表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Shuffle  作者: タイチャビン
第一章 白と光と透明人間
1/11

プロローグ

初投稿です

「おい、聞いてんのか?」


 声がした。低く、怠そうな柄の悪い声が背後から聞こえた。絶対に絡まれたら面倒臭い声だ。無視と逃げの一択。


「そこのお前だよ、お前」


 無視だ無視。振り返ったら俺の負け。心に暗示をかけながら、足を少しづつ早めていく。


「シカトすんじゃねぇよ」


「え」


 気づけば、声の主は目の前にいた。いつの間にか抜かされいる。

 横から抜けようとしたが強引に肩を掴まれ、止められた。

 流石にしつこいので、睨んでやる。同時に、その男が見えた。

 その男の姿は、ぼんやりとしていた。存在も分かる、顔も分かる。

 だが、見えない。モザイクがかかったみたいに、目が、脳が、情報を受け付けない。

 

「やっと見てくれた。ちょっと俺と話そうぜ」


「嫌です。帰ります」


 手を振り払い、男から距離を取る。一刻でも早くこいつから離れたい。


「へぇ〜、どこに帰るの?」


「教えるわけないだろ。お前には関係——」


 ない。と言いたかったのだが、周りがおかしい事にようやく気がついた。自分の視野の狭さを恨む。

 さっきまで、家の前にいたはずだ。だが、今はどうだ。何処だ、ここは。

 辺りは全て真っ白。人も、建物も、音も、何もない。ただ白い光があるのみ。無限に続いていると錯覚するほど、限りない空間。


「じゃあさ、お前の話を聞くから、代わりに俺を元の場所に帰せ」


「俺の話が罰ゲームってのは気に食わねぇが、それでいいぜ。先に俺の話からな」


「はいはい、それで良いから早くしろ」


 この男はどこまで人を腹立たせれば気が済むのか。とはいえ、話せば終わる。少しの辛抱だ。


「じゃあ質問な。この世に平和は存在するか否か、お前はどう思う?」


 面倒臭すぎる質問。話が長くなる気がしたので、雑に答えた。


「ある」


「理由は?」


「平和って言葉があるだろ。だからある」


「つまんねぇなぁ」


 聞くだけ聞いてそれかよ。とんだ糞野郎だな。まぁ俺がてきとう過ぎたのも悪いか。

 もう少しまともに話さないと、それはそれで終わらない気がしたので、普通に話してやろう。


「お前はどうなんだ?」


「俺は無いと思ってる」


 だろうな。そんな顔してるもん。


「理由は?」


「お前は平和があるって言ってたけどさ、何が土台になってると思う?」


 質問を質問で返すなよ。と言ったらキレられそうなのでやめた。


「さあ?お金とか?」


「まぁ間違っちゃないんだが、俺が求めてるのは違う答えだ。分かるか?」


「知るか」


「つれないなぁ。答えは力だ。もっと言えば核だな。平和ってのはそれがなきゃ成り立たない」


「結局何が言いたい」


「力の上の平和は本当に平和って言えると思うか?」


 それっぽいことを言っている。だが中身がすっからかん、見掛け倒し、綺麗事、そんな言葉が頭のなかをウヨウヨしている。


「それでも成り立ってるんだから、存在はするだろ」


「面倒臭ぇなお前。じゃあ質問変更、平和は実現可能か否か。これでどうだ?」


 ドヤ顔でこちらの回答を待っている。一体俺に何を求めているのか。何も出ないぞ。


「場合によるが、可能」


「その心は?」


「犠牲付きの平和なら簡単に出来る。ただ、犠牲なしってなると話は別。全人類の頭をお花畑にでもしない限り無理だろうけど、不可能じゃない。以上」


「それがお前の考えだな」


「終わりか?ならとっとと帰してくれ」


「いや、最後に俺の考えだけ聞いてってくれ。そしたら帰す」


 返事をするのも面倒になったので、沈黙を決め込んでいると、男は語り出した。


「まずな、俺はお前が言った通り、犠牲ありの平和は簡単だと思う。そこに関しちゃ同意見だ。要らない奴、合わない奴、嫌いな奴、そいつらどんどん消していけば良いだけだからな」


「ハイハイ、ソウデスネー」


 帰りたくて堪らない俺などお構いなしに、熱弁は続く。


「だが、犠牲なしの場合は不可能だ、絶対に。命を賭けたっていい。理由は単純、人間だからだ。人は人を食べないのに殺す化け物だ。恨みや復讐、私利私欲のために平然とやってのける。全人類がそうじゃないことは俺も知ってる。だがな、人は誰でも化ける。例え真っ白い心を持っていたとしても、何色にも染まるんだよ。人って割と単純でな、死ぬ前とか心の柱を盗られた時とかすぐに化けるんだ」


「ワー、オモシローイ」


 早く終わってくれないかな。偏見と唾が混じって気持ち悪いんだが…。

 あ、聞かなきゃいいのか。


「そう考えると人が変わる時ってさ、大体戦争の時なんだ。戦争を犠牲なしは無理だろ?規模によるけど何千何万って人が死ぬの。すると人が化ける、戦争する、また化ける。その繰り返しになる。それを止めることが出来たら平和になるよな。じゃあ止めるにはどうするか、力でねじ伏せるしかないよな。化けた人間に言葉は通じない。じゃあ力を示すにはどうするか、誰か、少なくとも一人はサンドバッグにするしかないんだよこれが。だから俺は犠牲なしの平和はないと思ってる。以上だ」


 テキトーに拍手。ようやく終わった。終始何を言っているのか分からなかった。理解する必要など無いからそれでいい。


「さっさと帰してくれ」


「あ、ちょい待ち。最後に一ついいか?」


「手短にな」


 男の雰囲気が変わった。今までの話はどうでもいい前置きかと思えるくらい、真剣な目をして。改まった声で、俺の目だけを見て言った。


「夢を見るなよ、天草来人」


 それが、最後だった。

 白い空間にヒビが入り、意識はどこかへと消えていった。

臭いタイトルに臭いプロローグですみませんね。

内容はファンタジーの冒険物です。

今後何か思ったことがありましたら、何でもお伝え下さい。参考にさせていただきます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ