黙が続き耐えきれなくなった私から声をかけた。


「あの。先ほどのお話ですが。」


彼は首を左右に振りただこう言った。


「急がなくてもいいですよ。少しこの家でゆっくりしていけばいいです。後悔のない決断をして欲しいですから。」


「ではお言葉に甘えてもよろしいのでしょうか。」


「そうしてくれると助かります。」


まさに面倒みるとこになったんだから最後まで見させてくれと言わんばかりである。


ゴクン。もう飲み干してしまったみたいだ。何年ぶりだろうか。ひとからの好意で受け取ったものを美味しく頂くというのは。


「そろそろ行きましょうか。」

「ええ。」


彼が手を差し伸べてくれたのでお風呂場で痛めた足首が痛まずに済んだ。


玄関を出るときに彼が私の肩に手をおき呼び止めたので何事かと驚いたが彼は黙って微笑んでいたので、なされるがままに任せた。


「髪は何色が好きですか?」

「金髪のカール以外でしたらなんでも…どうしても選んだ方が良いですか。では黒髪に青メッシュを1本を左側にお願いします。」


「瞳の色は?」

「スカイブルーでお願いします。」


「青が好きなんですね。」

「空はどこまでも広くて、私にとっては自由の象徴なんです。」


彼は私のそのような発言に反応して彼の目に驚きが見えた気がした。


「では出発しましょうか。」


いったい私みたいな良く知らない女と何処へ行くというのだろうか。彼が上着を渡すので優雅に会釈をし黙って受け取った。


5分10分と市街をただ2人目的地を目指して進んだ。誰も私だと気づいていない。やはり私の髪型と色が変わったのが大きかったのだろうか。


彼の魔法の腕は凄い。幻惑魔法の類のスピードで姿を一からつくりかえて見せた。


そんなことができるのは伝説級の魔法使いだけだ。いや古代の神話級の魔法使いだけかもしれない。

いったいあなたは何者なのでしょうか。


誰にも蔑まれず干渉を受けず、自由に生きていける日がまた来るとは思わなかった。とても良い気分だ。黒髪をさらりと横に流して私は心から今この一瞬を楽しむことができていた。


横を歩いていた男が私の顔を覗き込んだ。なんで今ふっと笑ったのでしょうか?


「明るくなりましたね。良い顔してました。」

「え!? 変わりましたか私?」


「はい。おっと。前見て前見てっ!!! すみません。本当にすみません。」

「ご、ごめんなさいっ!生きててすみません!!!」


「え。そこまで悪いことしてないですよ!? それはさすがに・・・。」


「クソが死ねよ! こんな道端でいちゃいちゃしてんじゃn・・・。ヒッ。ヒエエエエッ。命だけはお助け。」


そういってなんか気の毒にもチンピラが走り去っていった。


「なんですかあれは。もしかして皆さんに怖がれていますか?」


「うん。そうなんですよね残念ながら・・・。昔いろいろありまして。」


「そう、なんですね。」


「はい・・・。」


それは昔いた元カノのこととの間にあったことだろうか。それとも・・・。いや。邪推は良くないと思いますわ。彼が話して下さるまでの我慢。


「・・・。」

「・・・。」


それから私たちはしばらく無言のまま歩き続けた。


どうやら彼は話さない選択をしたらしい。勝手にもやもやしてしまっている私が情けなく感じてしまう。


それよりこれからの出先で粗相をしないよう気を引き締めていかねばなりませんわね。さあ誰でもかかって来なさい! 受けて立ちますよ! 私は心晴れやかに前を見据えていた。


「実はあなたに合わせたい人たちがいまして・・・。」


「私に、ですか!?」


「はい。彼らもきっとあなたに会いたいと思っているはずです。」


実は私は彼がどこに私を連れて行こうとしているか来る途中で気づいてしまっていた。なんせここには何度も通っていたのだ。


懐かしさと、またここに来れたという安堵からか涙が溢れてきた。もう2度と来れないと思っていた。なんせもう私は穢れた身。純粋無垢なあの子たちに合わせる顔なんてもうない。


たいてい人生なんて無情なものだ。待ってほしい。少しだけでも。そういったささやかな願いが叶わないなんてことはよくある。扉にふれるのを。中のみんなに会えるのが嬉しくて。ただ怖かった。


「ゆっくりでいいですよ。それともまた今度にしますか?」


彼には私の心のが葛藤が見透かされているようでなぜか悔しかった。


「い、いえ。私は大丈夫です。うう・・・。」


「どうかしたの? お姉ちゃん? お、久しぶりじゃねえか。王妃さ、おっとまずい。こっち来てくれ。」


「は、はい!」


手をがっしり捕まれ私は裏口まで引っ張っていかれた。例の魔術師も私の後ろからついて来ている。


振り返ってみると穏やかな笑みをよかったねえとでも言いたげに見せてくる。


「もしかして、レイなの!?」


「ああ。おれだよ。」


「みんなは元気!?」


「もちろん。みんな本当にお姉さんのこと心配していたんだよ…。」


「そう…。そうなのね。」


「ところで、後ろの男の人は彼氏?」


「え、いや…まだというか。彼はそうじゃないのよ。」


「まだ?」


「え!?」


「ほ、本当に違うというか。彼は思いを寄せている女性がいて…。」


「ごめん…。ちゃんと話したことがなかったけれど。おれは別にそんな人いませんよ!?」


「だ、だって元カノの話私にしてたじゃないですか!? 好きでもないのにそんな話私にする必要ありますか!?」


「え、えーっと。」


「かぁ~。バッカだなあ。おじさんは! お姉ちゃんにさそんなことしていたの? こんなにべっぴんで!!! 優しくて! 心がきれいなお姉ちゃんなんてどこ探しても今後見つかりっこねえぞ!? もう節穴としかいいようがないよあんた!?」


「め、面目もございません。」


「まったっくよ~。」


「こら、レイ! なんてこと言うの! おじさんじゃないでしょ!?」


そっち突っ込むんだ。可愛いなこのひと。


「そ、それよりも! そういうことでしたら! 私もう遠慮しませんから! もう怖いものなんてないんですからね!?」


どうしよう。困った。教会の裏口前で騒いでいる不審者におれたちはされてしまう。


「と、とりあえず中に入りましょうか。」


「なーにを。チンタラチンタラと。裏口前で乳繰り合ってんじゃないよ。」


「し、シスター!? ご無沙汰しております。」


「おや。これはこれは。ご無事でしたか。お姫様。さあ積もる話もありましょう。入って入って。美味しいココアをいれてあげますからね。」


「フフッ。相変わらずね。シスター。」


「みんなあなたのことが心配で心配で・・・。生きていて本当に良かった。」


「シスター。。。」


「あんたたちいつの間にかくっついていたんだい? まあいいさ。いいかい? この姫さんは本当にいい娘なんだ。泣かしたりしたら承知しないよ!? まああんたになら任せられるか。ヴィラン。姫さんを頼んだよ。」


「シスター!?」


「皆まで言わさないでくれ。ああ結婚式ならうちでやんな。貸し切りにしてやるからさ。」


あれ・・・。もしかしてやっぱそういうこと? そういうことなの?


「私はもうどうやらあなたのことが好きになってしまったみたいです。ヴィランさん。」


どうしよう。可愛いいいいいいいっ。


男には腹をくくらねばならない時がある。人生のパートナーを決めるときそれこそまさに今だ。


おれは彼女のことが好きになってしまう前に別れなければならなかった。誰より彼女の幸せを願っていたから。彼女の好きなひといることを望んでいたんだ。


よもやその対象がおれになるとは想像もできなかったが。


自分の勝手な思い込みから彼女と運命を違える所だった。おれは彼女の気持ちに向き合えてなかったんだ。


だからおれは。


【どうかお元気で。】


ではなく


「おれも姫さんが好きです。」


たったひと言で愛を告げたのだった。






































読んでくれてありがとう♪

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