予定だらけのスケジュール帳3
「お待たせいたしました〜。」
その言葉に直子は優しく微笑んだ。
「はいどうぞ、レモネードとさっき話していた古本屋さんのおばあちゃんのおはぎです。今日の晩ごはんのデザートに楽しみとってたんですが・・・え〜いぃ今日は特別ですよ直子さん。」
ゆみこが出したおはぎは丁寧に餡を越してあり市販のものよりも大きく中の餡はタップリ入っている。
大きなおはぎではあるが女性でも食べてしまえる。
それはほどよい甘さを残しつつもあっさり仕上げているからでありそして何よりまん丸にまるまったおはぎは目も楽しませたくれた。
「あらっありがとう〜。こう見えても私、和菓子にはちょっとうるさいのよ。まずはレモネードをいただきますね。」
直子は軽く手を合わせてレモネードを持った。そのレモネードの温もりがなんとも心地よく手先からぽかぽかとあったまる。
(あれ私、名前教えたかしら?)
直子は考えたがそれよりもレモネードを口に運ぶのを優先にした。
一口、レモネードを口に入れた。
その瞬間、直子は目を閉じ心地よい風が駆け抜けなんだか空を飛んでいるかの様ななにものからも解き放たれた感覚に包まれた。
「あの、直子さん、あなたのレモンさんから伝えて欲しいことがあるらしいんですが伝えててもいいですか?」
「え?私のレモンから伝えたいこと?ふふふっどうぞよろしくお願いします。」
直子は微笑みながら会釈をしてもう一口レモネードを飲んだ。
ゆみこは深く腰掛け少し空を見上げて目をつぶり、深呼吸を一回して目を開けて喋り出した。
なぜかゆみこの目の色が変わっている。
「ママ私を忘れようとしてスケジュール帳をいっぱいにしないで、私を思い出して欲しいの。」
直子はその声色にカップを落としそうになった。そして直子はゆみこをまじまじと見た。
「あなた、何言ってるの?」
ゆみこは直子の言葉が聞こえないのか話を続けた。
「ママ、私はここにいるよあなたの胸のなかに、あなたのこころのなかに。」
「かの子・・・」
直子は呟いて涙が溢れ落ちるのを感じそしてかの子の笑顔が目の前に現れた。
「やっと私を見つけてくれて
ありがとう
私に声をかけてくれて
ありがとう
気づいてくれて
ありがとう」
「ありがとうだなんて、ごめんね。
かの子・・・ごめんね。」
「ママが優しいとき私がいるわ
ママが幸せ感じているとき私がいるの、ママが楽しいとき私がいるのよ
それからさびしいときつらいとき
悲しいときも私はいるの
ママがピンチのときには助けるよ
いつでもここにいるんだもの、ママのこころのなかに。」
直子は涙が止まらず声が発せられない。
「私ねこんな風にママのそばにずっといたくてお空にかえったの私きっと
ママを守りたかったんだわ今はそう思うのどんなときもそばにいたかったんだわ。」
直子は涙を零しながらうんうんと頷きながらゆみこ、いやかの子を見つめた。
「ときどき思い出すのみんな元気かなってそして見にゆくのよそうすると今、お兄ちゃんがママを必要としているわ。ママの笑顔でお兄ちゃんを助けて欲しいの。パパも喜ぶからママの笑顔を喜ぶから。」
直子はハッとした顔になり、涙を拭い急いで車に戻った。直子は自分のバックを持って戻って来て急いで忠夫に電話をした。
「おかけになった電話は電波の届かない・・・」
直子はもう一度忠夫への電話した。
「お願い、お願い。繋がって。」
「おかけになった電話は電波の届かない・・・」
「あ〜もぉ、どうしよう。忠夫さんに繋がらないわ。グランドの場所や時間がわからないわ。」
直子は携帯を頭に当てて途方に暮れた。
「ママ、今日は何日?」