3回 フルダイブ型VRゲーム体験会
翌日…
俺は、直樹と約束していた東京ビッグサイト開催の大型ゲームイベントに来ていた。直樹からの指示で、
和服にコスプレ用の刀を差してこい。とのことで、きているところだ。俺だけだったらどうしようとビビっていたが、武士の恰好をしてる人が多い。テレビカメラも入ってるようだ。
「おっ!母さん!竜也いたよ~。」
俺の背後からいつもの直樹らしい陽気な声が聞こえた。振り返ると何故か母親を連れてこっちに来る。
「二人とも、おはようございます。」
「よ!!」
「会えてよかったわ、竜也君。」
「どうしてここに?」
「このイベントのメインスポンサーって、私の父親が会長ををやってる企業なのよ。」
「なるほど。」
「でも、そのおかげで、竜也もメインイベントに参加できんだぜ?」
「…は?メインイベント?何の話だ?」
「あら、直樹から聞いてない?メインイベントとして、フルダイブ型VRマシンの体験会が行われるの。
全国同時に行う前代未聞のプロジェクトなの。直樹が竜也君も参加したいって聞いてたのだけど…。」
「おい、直樹聞いてないぞ」
「言ってないもん。このイベントの内容なら、竜也なら飛びつくと思ったから。」
「なんだよ…。」
「これは、戦国時代が舞台なんだよ。竜也にとってはいい話だろ?」
「まあ、それなら…。」
「まだ、イベントの開始までは2時間くらいあるから会場を見て回ろうぜ。」
直樹は、そう言って走り出した。
「ったく、おい、待てよ直樹!!」
:
:
:
それから俺たちは、2時間、会場を遊びまわった。二人ともゲーム好きなので楽しくて仕方なった。
それ以上に俺の頭の中は、メインイベントのことで一杯だった。
時間を迎え、俺たちは最前列へ並んだ。俺は、周囲を見渡し、息をのんだ…。
「おい、直樹…。」
「どうした?」
「芸能人ってか、アイドルしかいねえ…ぞ?」
「一般人がこんなイベント出れるわけがないだろ?」
「俺は?」
「プロ選手の息子が何言ってんの?そもそも、全国総体で優勝した奴が凡人なわけないだろ?」
直樹がいうには、この体験会は、全国で1000人が同時参加しており、メンバーは、モデル・俳優・
女優・アイドル・スポーツ選手…など、芸能人ばかり。二世で参加してるのは、この会場では、俺たち
2人だけ…。
なんかアニメで、こういうやつに入っている時にウイルスでゲーム内に閉じ込められるってなかったっけ?俺が直樹にこのことを言うと、大笑いされた。
「竜也って意外とビビりだよね?」
「もしそうなったら、飯おごってもらうからな。」
「ハハハ…。ほれ、始まるぞ…。」
時間となり、俺たちは、各自の媒体へ向かった。ヘッドギアが俺たちの脳に直接電子信号を働きかけるのだという。俺の視界が、光に包まれた。