『なろうラジオ大賞5』ノミネート作家が語る『なろラジ』に受かるまで。
2023年3月。私はスマートフォンの前で座り込んでいた。
YouTubeの『第4回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』ノミネート作、5本聴き終わったところだった。
「これは受かるわ…………」
5本とも傑作だった。中には興奮のあまり超速でレビューを書いた作品も入ってた。まあ受かるわな。最高だもん。
そんで。
『私は受からなかったな』と思った。
なんでだろう?
◇
いや、わかっている。聴きながらわかった。私の小説は『ラジオというものをわかっていない』のだ。声優さんの声を頭の中で聴きながら小説を書くことができてない。
この5作、朗読とは何かがわかって書いている。勝敗はここで決しているのだった。
◇
2023年12月。なろうラジオのお題が発表された。
真っ先にX(Twitter)で『なろうラジオ大賞』のYouTubeアーカイブを貼り付ける。
2年分(4回)しか辿れなかった。仕方ない。
皿を洗いながら何回も聞いた。
それにしても全て面白いな。何回聞いても感動する。
「下野さんと巽さんに読んでもらいたいな〜」
えへへへへ〜ってなった。
◇
『もし、私が審査員ならどんな小説を採用したいかな?』と考える。
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そうだ! 声優さんが輝くような小説だ!
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まず『小説を書こう』という意識を捨てた。『朗読劇の台本』のつもりで書く。
本職の声優さんなのだから老若男女全て演じ分けられる。私が審査員なら声優さんの『すごさ』をこの5本に込めたいと思う。
イケメンも美女も、老婆もいたいけな少年も、雪だるまだって演れる。それが声優なのである。
自分に欠けているのは声優さんに輝いてもらいたいという意識なので次の4点に気をつけた。
①男女が出てくる
②会話率が高い
③前半と後半で声優さんの演技がガラッとかわる
④視聴後感が気持ち良い
全くそういうこと気にしてなかったな! そら受からんわ!!!
下野さんと巽さんが朗読している声とか、朗読後に盛り上がっている様子をできるだけ想像しながら書いた。
その上で番組構成にも気をつけることとした。
①高校生の両片思いのジレジレ恋愛もの
(ラストに両思いであることがわかる)
②イセコイの叙述トリックもの。一途な恋心。
③声優さんの技が光る朗読劇
④軽妙な会話のコミカルなもの
⑤スリルとサスペンス。
悪人が成敗されるざまぁもの
『おそらくこの5本でくるっ!』と狙いを定めた。過去2年の作品を分類するとこうなったってことですね。
なんでか知らんが『ジャンルを全部バラバラにしよう』『タイトルでキーワードをコンプリートしよう』『最後の1作は本文中にキーワードを全部使おう』と思っちゃったから余計な苦労をするはめになった。志は低く! 志は低くいこうよ!
最後はパズルを解くみたいになってしまった。後半に従ってクオリティが落ちていったのは許して欲しいのだ。
◇
投稿する度に『音声アプリ』で聴きやすさをチェックする。私は『読みやすさ』には相当神経を使うタイプなのだが、今回はそれだけではダメだ。『音』になったときに理解できない単語は全てハネることにした。審査員は絶対朗読して最終ノミネートを決めている。もしかして紙にプリントアウトして読んでいるかもしれない。
◇
9本なんとか投稿して、次は『総合ポイント順』でソート。上から読み始めた。
さすがに1000作は読めなかった。上手い話は上にくるのでそれでいいのだ。それにつけてもイセコイの強さよ。
トップはなんと最終日の12月31日に投稿されたもの。またたくまに駆け上がり1万ポイントを超えていた。
うっへぇ〜。無双じゃん。
もちろん面白い。
そもそもこの大賞。書籍化作家OKだからクオリティ高すぎんのよ。1000字均一で戦ったらそらプロが強いのよ。持ってる語彙力から違うんだわさ。
間違いなく『イセコイ、一途、叙述トリック系』から1作選ばれるね。
そんで私は……まあ選ばれるとしたら『5年がかりで専業主夫を目指す僕ですが、年収2000万のバリキャリ女子だって落としてみせます。』だけど……なかなか厳しいよね……だいたい選ぶテーマが『婚活』ってなんだ。トリッキーなんだよお前。
◯◯さんとか、◯◯さんとか、◯◯さんであろう。正直ラジオで聴きたい。オラ、ワクワクしてきたぞ!
◇
『小説家になろうラジオ』のスタッフ様からメッセージをいただいたときは高揚して文字が上手く追えなかった。
頭がボーッとして文の意味が脳に入っていかない感じ。
『お願いしたいことがあるのですが……』的な文が途中に見えたので「もしかして苦情か!?」とドキドキした。自信なさすぎやねん。良かった『ラジオで放送したい』って話だった。
どーぞ! どーぞ! どーぞどーぞどーぞ!
ハイッ喜んでっ!!!!
白木屋の店員か。
承諾のメールがちゃんと届いたかソワソワする。
いや、嬉しいよ。嬉しいけどなんで私かな? べっらぼうにいい作品がいくらでもあったけれどもな。そもそも『婚活』がテーマとかそれでいいのかな。
まあ、あれだな? きっと私の前世が『スジャータって名前のインドの少女』だったんだな。釈迦に乳粥を差し出して解脱に導いたあの娘だな。一切記憶ないけど。これは前世の功徳だな。
良かった!!!! 死にかけのお坊さんに乳粥あげといて!!!!!
そう思うことにした。
◇
もちろん放送当日はスマートフォンの前でスタンバイだ。radikoアプリ久しぶりすぎて上手く立ち上げられなかった。焦る焦る。
放送が始まってドキドキドキドキドキドキって聴いてたけど私のないじゃん!!!
来週でした〜〜〜〜〜〜〜〜。
緊張しすぎて翌週は割と『スンッ』てなってた。
ラジオ放送の感想ですが、控え目にいって最高ですよ。生きてて嬉しいトップ10に入りますわ。
なろラジのすごいところは、小説の内容を変えないってところです。度量がすごい。書いたまんま放送される。いいのかね? ど素人やで。わし。
そこに音響がついて超有名声優さんがワタクシメの小説を朗読してくださると。はわ〜。スジャータのお陰や。ありがとナス乳粥(^^)b
『僕』ってこんな元気な感じだったんだなぁとか。お見合い相手ってこんな色っぽい人だったんだなぁとか。作者ですらわからないことが伝わってくるわけですね。
この日だけで5回は聴いて、布団にスマホを持ち込んでさらに聴いた。翌日のYouTubeも何回も見ておりまして。幸福でお肌プルプルです。
自慢なんだけど、放送された全作品にすでに感想を書いていた。だって光輝いてたもん。良かったもん。
だが、ちょっと意外だとも思った。
あれっ? 両片思い青春ものどうした? 絶対来るし大賞候補だと思ってたのに。私もそれを目指して1本書いたのに。あれっ? めっちゃダークでも採用されてるな? サスペンスはあってもダークはないと思ってた。イセコイがもう1本来ると思ってたよ? ジャンルの勢い止められないはず。
あれ????
予想外れてね?????
てなわけで、今回の『なろラジ』は戦略的に小説を投稿したのですが、その戦略が間違っていたことが判明いたしました。
審査員の心がよめない。オーノー。何もわからない。
◇
実はノミネートの連絡をもらったとき『20周年記念イベント』の朗読も打診されていた。大賞になったらその場で朗読してくれるとのこと。
超速でチケット取った。
と、言っても口外不可だったので誰にもノミネートの話はできず、したがってチケットのことも言わなかった。
◇
で、どうやら、昼公演に行ったノミネート作家は私だけだったらしい。
バーン! て私の名前がスクリーンに載ったときは「おおおお⤴︎⤴︎⤴︎⤴︎」となった。秒で大賞、逃したことがわかりましたがっっ!!
でも朗読すごい良かったです。声優さんの生の演技を至近距離で見れた幸福よ。それで十分でございます。
◇
「この喜びを誰に伝えたいですか?」と聞かれたら「そうですね! ノミネート作をブクマしてくださったみなさんにっ!」ってことなのでございまして。だって短編なのにブクマしてくれてんじゃん。チョーいい人じゃん。
だからノミネート作『短編』を『連載』にして111名のみなさんに『お礼SS』を届けようと思ったんよ。
そんでな? 『短編』を『連載』に変更するボタン探したんよ。
ないじゃん???
短編は連載にできないじゃん????
WEB作家3年目にして初めて知りました。超ショックなり。キテレツこの世は無常なり。
てなわけでノミネート作とは別に短編を掲載したんで見てちょんまげ……と。つまりこのエッセイはダイッレクトマーーーーケティング!!! ってことなのでして。お後がよろしいようで。
応援、ありがとうございました(ペコリ)
↓↓↓ランキングタグのところにお礼SSを貼っております↓↓↓
ノミネート作をブクマしてくれた125名の皆様に届けっ!
(なろラジ放送後にブクマ増えました。感謝なのでござる)
【ジャンル別短編】☆☆日間1位☆☆週間2位☆☆月間5位☆☆四半期32位☆☆感謝☆☆